第2話

💙 落し物
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2026/07/11 16:18 更新
生徒会の手伝いで、私は「落とし物ノート」の管理を任されていた。落とし物の名前や特徴を書いて、持ち主が現れたらチェックを入れる。地味な仕事だけど嫌いじゃない。

放課後、一人でノートを整理していると、ふと変な記録を見つけた。


『 好きな人への気持ち 』


落とし物の欄に、そう書いてある。思わず二度見した。

なにこれ?何かのいたずら??
ページを捲ってみると数日後にも同じような言葉が。



『 伝えられなかった言葉 』



さらに次の週には


『 勇気 』


意味がわからない。しかし、どうしても気になってしまった。

.

それから私は、その記録を探すようになった。落とし物が書き込まれるたびにノートを開く。そして見つける。


『 あの日の後悔 』

『 会いたい気持ち 』


でも、どれも落し物じゃない。なのに、どこか本気で書かれているような気がした。



ある日の放課後。ノートを見ていた私は、背後から声をかけられた。
太智
何見てるん?
振り返ると、そこに居たのは太智くんだった。わたしは慌ててノートを閉じる。が、遅かった。彼はノートの表紙を見るや否や
太智
あ、それって、
あなた
もしかして、書いてるの太智くんなの?
しばらく沈黙した後、困ったように笑う。
太智
バレたんなら仕方ないなぁ 、
あなた
なんでこんなこと書くの??
そう聞くと、彼は窓の外を見た。
夕日が差し込んでいる。
太智
落し物ってさ
太智
持ち主が見つかるまで、そこに置いとくやろ?
太智
だからや
彼は私を見た。優しい目だった。
太智
置き場所がなかったんよ。
意味が分からなかった。でも、なぜか目を逸らせない。
あなた
好きな人への気持ちも?
私が尋ねると彼は笑ってこくりと頷いた。
太智
でもな、
太智
今見つかったんよ。持ち主。
彼の視線がまっすぐ私に向いた。心臓がうるさい。
何も言えない私に、彼は少し照れたように笑う。
太智
本当はもっとちゃんと伝えようと思っとったんやけど、
窓から吹く風がノートのページをめくる。
ぱらり、と開いた最後のページ。
そこには今日の日付で、たった一行。


『 君への気持ち 』


私は思わず笑ってしまった。すると彼も笑う。
その瞬間、ようやく分かった。
あのノートに書かれていたのは、全部落とし物なんかじゃなかった。


ずっと、私へ向けられていた、小さなラブレターだったのだ。



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