WSOP行ったら大麻でオーバードーズして緊急搬送された話
シーザーズパレスでキャッシュを打ったあとホテルに戻った。
その時、彼女から電話が
「いま緊急搬送されてラスベガスの病院にいるの・・・」
すぐさまUberを呼んでスプリングバレー・ホスピタル・メディカル・センターに向かうのだった・・・
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序章
「女を連れて海外ポーカーに行く」
これは海外ポーカーをしたことがある人なら誰でも見たことがある光景だと思うし、これを読んでいる人の中には女を連れて海外トーナメントとかに行ったことがあるかもしれない。
この「女を連れて海外ポーカーに行く」に自分は憧れていて、一回でもいいからやってみたい!と思い今回のWSOPに行くことにした
Kurus:筆者
Aさん:女性の方、若干ADHD寄りでドーパミン中毒、いわゆるドパガキ
Aさんとは去年知り合った。Aさんは境遇や周囲の環境が劣悪で才能を活かせていないという問題を抱えていた。「環境さえ変えれば、この人は化けるかもしれない」、童話の『みにくいアヒルの子』のように彼女を見ていた。いつか才能が花開き、白鳥のようになるのではないかと。
ちょっとだけステーキングという形で自分が支援するという形で、WSOPという世界最大のポーカー大会に行くことになった。愚かにも私は「みにくいアヒルの子」を信じてしまった。
仁川でのトラブル
今回は成田→仁川→ラスベガスというルートを使った。
仁川では4時間くらい滞在するというスケジュールだった。まずこの仁川でどうするかで成田エクスプレスの車内で話し合っていたが、この話し合いで価値観のすれ違いが起きた。
Aさんとしてはこのトランジットの間にパラダイスシティに行きたいと言い出した。私はこんな短時間でパラダイスシティに行ってもほぼ何もできないし、搭乗時間に間に合わない可能性があるからやめようと言った。飛行機間に合わないし、パラダイスシティのカジノに行くことではなくラスベガスに行くこと目的だからやめようと提案した。そしたらAさんは
『Kurusくんはリスクが取れない人間なんだね』
と言ってきた。自分はその一言がすごくイラついてしまった。イラつきすぎて逆にじゃあパラダイスシティ行くわとムキになり行くということになってしまった。
Aさんは明るい性格で非常にノリが良い、色々なイベントに顔を出して非常に友だちが多い。ただしドーパミン中毒な面もあり、リスクがあっても楽しいのであればOKという傾向がある。また厄介なことに自分が決めた意思決定は絶対に通すし絶対に折れない。
日本に居たときにAさんが「アングラポーカーに誘われたから打ち子として行く」と言い出したことがある。Aさんが言うには、タワマンで行われているポーカーで金持ちを呼び出して、組打ちをして金持ちからお金を取るというのが目的らしい。その人数合わせとして時給をもらって打ち子をやりに行きたいと言ってた。私はアングラポーカーなんてリスクしかないし法律違反だからやるべきではないと彼女を止めた。だが彼女はタワマンのポーカーは毎日部屋を変えて行っている、3部屋くらいありローテーションしているからバレない、もし警察が来たとしても捕まるのは主催者だけでプレイヤーは罪には問われないと主張された(このときは押されて納得したがプレイヤーも単純賭博罪だからだめだけどね)。私は彼女に反論を続けるのだが
『君は”専業”を見たこと無いんでしょ?』
と彼女は私にこういう挑戦的な発言をしてきた。
この発言に私はかなりイラついてしまった。日本のポーカーの友達、フィリピンのFTで仲良くなったおじさん、去年のWSOPで激闘をしたライバルたち。私だけでなく、私の仲間やライバルにもリスペクトがない。私はすぐさま反論した。海外で会ったことあるよと、そしたら彼女は
『それは”トナメ専業”でしょ?w』
これを聞いてもう議論する気は失せた、しょうもないアングラで打っている日本人が専業っていう人たちならそれでもいいよと、私とは生きている世界や価値観が違うのだなとおもって、じゃあアングラポーカー行ってくればと言った、少なくとも「私は止めたからね」とだけ。彼女は
