1.6億円の点滴のために来日→治療が終われば即帰国ってアリ?外国人の「ディスカウント治療」にモヤモヤが止まらない
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日本の医療は質が高く、患者負担は驚くほど抑えられている。だが、その手厚さは、制度の想定を超えた使われ方を招く可能性もある。外国人患者診療の現場に立つ医師が、医療制度の“善意”が抱える危うさを明かす。※本稿は、東京大学医学部附属病院国際診療部副部長の山田秀臣『外国人患者:医療ツーリズムと日本の現実』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 大企業で働く外国人の中に 散見されるケースとは? ある病院のナースステーションで 看護師A「今度入院するXちゃんのお父さんは外資系企業で働いている外国人のビジネスマンで、英語対応が必要だって主治医の先生から聞いたけど」 看護師B「それは大変だあ。でも彼らにしたら、子供の心臓の手術を海外で受けるわけでしょ? 頑張って私たちもサポートしないとね。あ、先生が来た」 主治医「さっき、日本は無料で子供の治療が出来る素晴らしい国だとXちゃんのお父さんに褒められてね……。嬉しいけど、なんかモヤモヤするね。確かに自治体からの補助で子供の治療は無料だから、うちもお金は入るし助かりはするけど……」 東京には外資系やIT系、商社など多くのグローバルカンパニーが集まる。外国語を話しながら丸の内を闊歩するビジネスパーソンを見かけることも日常の風景だ。 こうした外国人が得ている日本の在留資格のほとんどは家族帯同が可能で、家族と一緒に日本で生活することが多い。就労が可能な在留資格のうち家族帯同が許されていないのは「技能実習」と「特定技能I」、そして「留学」の一部である。 ところが大企業で働く外国人の中には、病気の子供の治療が目的で日本に来たのではないかと思われるケースが散見されるのだ。
例えば、先天性の心臓奇形などは生まれて数年後に手術を行うことが多いのだが、その時期に合わせて日本に赴任したり就職したりするケースだ。 それが必ずしも悪いことだとは言わない。日本の医療レベルの高さを認めて、子供の病気のためなら日本で働こう、日本に骨を埋めようとまでは思わないにしても、日本社会に対して何らかの貢献をしてくれるならそれで充分という考え方もある。 ● 医療現場にいるものとしては 釈然としない思いを抱くことも だがご存知のように、東京都を含め多くの自治体で子供の治療費は無料となっている。 高額な治療をしても、患者の家族が負担する治療費はほぼゼロで済むわけだが、外国人で日本に赴任しても短期間しかおらず、すぐに転職して離日してしまうというケースがまま見られると、それが狙いだったのか?と疑いたくはなる。 子供の治療が終わってすぐに離日してしまうケースさえあるのだ。 短期間であっても良い人材が日本で働くのは悪いことではないという考え方もあるだろうが、医療現場にいるものとしては釈然としない思いを抱くこともある。 例えばゾルゲンスマという点滴薬がある。脊髄性筋萎縮症(SMA)という先天性の難病の治療に使われ、値段は約1億6700万円である。 脊髄性筋萎縮症は脊髄の神経束の中にある筋肉を動かす神経細胞が弱っていき、それとともに手や足がうまく動かせなくなっていく。だいたい1歳を過ぎるまでに見つかるタイプが多く、10万人に1〜2人というとても珍しい進行性の遺伝子病だ。 神経細胞の中にあるSMNという蛋白が少ないことが原因であるため、このSMNを後天的に作れるようにしたのがゾルゲンスマだ。治療は遺伝子検査により診断がついた2歳未満の子供が対象となる。 治療としては60分ほどの点滴を1回行うだけで終了する。治療費に関しては特定小児疾患の難病でもあり、高額療養費や子供の医療助成を使えば支払いはゼロとなる。
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