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皇室典範を巡る会談に臨んだ(左から)日本維新の会の藤田文武共同代表、自民党の麻生太郎副総裁、小林鷹之政調会長=6月30日、国会内
女性皇族が結婚しても皇室に残ることなどを可能とする皇室典範改正案が、17日にも成立する見通しとなった。法案が皇位継承の在り方にまで踏み込んだことで、与野党から異論が噴出。「立法府の総意」とは程遠いが、今国会での成立にこだわった麻生太郎自民党副総裁が直接、与党交渉に臨み押し切った。「『置き土産』にするぐらいの気合が入っていた」。周辺は麻生氏の“執念”を語る。
「何としても今国会において典範改正を成し遂げたい」。自民の「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」会長も務める麻生氏は、派閥会合で熱っぽく意欲を語った。
2024年に始まった与野党による皇族数確保策の議論は、2月の衆院選を経て与党が圧倒的多数を握ったことで加速。衆参両院の正副議長は6月上旬、(1)女性皇族が婚姻後も皇族身分保持(2)旧11宮家の男系男子を養子に迎える-を柱とする「立法府の総意」をまとめ、政府に提出した。
ただ政府案が判明すると流れが一転する。養子に男子が生まれたら皇位継承資格を持つことが新たに盛り込まれたことに、野党は「だまし討ちだ」と批判。与党の日本維新の会も養子の対象を「15歳以上」とする年齢制限の修正を迫った。
そこで麻生氏が動く。維新の藤田文武共同代表と直接交渉に臨み、一切の法案修正には応じられないと説得。「大義」を優先し、与党として足並みをそろえるよう迫った。藤田氏は「伏してお願いがあった」と明かした。
直後、維新は原案通り受け入れることを表明。藤田氏は「大変苦渋の決断ではあるが進むことになった」と語った。
◇ ◇
法案の国会審議でもつまずく。与党が衆院定数削減法案と「副首都」構想関連法案を強行に審議入りさせたことで、野党が全ての法案審議を拒否。皇室典範改正案の審議もストップした。
ここで麻生氏の意をくみ存在感を発揮したのが、麻生派出身で側近の森英介衆院議長。与野党の幹部を集め、皇室典範改正案を最優先で審議し、2法案は「互譲の精神」で協議するよう異例の「裁定」を下した。
維新は不快感をあらわに。官邸にも根回しせず、政府高官は「びっくりした」。高市早苗首相は定数削減法案の今国会成立を見送る判断を余儀なくされた。
ただ、麻生氏の「力業」の背景を疑問視する声もある。養親として、常陸宮家、三笠宮家、三笠宮寛仁親王妃家、高円宮家の四つが候補となるが、三笠宮寛仁親王妃の信子さまは、麻生氏の実妹でもあるためだ。
15日の参院皇室典範改正特別委員会では、信子さまに関する質疑が展開された。木原稔官房長官は、養子と養親をつなぐ際に麻生氏の政治的思惑を排除できるかとの質問に「養子縁組は養子・養親双方の自由な意思に基づいて行われる。恣意(しい)的要素(との懸念)は当たらない」と答弁した。
自らが政治力を発揮できる「今」の決着を急いだ麻生氏。自民ベテランは「議論が拙速すぎる。しっかり質疑時間を取るべき案件なのに、こんなに早く決めていいのか」と漏らす。異論がくすぶる中での法改正は、皇室の将来に禍根を残しかねない。自民重鎮は「立法府の総意とは言えないよな」とぼやいた。(村田直隆、小川勝也)