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――なるほど。イギリスの撮影現場では心理カウンセラーが立ち会うこともあると聞きましたが、インティマシー・コーディネーターは俳優のカウンセリングもするのですか?

西山:いいえ。インティマシー・コーディネーターは親密なシーンにおいて俳優のヒアリングはしますが、カウンセリングはしません。欧米ではインティマシー・コーディネーターとは別に心理カウンセラーが現場にいることもあると聞いていますが、あくまで俳優たちの同意の下に監督の表現を広げるという中立的な立場です。脚本を変えたり、制作をコントロールしたりはしません

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日本での普及を阻むもの

――制作陣のビジョンは変えない、ということですね。これまで制作陣や俳優からどのようなフィードバックがありましたか?

西山:監督たちからは「俳優たちの合意を得ているから安心して撮影ができる」、俳優たちからは「撮影前の不安が減って、やることが明確になったので演技に集中することができる」などというフィードバックをいただきました。

――日本で2人目のインティマシー・コーディネーターとして2020年から活躍されていらっしゃいます。これまでに、10作品以上の映画やドラマなどの撮影に携わってこられたとか。日本で起こっている#MeTooをきっかけに、インティマシー・コーディネーターのお仕事は増えたのではないでしょうか?

西山:実はそんなに増えていません。2020年にこの仕事を始めた当初、思った以上に仕事が来ました。そして、インティマシー・コーディネーターになりたいと言ってくださる方もたくさんいます。しかし、現時点でインティマシー・コーディネーターの仕事だけで食べていくのは無理でしょう

第一に、需要が沢山あるわけではないこと。メディアにも取り上げていただき、問い合わせも受けるのですが、多くの制作会社にインティマシー・コーディネーターを起用する予算がなく、たまに「雇うお金がないから、インティマシーコーディネーターなしでも安全にできる方法を教えて」などと言われるほど。

第二に、撮影スケジュールが急に決まることがあり、なかなか予定が立てられません。例えば、ドラマの1シーズンを3週間で撮影するとしても、そのなかで私が担当する仕事は数日ほど。私はロケコーディネーター、プロデューサー、制作など様々な仕事をしていますが、撮影スケジュールがなかなか決まらないから、他の仕事を入れるのが難しく、結局、私の収入は低くなってしまいました。

第三に、日本でのギャラが低いこと。アメリカのインティマシー・コーディネーターは、1日8時間労働の金額が決まっており、超過した時間にも対価が規定されている。SAG-AFTRA(全米映画俳優組合と米国テレビ・ラジオ芸能人組合が合体した労働組合)は2020年にコーディネーターの導入を推奨する声明を出し、IPA(Intimacy Professionals Associations)を含めた7つの団体が認定してインティマシー・コーディネーターの業務に関するガイドラインを作りました。

一方で、日本には業界を統括するような組合もないので、ガイドラインもありません。今年と来年はインティマシー・コーディネーターを浸透させるために、私はアメリカよりもずっと安価な値段で働いていますが、今後、インティマシー・コーディネーターの需要が増えるかどうかは分かりません。

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