第13話

‎🤍 古着屋
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2026/06/15 18:00 更新
今日は久々の柔太朗くんとのデートの日。
今は私が好きな古着屋巡りをしている。

古着屋を何軒か回った後。
あなた
ねぇ、柔太朗くん。
柔太朗
なに?
あなた
今日さ、私のコーデ組んでよ!
そう言うと柔太朗くんは足を止めた。
柔太朗
俺が?
柔太朗
責任重大じゃん、
そう言いながらも、少し楽しそうに店内を見回す。

そして数秒後にはもう服を手に取っていた。
柔太朗
これ、似合うんじゃない?
あなた
早くない!?!
差し出されたのは、自分じゃ絶対選ばないような服だった。
あなた
…似合うかな?
柔太朗
絶対似合うから。着てきてよ
妙な説得力がある。

半信半疑のまま試着室へ向かい、着替えてカーテンを開ける。
あなた
…どう、かな?
柔太朗くんは一瞬だけ目を見開いた。

その反応だけで、なんだか恥ずかしくなる。
あなた
変?
柔太朗
いや、思ったよりかわいい
あなた
思ったよりってなに!!
柔太朗
褒めてるよ、笑
文句を言うと、柔太朗くんが笑う。
柔太朗
1回まわって
言われるまま一回転すると、柔太朗くんは腕を組んだ。
柔太朗
靴替えたらもっといいかもね
あなた
…まだあるの!?
柔太朗
当たり前でしょ?
気づけば全身コーディネートが始まっていた。



全部選び終わって鏡の前に立つ。

いつもと少し違う自分。
あなた
なんか、私じゃないみたい
そう呟くと、隣に立った柔太朗くんが鏡越しにこちらを見る。
柔太朗
そんなことないよ
少しだけ距離が近づく。
柔太朗
俺、あなたの下の名前ちゃんに似合うもの分かるから
さらっと言われたその言葉に、心臓が跳ねた。
あなた
ずるいよ、そういうの…
柔太朗
なにが?
柔太朗くんは意味が分からないという顔をしたあと、少しだけ笑う。
柔太朗
事実言っただけだから
そしてレジへ向かいながら、
柔太朗
次の季節も、俺が選びたい
なんて当然のように言う。
あなた
え、毎回?
柔太朗
嫌だったらごめん、
あなた
…嫌じゃない。
柔太朗
じゃあ決まりね
柔太朗くんは満足そうに笑う。

そのまま会計を済ませて店を出ると、夕方の街は少しだけオレンジ色に染まっていた。
あなた
ねぇ!今日楽しかった?
そう聞くと、柔太朗くんは少し考えるように前を向いた。
柔太朗
もちろん、楽しかったよ
その返事が嬉しくて思わず笑う。

すると柔太朗くんが繋いでいた手を軽く引いた。
あなた
どうしたの?
顔を上げた瞬間。

柔太朗くんの視線が真っ直ぐこちらに向く。
柔太朗
その服、やっぱり似合ってる。
買ったあと、柔太朗くんにお願いされてお店からそのまま着てきた服を見つめて言う。

似合ってる、なんてさっきも言われたはずなのに、改めて言われると恥ずかしい。
あなた
さっきも聞いたよ?
柔太朗
知ってる、
柔太朗
でも、似合ってるのは俺が選んだからじゃなくて
柔太朗
あなたの下の名前ちゃんが着てるから
一瞬、言葉の意味を理解するのに時間がかかる。

固まる私を見て、柔太朗くんは小さく笑った。
柔太朗
そんな顔しないでよ、笑
あなた
だって……
柔太朗
かわいいね
さらっと落とされた言葉に心臓が止まりそうになる。

本人は平然としているのが余計ずるい。

しばらく何も言えずにいると、柔太朗くんが繋いだ手を握り直した。
柔太朗
次も選ぶからね
柔太朗
あなたの下の名前ちゃんが喜ぶ顔好きだから
その言葉に、今度こそ顔が熱くなる。

柔太朗くんはそんな私を見て満足そうに笑うと、握った手を離さないまま歩き出した。

夕暮れの街の中。

少し前を歩く背中を見ながら思う。

きっと今日選んでもらった服は特別になる。

だって服そのものじゃなくて、柔太朗くんが向けてくれた優しさごと、好きになってしまったから。

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