FRaU
〔PHOTO〕iStock
〔PHOTO〕iStock

女性や性に関して、本質から離れた表現をする日本

――「自分らしく」と自己を啓発しているようで「こうあるべき」とイメージを押し付けているのは、日本における女性のエンパワーメントをとりまく問題にも通じるように思います。昨年の国際女性デーで、日本経済新聞が実施した女性向けのエンパワーメント広告が炎上したことも記憶に新しいです。

小林:あの広告が炎上したポイントは複数ありますが、私が注目したいのは、もともと強い女性のイメージを持つAwichが「私たちは、強い。」というメッセージを表現していた点です。エンパワーメントとは、本来一人ひとりが持っている力に気づき、発揮できるようにするということですが、日本語の中に導入されると意味が変節されて、「能力強化」や「女子力」とも接続するような意味として解釈されることもあります。

海外から来た言葉を本質的に理解しない人がクリエイティブやメディアにいて、言葉が誤用され続け、正しい思考が伝わっていないように思います。

-AD-

――著書では、海外映画が日本で公開される際、柔らかで優しげなタイトルとビジュアルに変わってしまい、作品の内容やメッセージから離れてしまう問題についても指摘されています。

小林:例えば、2017年日本公開の映画『未来を花束にして』は、1910年代のイギリスで参政権を求めて立ち上がった女性たちを描いた作品ですが、原題は『SUFFRAGETTE』(※サフラジェット:女性にも参政権を与えるよう主張する女性団体のメンバーを指す言葉)でした。そのキービジュアルも、日本版はイギリス版やフランス版とは異なり、柔らかで優しげな印象を与えるものになりました。

写真は各国のキービジュアルを元にしたDVDジャケット。 (C)Pathe Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2015. All rights reserved.

たしかに「サフラジェット」という言葉は日本の観客には馴染みのないものですし、「フェミニズムを全面に押し出したタイトルにしたら、見る人が限定されてしまうだろう」と、配給・宣伝する側は想定したのかもしれません。ただ、サフラジェットたちがシンボルカラー(紫・白・緑)の花をブーケにしていたことはありますが、『未来を花束にして』という邦題は、路上でデモを行った女性たちの闘争とはかなりかけ離れています。時には路上で火炎瓶を投げ、命をかけて闘った女性たちの物語なのに、邦題と日本版ビジュアルからはそのような印象は意図的に削ぎ落とされてますよね。

SHARE

  • Facebook

  • X

  • URLコピー

FRaUこどもプレゼン・コンテスト2026