「中国の干渉」を理由にトランプがゴリ押しする選挙改革「セーブ・アメリカ法」 共和党に慎重論がある理由 #エキスパートトピ
トランプ大統領は7月16日、国民向けのTV演説で2020年大統領選挙に中国が干渉したとして、選挙改革の必要を強調した。
ただしそこには疑問の余地もある。
米CNNによると、トランプ政権が公開した内部資料に明確な証拠はない。たとえば公開された資料には中国によるサイバー攻撃の事例もあったが、大半は国防、報道、医療機関へのもので、選挙管理委員会などのものは含まれていないという。
とすると「中国の干渉」はむしろ選挙改革を進める方便とみられる。トランプ政権主導の選挙改革には一部の共和党議員からも異論があがっているからだ。
ココがポイント
トランプ大統領 国民向けテレビ演説 過去の大統領選挙めぐり“中国が有権者データ不正取得”と主張
共和党では最近、一部の議員がトランプ氏にあらがう動きを見せている。
出典:BBCニュース 2026/6/24(水)
(前略)パスポートを持っていない低所得層や労働者階級の米国人も同様に影響を受けることになるという。
出典:時事ドットコム 2026/4/22(水)
Trump is growing tired of hearing ‘no’ from Thune.
出典:News8000.com 2026/6/24(水)
エキスパートの補足・見解
トランプ政権が主導する有権者資格保護法案(セーブ・アメリカ法案)は、有権者登録にあたってパスポート、出生証明書などの提示を義務づけ、「市民権の証明」を厳格化するものだ。
米国では現行法でも投票権は国民に限られ、非市民の不正な関与もほとんど確認されない。
それにもかかわらず証明が過度に厳格になれば、パスポートなどを持たない低所得層だけでなく、トランスジェンダーや結婚で名前の変わった女性も手続きが煩雑になり、投票機会が妨げられると民主党や人権団体は批判する。トランスジェンダーや女性は共和党支持者が少ない。
この法案は下院ですでに可決されたが、上院ではまだだ。上院で少数派の民主党は長時間の演説などによる議事進行妨害(フィリバスター)で法案採決を阻んできたからだ。
業を煮やしたトランプは共和党上院を束ねるジョン・スーン院内総務にフィリバスター廃止を要求したが、断られた。スーンはもともとトランプと一線を画してきた。
そのためトランプが本来無関係の予算案と抱き合わせでの採決を要求するといったゴリ押しを強めるにつれ、共和党内の分裂も目立ち始めている。
こうしたなかでの「中国の干渉」には選挙改革をめぐるトランプの苛立ちをうかがえる。