『○○○(有名ポーカープレイヤー)や○○○(有名プレイヤー)も来たことあるよ』
とアングラポーカーに参加することの正当性を主張しはじめたので、じゃあ行ってくればと送り出した。結局バンクロールが足りなくて行かなかったようだが。
こういった用に彼女は楽しければ危険なことにも飛び込むし、自分の意思決定は周りがアドバイスしても絶対に折れることがないという性格だった。
ただこのままだとただの狂ったやつにしか見えないので、彼女の名誉のために言うとこういったドパガキ傾向を除けば、まあまあいい奴なのである。
飛行機に乗り込み成田空港を出発し仁川国際空港に到着した。Aさんはパラダイスシティに行く気満々だ。到着したのはターミナル2だった。パラダイスシティが近いのはターミナル1だ。ターミナル2は反対方向にあり時間がかかる。そんな状況でもAさんはパラダイスシティに行きたいと言い出したので渋々同行することに。パラダイスシティに行くためにイミグレーションの列に並んだ。しかしイミグレーションが長蛇の列であり、時間的に厳しいと説得したら、彼女は折れてパラダイスシティに行かないことに納得してくれた。
私は飛行機に乗り遅れるかもしれないという心配がなくなり、安心してラスベガス行きの飛行機に搭乗するために、保安検査場へ向かった。
保安検査場で手荷物をトレーに入れているときに、Aさんから
『Kurus君!私のパソコンどこにやったの?』
と焦った声で私に呼びかけてきた。なんと彼女はパソコン(MacBookPro)を飛行機の中に忘れてきたのである。
私は「あぁ、ADHDだぁ」と心の中で思った。
彼女はラスベガスで動画を撮って投稿するために編集のパソコンや衣装などを持ってきているので大荷物だった。私は「どうせADHDだから動画なんて上げれやんやろ」と思っており、海外旅行の経験上大荷物は何かしらのトラブルになることが多い。案の定大荷物だからパソコンを忘れるという失態をしてしまっていた。
空港のヘルプセンターに行きパソコンを取りに行きたいと言いに行くも、もう飛行機は整備にはいってしまっており、取りに行くことはできないとカウンターで言われた。結果論だったが、パラダイスシティに行きたいといってイミグレーションで無駄な時間を過ごさなければパソコンを置き忘れたことにすぐに気付けたのだろう。
Aさんはパソコンがなくなってしまったことにショックを受けていた。パソコンの中には仕事のデータなど多くの思い出があり、それが失われたことがショックだったようだ。
ネットで調べたところ、紛失物は成田空港に送ってもらえることができるようなので、日本に帰ってきたときに取りに行こうということになった。
アメリカへ
ラスベガスに無事到着し、特に問題なくWSOPに参戦することができた。
PLOのトーナメントでは去年のWSOPのブレスレットホルダーとか、2位だった人とかと再会するなどしたが、自分の実力が低いこともあり、結果を出せず。
ラスベガスの物価が高いのでAさんと一緒にスーパーにいって買い出しに行った。水や食料などが安く変えるTargetというお店に行った。結構な買い出しをしてしまったので、重い荷物は私が持つことになった。
帰り道、PlanetHollywoodというカジノの前を通った。ラスベガスに行ったことがある人ならご存知かもしれないが、PlanetHollywoodの前には怪しい客引きの黒人がたくさんいて、いつも変な匂いがしている。Aさんからこの変な匂いが大麻の匂いであるということを教えてもらい、これが大麻なのかと知ることとなった。その怪しい客引きの黒人から声をかけられたら普通無視するのが普通だが、黒人から「ハッパ」と声をかけられた瞬間、ドパガキのAさんは黒人と話し始めてしまう。私は重い荷物を持ちながらイライラしながらAさんを待っていた。路上の客引きと話して良いことなんてないし、重い荷物を持っている私に気をかけないというデリカシーの無さに苛立っていた。
話が終わり彼女に荷物持たせて待たせていたことを伝えると、
「君が持ちたいって言ったじゃん」
