ー仁人sideー
朝からM!LKで、雑誌撮影、収録、ダンスレッスン、打ち合わせ。
太智はいつも通り動いている。
笑って、受け答えして、ちゃんとこなしてる。
でも、
勇「太智、ここさっきと逆」
太「あ、ごめん」
その小さなズレを、見逃さなかった。
太智がミスをするのは珍しい。
しかもここ最近、少しずつ増えている。
柔「え、太ちゃんが?」
柔太朗が驚く。
太智はすぐに笑ってごまかす。
太「たまにはあるって」
その“たまに”が、ここ数日で何回目か、
ちゃんと覚えていた。
舜「ほんとに大丈夫?」
舜太が聞く。
太智「うん、平気」
またそれだ、と思う。
太智の「大丈夫」は、最近軽すぎる。
軽いくせに、どこか無理してる音がする。
────
収録前の楽屋。
舜太が動画を見せて、みんなで笑ってる。
太智も笑ってる。
でも、ほんの一瞬遅れる。
普通なら気づかないくらいのズレ。
でも、ずっと見てると分かる。
小さく息を吐いた。
(絶対、無理してる)
でも、ここで言っても
太智は絶対に「大丈夫」って返す。
みんな忙しいのは事実で、
それを理由に、太智が引いてるのも分かる。
だから、あえて何も言わなかった。
「太智」
少しだけ声をかける。
太智が振り向く。
「今日、早く終わる?」
太「うん、そのはず」
「そっか」
それ以上は聞かない。
今じゃない、と思った。
無理やり引き出すのは違う。
ちゃんと、太智が崩れるタイミングでいい。
夜。
ふと、今日の太智を思い出す。
笑ってた。
ちゃんとやってた。
でも、それだけだった。
(あれ、長く続かないやつ)
なんとなく、分かる。
だから決めた。
次に2人になる時は、
絶対に見逃さない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。