「ちゃうわ! 借りる側が契約書を作って持っていくのが常識や! お前、常識ないんか!」

 その言葉に呼応したのが、後援会長の元県議だった。彼は私の正面に座っていた。

「そうなんさぁ」

 彼は半ば呆れたように、地元の方言まじりに言った。

「契約書をちっとも作って持ってこうへんから、うちのカミさんも『もう青沼さんは信用できへん』って言うとるんさぁ」

「ほら見ろ。お前が常識ないんや!」

とにかく常識が通用しなかった人々、そして旧立憲系の候補者は選挙で惨敗

 このあと弁護士にも確認した。賃貸契約の契約書はどちらが作成して示すという法的根拠はない。だが、物件を貸し出すオーナー側がより自分に有利になるように契約書をまとめてサインと押印を求めることが常態化している。地元の会社経営者や不動産関係者にも尋ねてみた。貸主が契約書を示す。それはどこにいっても同じだ、と異口同音に、半ば呆れながら、答えていた。

 この日を境に、選対委員長の現職県議は私のことを「お前」と呼び、選対会議でも暴言が飛び交うようになった。

 全体会議の場でも、平然と私を罵った。それも私に報告を求めながら、その内容について、

「おお、そうか! 俺は、まったく違うことを聞いているがな!」

 などと貶める。報告者に必要な情報を与えずに、間違った報告をさせる。それを会議の場で罵ることは典型的なハラスメントのはずだ。

 明らかに私に対する態度と他の地方議員への態度は異なっていた。暴言、嫌がらせの類は数えあげたらキリがないが(サイト連載にはもっと他の具体例もある)、そんなことが続きながら、私と行動を共にする事務所の若いスタッフまでが、やはり暴言や悪態で疲弊するようになっていった。これは問題だと感じて、選対委員長をはじめ幹部に、三重県選出の国会議員が立ち会いのもとで、これまでのことを抗議したことがあった。私以外の人間が傷つくことが許せなかった。

 そのとき選対委員長の現職の県議は、手を震わせながらこう言った。

「いままでのことは、全部謝ります!」

 でも、それも嘘で、選挙が終わると強がるようにこう言ってきた。

「あのときは、ああ言いましたけど、指摘されたことはハラスメントだとは思っていませんので!」

 彼は私が指摘した事実を認めながら、暴言やハラスメントだと思っていない、というのだ。

「あの時は、ああでも言って(謝って)おかないと、選挙がめちゃくちゃになると思ったから、ああ言ったまでです」