今日は久々の柔太朗くんとのデートの日。
今は私が好きな古着屋巡りをしている。
古着屋を何軒か回った後。
そう言うと柔太朗くんは足を止めた。
そう言いながらも、少し楽しそうに店内を見回す。
そして数秒後にはもう服を手に取っていた。
差し出されたのは、自分じゃ絶対選ばないような服だった。
妙な説得力がある。
半信半疑のまま試着室へ向かい、着替えてカーテンを開ける。
柔太朗くんは一瞬だけ目を見開いた。
その反応だけで、なんだか恥ずかしくなる。
文句を言うと、柔太朗くんが笑う。
言われるまま一回転すると、柔太朗くんは腕を組んだ。
気づけば全身コーディネートが始まっていた。
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全部選び終わって鏡の前に立つ。
いつもと少し違う自分。
そう呟くと、隣に立った柔太朗くんが鏡越しにこちらを見る。
少しだけ距離が近づく。
さらっと言われたその言葉に、心臓が跳ねた。
柔太朗くんは意味が分からないという顔をしたあと、少しだけ笑う。
そしてレジへ向かいながら、
なんて当然のように言う。
柔太朗くんは満足そうに笑う。
そのまま会計を済ませて店を出ると、夕方の街は少しだけオレンジ色に染まっていた。
そう聞くと、柔太朗くんは少し考えるように前を向いた。
その返事が嬉しくて思わず笑う。
すると柔太朗くんが繋いでいた手を軽く引いた。
顔を上げた瞬間。
柔太朗くんの視線が真っ直ぐこちらに向く。
買ったあと、柔太朗くんにお願いされてお店からそのまま着てきた服を見つめて言う。
似合ってる、なんてさっきも言われたはずなのに、改めて言われると恥ずかしい。
一瞬、言葉の意味を理解するのに時間がかかる。
固まる私を見て、柔太朗くんは小さく笑った。
さらっと落とされた言葉に心臓が止まりそうになる。
本人は平然としているのが余計ずるい。
しばらく何も言えずにいると、柔太朗くんが繋いだ手を握り直した。
その言葉に、今度こそ顔が熱くなる。
柔太朗くんはそんな私を見て満足そうに笑うと、握った手を離さないまま歩き出した。
夕暮れの街の中。
少し前を歩く背中を見ながら思う。
きっと今日選んでもらった服は特別になる。
だって服そのものじゃなくて、柔太朗くんが向けてくれた優しさごと、好きになってしまったから。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。