ー仁人sideー
柔「よっしー、外でよっか」
小さく頷き、会場の外へ移動する。
外に出ると、空気がひんやりしてた。
さっきまでの音が嘘みたいに静かで、少しだけ息がしやすくなる。
「……はぁ…」
ゆっくり吐く。
まだ少しだけ呼吸は不安定だけど、さっきよりはちゃんと整ってきてる。
柔「…落ち着いた?」
柔太朗の声。
「うん、ちょっと」
そう答えると、勇斗が近くで様子を見てくる。
勇「無理してない?」
「してない、大丈夫」
今はちゃんとそう言える。
勇斗が小さく頷く。
勇「ならよかった」
少しだけ間が空く。
さっきまでの焦った空気はなくて、静かで落ち着いた時間。
勇「今日ちょっとやばかったよね」
勇斗がぽつりと言う。
責める感じじゃなくて、確認するみたいな言い方。
「…うん」
正直に頷く。
「途中からちょっときつかった」
柔「だよな」
柔太朗も軽く頷く。
勇「朝からちょっと来てそうだったし」
そこで少しだけ気まずくなる。
勇「今度からさ、やばくなる前に言って」
勇斗が続ける。
勇「今日みたいになる前に止めた方が楽だし」
「うん…」
柔「明日もあるしな」
柔太朗がやわらかく言う。
その言葉で、少しだけ気持ちが軽くなる。
勇「ちょっとここで休んどく?」
勇斗が周りを見ながら言う。
勇「まだ完全じゃないでしょ」
少し迷ってから頷く。
「…ちょっとだけ」
勇「いいよ、それで」
壁の近くに移動して、少し寄りかかる。
外の空気が落ち着いてて、呼吸もしやすい。
「……はぁ…」
ゆっくり吐く。
さっきよりもちゃんと深く吐ける。
そのとき、
舜「仁ちゃん大丈夫!?」
後ろから声。
振り返ると、舜太と太智が走ってくる。
舜「今スタッフに呼ばれててさ!」
太「戻ってきたらなんかバタバタしててびっくりしたんだけど!」
2人とも少し焦ってる。
「大丈夫、今は落ち着いてる」
勇斗が先に答える。
太「ほんとに?」
太智が近くまで来る。
「うん、ちょっと休んでるだけ」
そう言うと、2人ともほっとした顔をする。
太「よかったぁ…」
舜「さっきの音やばかったよね」
舜太が言う。
柔「あれ普通にびっくりした」
太「顔色もやばかったって聞いてさ」
太智が心配そうに見る。
太「今は平気?」
「うん、大丈夫」
今度はちゃんと笑って言える。
太「ならよかった」
2人とも安心したみたいに頷く。
勇「今日はちょっと来てそうだったし」
勇斗が軽く言う。
柔「次からは早めに言ってね、その方が安心するし。」
柔太朗も続ける。
柔「明日は本番だし」
その言い方がやさしくて、ちゃんと受け取れる。
「…うん、言う」
小さく頷く。
勇「ちょっとみんなで休んだら戻ろう」
勇斗が言う。
勇「無理はしないでいいから」
みんなも「そうそう」って感じで頷く。
その空気が少しあったかい。
「……はぁ…」
もう一回ゆっくり吐く。
呼吸はほとんど戻ってる。
さっきまでの怖さも、だいぶ引いてきた。
柔「もうそろいけそう?」
柔太朗に聞かれる。
「うん、大丈夫」
今度は迷わず答える。
勇「じゃあ様子見ながら戻るか」
その一言で、みんなが動き出す。
壁から離れて、一歩踏み出す。
少しだけ不安はあるけど、さっきみたいな感じじゃない。
(次はちゃんと言おう)
そう思いながら、みんなと一緒に中へ戻った。
ーendー
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。