″ それじゃあ次、肝試しのペアを決めまーす! ″
合宿先のコテージにいたみんなが一斉に盛り上がる。
夏休みのサークル合宿。昼は川遊びやバーベキューをしていたのに、夜は肝試しをするらしい。
私は思わず肩を落とした。
昔からホラーが苦手なのだ。
怖いの?? なんて隣の友達に笑われる。
そう答えた瞬間だった。
聞き慣れた声に顔を上げる。
そこには佐野勇斗くんが立っていた。
サークルの人気者で、誰とでも仲良くなれる人。
私が返事をする前に、周りからも
″お似合いじゃん!″
なんて声が飛んできて、気づけばペアが成立していた。
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肝試しが始まると、私たちは懐中電灯を持って山道を歩いた。
暗い。
思っていた以上に暗い。
風で木が揺れる音だけでも怖い。
見れば私は佐野くんの袖をしっかり握っていた。
楽しそうに笑う声が少し悔しい。
その時、草むらから音がした。
反射的に彼の腕にしがみつく。
木の陰からお化け役の先輩が飛び出してきた。
私は悲鳴を上げて目を閉じる。
すると肩を軽く引き寄せられた。
耳元で聞こえた声に、少しだけ安心する。
目を開けると、彼は先輩に ″脅かしすぎですよ″ と笑っていた。
いつも通りのはずなのに、なんだか少しかっこよく見えてしまう。
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無事にゴールに着いた頃には、怖さよりも別の意味で胸がうるさかった。
彼は買ってきたジュースを渡してくれた。
そんなことを言いつつ彼は笑った。
それから急に静かになる。
遠くではみんなが騒いでいるのに、私たちの周りだけ時間がゆっくり流れているみたいだった。
不意に彼が口を開く。
一瞬、言葉が出なかった。
冗談みたいに聞こえるのに、その目は真剣だった。
夜風が頬を撫でる。
なのに顔が熱い。
やっとそれだけ言うと、彼は少し目を丸くして、それから嬉しそうに笑った。
その笑顔を見た瞬間、さっきまでの怖さなんて全部消えてしまった。
ありがとうございました!
リクエストあれば受け付けますᴗ ᴗ
次回お楽しみに♩
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。