日常に染み込んだ「小さな攻撃」
こういった女性に対する“自覚のない偏見”(アンコンシャスバイアス)がハラスメントにつながっているとキティ・グリーン監督は指摘する。
「私が若い女性の日常を描いたのは、#MeTooをハーベイ・ワインスタインの性的暴行事件だけで終わらせたくなかったからです。ハラスメントの根本には構造的差別があり、それは『職場でコーヒーを淹れるのは女性』などというアンコンシャスバイアスから始まり、マイクロアグレッション、そしてハラスメントへと進化するのです」(キティ・グリーン監督、以下同)
「マイクロアグレッション」は“小さな攻撃性”という意味で、女性やマイノリティ、障がい者など特定のコミュニティに対して否定的・差別的な態度をとる言葉や行動をさす。やっかいなのは、そういった言葉や行動が自覚なく起こるので、言っている/やっている側に差別の意識がないことがあり、受ける側もなんとなく許してしまう。
よく例としてあげられるのは、人種や性別に対する偏見をもとにした褒め言葉のような侮辱である。
「日本人にしては英語が上手だね」
「女性なのにコンピューターが得意ってすごい」
こうしたモヤっとする言葉を受けたことのある人は多いだろう。
分かりにくい「非言語の小さな攻撃」
言語的なマイクロアグレッションはまだ分かりやすいが、なかには非言語的なものもある。
ジェーンは上司から理不尽に怒鳴りつけられたあとに、上司に謝罪メールを強要される。そのとき、男性同僚2人は“優しげに”ジェーンが書いた謝罪メールを何度も修正する。そこには「君にはちゃんとした謝罪メールを書くことも無理」という無言のマイクロアグレッションが込められているのだが、男性たちは「善意で教えてあげている」と思い込んでいるようなのだ。
過剰な雑用をやらされる、存在を無視される、無能扱いされる……こういったマイクロアグレッションは、大きな差別に見えないないからこそ、ジェーンも文句が言えず、モヤモヤとしたストレスが積み重なり、抑圧されていく。
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