昨日投稿できなくてごめんなさい🙇♀️🙇♂️
その代わり少し長めに書いて見ました!
それでは本編へどうぞ😊
ー太智sideー
仁人と2人仕事の日。
いつもより少しだけ静かな楽屋に、落ち着かない空気が流れていた。
ソファに座って、手元のスマホで台本データを開く。
文字を目で追っているのに、内容が頭に入ってこない。
スクロールする指だけが、やけに機械的に動いていた。
ここ最近、ずっとこんな感じだ。
やることはちゃんとやってる。
ミスも最小限に抑えてる。
でも、余裕がない。
ほんの少しのことで、気持ちが揺れる。
「……はぁ」
小さく息を吐いて、スマホの画面を閉じた。
そのタイミングで、
「太智」
名前を呼ばれる。
顔を上げると、仁人が立っていた。
仁「今日さ」
「うん?」
仁「“大丈夫”禁止ね」
一瞬、何を言われたのか分からなくて、少しだけ笑う。
「なにそれ」
軽く流そうとする。
でも仁人の表情は、思ったより真剣だった。
仁「そのまんまの意味」
逃げ場を作らない言い方。
一瞬だけ目を逸らして、
いつものように言葉を返す。
「大丈夫だって」
反射みたいに出た一言。
その瞬間、仁人が小さく息をついた。
仁「ほら、それ」
静かに指摘される。
胸の奥が、少しだけざわつく。
「……別に無理してないし」
言い返す。
でも、声に力が入らない。
自分でも分かるくらい、弱い。
仁「してるよ」
即答だった。
迷いがなくて、逃げ道もなかった。
仁「みんな忙しいから、言えないって思ってるでしょ」
図星を突かれて、言葉が止まる。
一瞬で、何も言えなくなる。
否定したいのに、
うまく口が動かない。
「……」
沈黙が落ちる。
その静けさが、やけに痛い。
視界の端が、じわっと滲んだ。
「あ、」
こぼれた。
一滴、膝の上に落ちる。
その瞬間、張り詰めていたものが一気に緩んだ。
「……っ、ごめん」
慌てて顔を逸らす。
こんなところで泣くつもりなんてなかったのに、
どうしても止められない。
呼吸が少しだけ乱れる。
うまく息が吸えない。
仁人は何も言わなかった。
驚くことも、慌てることもなく、
ただ隣に座る。
少しだけ距離が近くなる。
仁「いいよ」
短い一言。
それだけで、余計に涙が出そうになる。
「なんか……さ」
途切れ途切れに言葉を探す。
「ちょっとだけ、無理してたかも」
やっと出た本音。
口にした瞬間、また涙がこぼれる。
仁「うん」
仁人はそれ以上何も言わない。
ただ、ちゃんと聞いている。
それが分かる。
「仕事増えたの、嬉しいんだけど」
声が震える。
「でも、なんか追いつかなくて」
少しずつ、言葉が出てくる。
止めていたものが、ゆっくりほどけていく。
「みんなも大変なのに、自分だけ言えないって思ってて」
指先に力が入る。
「だから、大丈夫って言ってた」
自分でも分かっていた。
その言葉が、本当じゃないこと。
「……でも」
一度、言葉を切る。
喉が詰まる。
「ちょっときつかった」
ようやく出た言葉は、とても小さかった。
でも確かに、本音だった。
仁「うん」
変わらない相槌。
急かさない、否定しない。
ただ受け止めるだけ。
それが、今は一番楽だった。
「……大丈夫じゃなかった」
ぽつりと落ちる。
その一言で、
2週間分の無理が、全部言葉になった気がした。
少しの沈黙のあと、
仁人がふっと息を抜く。
仁「やっと言った」
その声は、少しだけ優しかった。
仁「知ってたけど」
ほんの少しだけ笑う気配。
責めるような感じは、全然ない。
仁「みんな忙しいのは本当だけどさ」
静かに続ける。
仁「だからって、太智が我慢する理由にはならない」
その言葉が、まっすぐ届く。
さっきまで張り詰めていたものが、
少しずつほどけていく。
仁「頼っていいんだよ、普通に」
「……いいの?」
不安が残ったまま、聞き返す。
仁「いいに決まってる」
即答だった。
迷いがなくて、
それだけで少し安心する。
肩に、軽く手が触れる。
強くない、でもちゃんと分かるくらいの力。
その温度に、ようやく体の力が抜けた。
仁「あとさ」
「うん」
仁「落ち着いたらでいいから、みんなにも言おう」
少しだけ考える。
勇斗も、舜太も、柔太朗も、
きっと同じように忙しい。
でも――
「……もうちょい元気になったら」
小さく答える。
仁「それでいい」
すぐに返ってくる。
無理に急かさない、その感じがちょうどよかった。
楽屋の静けさは変わらないのに、
さっきまでとは全然違って感じる。
呼吸が、少しだけ楽になっていた。
そっと目を閉じる。
隣に誰かがいるだけで、
こんなにも違うんだと思った。
一人じゃない。
その事実が、
今は何よりも大きかった。
ーendー
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。