遊園地の迷子センターでボランティアをすることになった私。
最初の日。
一緒の担当になったのは曽野舜太くん。
太陽みたいな笑顔。子供たちもすぐに懐いていた。
泣いていた男の子を笑わせたり、迷子の女の子に目線を合わせて話しかけていたり...
子供たちからは
「 舜太お兄さん 」 と呼ばれていた。
それもあって、優しい人なんだろうなと思っていた。
その時までは。
・
閉園後。
子どたちも帰路に着き、片付けをしている時だった。
高い場所にある荷物を取ろうと一生懸命背伸びをするも届かない。
…すると、後ろから ひょい、と腕が伸びた。
私のすぐ横。彼が荷物を取った。
近くて思わず 固まってしまった。
ほんまかいな、と笑われた。
それは昼間の優しいお兄さんそのものだった。
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数日後、私たちはまた一緒の担当になり、1人の女の子を預かることになった。その女の子が突然こんなことを聞いてきた。
私は驚き、慌てて否定した。なのに彼は平然としている。
女の子は悩むまもなく即答した。
彼は満足そうに笑う。わたしは頬が赤くなっているのが分かった。絶対にからかっている。そう思っていた。
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帰り道。
心臓がとまりそうになる。でも本人は前を向いたままいつもと変わらない様子だった。夕焼けがその横顔を照らしていた。
彼の言っていることが本当なのか、冗談なのか分からなくて。やっと絞り出した声で尋ねる。
すると、彼は立ち止まった。
彼は少し驚いたような顔をして ふっ、と笑う。
夕焼けに照らされた横顔が少し大人っぽく見えた。
数日後、あの女の子がまた私たちの元へとやってきた。
お姉ちゃん達、やっぱり仲良しだね!
なんて言われれば彼は そうやな。と笑って女の子の頭をそっと撫でた。
やっぱり子供たちは、大人よりもずっと正直なのかもしれない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。