国会図書館で「著作者本人です」と言ったら不思議な空気になった
その日僕は国会図書館にいました。
日本中のありとあらゆる本、そのすべてが揃うと言っても過言じゃない、図書館界の頂点のような存在です。
普通の図書館なら棚に並べられている本を自分で探して見つけますが、さすがは国会図書館。一部の新聞や地図を除き、本は全く並べられていません。
そのかわり目当ての本を検索するパソコンが置かれた机がおびただしい量並んでいて、実際に手に取りたい本は申込みをして書架に取りに行ってもらうスタイルになっています。
僕が国会図書館に行った理由は、とある譜面を確認したかったからです。
自分が10年以上前に書いた自作曲の譜面なのですが、東京の自分の家には無く、実家にしかありません。しかし仕事の都合でなるべく早く、その時書いた譜面を確認する必要が出てしまったのです。
言うまでもなく、その譜面は国会図書館にちゃんと保管されていました。日本での出版物は国会図書館に納入することが発行者に義務付けられていますので、当たり前といえば当たり前なのですが。
その譜面にはDVDが付いていたので、一般の本としての扱いではなく「メディア類」としての区分になっていました。メディア類専門の受付に申込みをし、15分ほどでその譜面やDVDと対面することができました。
国会図書館は、普通の図書館のように「借りて家に持って帰る」ということができません。研究の対象か、裁判に必要か、その他の何かれっきとした理由がないと館内貸し出しさえ申請できないのです。(まぁ、娯楽じゃなく研究だと言えば貸してくれますが⋯⋯笑)
受け取った譜面を確認し、知りたかったことはだいたい思い出せましたのでこれで解決なのですが、司書さんに「この譜面を複写(コピー)申請ってできるんですか?」と聞いてみました。メディア類に扱われるものの複写は、僕もやった経験がなかったのです。
「はい。できますが、著作権法で2分の1までしかコピーできない決まりになっているんです」
僕が欲しかった楽譜は4ページありましたから、2ページ分は複写できますが、ほかの2ページ分を複写することはできないということです。
確かに全部の印刷を許してしまうと、どんな売り物の譜面でも国会図書館に来れば手数料だけで印刷し放題になってしまいますもんね。
「そうですよね⋯⋯。ちなみに⋯⋯」
僕は半ば諦めつつ、ダメ元でつぶやいてみました。
「この譜面の、著作者本人なんですが、それでも難しいですかね⋯⋯?」
《えっ⋯⋯!》
という顔をされた司書さん。
「そう⋯⋯ですか。ちょっとお待ちいただけますか」
周りにいた司書さんも数名集まってきて、なにやら色々と会話をしています。ある女性の司書さんは途中どこかに電話をしたり、男性の司書さんは裏のラックから厚いファイルを取り出してきて色々調べてくださっています。
司書さんを最後まで悩ませてしまったのは、どうやら僕のペンネームである「事務員G」です。著作者は「事務員G」ですが、いま窓口に立っているこの男が、本当にその「事務員G」本人なのかどうか⋯⋯ということです。当然、申込みは本名ですしね。
確かに、僕も「事務員G」名義で発行された公的な書類は持っていませんからダメでも仕方ないよな、と諦めかけていました。
そして15分ほど経ち___
「著作者ご本人ということですので、すべてコピーしていただけます」
おお、すげぇ!マジか!笑
譜面に自分の写真が載っていたのが証明になったのかもしれません。
(※これは僕の知りうる範疇ではない、ただの憶測です)
それから司書さんに言われるがまま、何枚かの申し込み書類を書きました。めったに作らない書類だったらしく、司書さん同士も「あれ、こっちをコピーするんでしたっけ」「いや、この2枚目をコピーするって書いてあったはず」などと苦戦しています。
コピーする理由を書く欄の『研究対象』にチェックマークを入れて提出しましたが、司書さんに「研究対象ではなく、『その他』にチェックを入れて、その横に『著作者本人』と書き込んでください」と言われ、そのようにしました。
最終的に「この1セットを持ってコピー依頼のカウンターに行ってください」と言われ送り出されます。
コピー受付の方も、僕から書類を受け取って確認していると「ん?⋯⋯(しばらく書類を見つめる)⋯⋯あぁ⋯⋯なるほど⋯⋯」と小声で言っていて、やはりあんまり無いタイプの用紙だったのでしょうか。
それから30分ほどで取りに行くと、無事にコピーはできあがっていました。
コピーを受け取り、譜面そのものをメディアカウンターに返却しに行き「お手数をおかけして申し訳ありませんでした」と言うと、司書さんは「良かったです。すみません、いろいろと調べる時間を頂戴して⋯⋯」とひとこと。
いやいや、まさか本当に大丈夫になるとは思っていませんでしたよ⋯⋯!笑
とても貴重な体験ができました。
丁寧にご対応いただき、本当にありがとうございました!
国会図書館、本当にすばらしい施設なのでぜひみなさんも行かれてみてはいかがでしょうか!
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その特徴を持つ資料はおそらく茶色っぽいアレかなー?(即、NDLを検索した司書資格持ち特定厨) 筆名の作家が著者であることを証明する方法って少ないのか……。