と言われてしまい、私が悪かったのかと思い議論しても無駄だなと思ってしまった。その後、キャッチの黒人が大麻を売っていたようで、大麻の話題となった。彼女から大麻を一度やってみないかと提案を受ける。私は薬物とは無縁の世界で真面目に生きてきたので、大麻をやりたいと思わなかった。なので大麻はやらないと伝えると、彼女は、
「楽しめるときに楽しめないのはもったいないね」
と煽られた。
ポーカーの方はコロッサスに出場するも、Day2でバブルで飛んでしまう。
コロッサスに参加して、大麻を吸っているポーカープレイヤーは意外と多いということに気づいた。大麻の匂いがどのようなものかを学んだので、ブレイク後に大麻の匂いがしているプレイヤーがテーブルに1人くらいは存在している。
ポーカーのプレイヤーレベルと大麻は相関しておらず、大麻を吸っている人たちの中に強いプレイヤーも普通のプレイヤー存在していた。
大麻についてAさんに聞いてみた。大麻を吸ったことがあるらしく、リラックス効果に加えて、集中力が上がるということも教えてもらった。例えば大麻を吸うとStudでプレイヤー全員のホールカードを一瞬で記憶できるようになるとという、本当かどうか分からないが、人間の認識能力が向上するらしい。
緊急搬送
WSOP出れるトーナメントがなくなってしまったので残りの期間はキャッシュを行うかと思い、シーザーズ・パレスに向かった。シーザーズ・パレスでAさんとたまたま会ったが、「これから友だちと会うから」とそっけなくされた。
シーザーズ・パレスのポーカールームは去年と変わってリニューアルされていた。そこで1-3のキャッシュを撃つことに。おじさんテキーラをもらい飲みポーカーをして楽しかった。おじさんの息子は大学でエンジニアの勉強をしているということなどを話していた。ポーカーの最中Aさんから連絡が来た、Planet13というお店に言って大麻を買って、友達と一緒にホテルの部屋で楽しむらしい。
ここで日本人ポーカープレイヤーと大麻の関係について話しておく。SNSでは絶対に話題にならないが、一部のポーカープレイヤーにとってラスベガスで大麻を楽しむというのは一般的となっている。噂で聞いたところ多くの日本人が大麻を購入しているらしい。ポーカープレイヤーが気が狂ったようにバカラに張っている光景をたまに見るが、大麻でハイになって賭けているようだ。そういった日本人たちが大麻を買いに行く場所として人気なのがPlanet13という大麻専門ショップだ。内装はAppleStoreのようなおしゃれな大麻ショップらしい。
朝の11時頃、Aさんからこれからベラージオのホテルで大麻パーティをやるというLINEが来た。お酒、大麻シーシャ、ピザ、大麻チョコの写真が送られてきた。自分は心配していたし、誰とパーティしているんだろうなぁと心のなかでモヤモヤしていた。夜の9時頃シーザーズ・パレスでのキャッシュゲームが終わり、ホテルへ戻った。ホテルで仕事のミーティングがあったため、パソコンで会議をしていた。そのとき彼女から電話があり、ミーティングを一時中断して応答した
「いま緊急搬送されてラスベガスの病院にいるの・・・」
自分は驚きながらも、誰が搬送されたの?と聞いたら
「私が搬送された、迎えに来てほしい」
とお願いされた。彼女はクレカ限度額まで使っていて止められており、Uberなどが使えない。なので私が行かなければならない。適当な理由をつけてミーティングを途中退席してUberを呼び病院へ向かうことにした。
病院はスプリングバレー・ホスピタル・メディカル・センターというラスベガスにある病院。何が起きたのか彼女から電話越しに聞いた。
Aさん目線の話だと以下の状況だったらしい
Xさんという男性と二人でXさんのベラージオの部屋で大麻パーティを行った。
Aさんは大麻パーティのために寝巻きを持っていったらしい、寝巻きに着替えてパーティを始めた
お酒をのみ、大麻チョコを食べて、大麻シーシャを吸った。
Xさんから肉体関係を求められるもAさんは拒否をしたらしい
Aさんは大麻で意識が朦朧とし始める、Aさんは自衛のためにスマホで録音しようとしたらしい。
Xさんは録音されるのが嫌だったのでスマホを取り上げて使えないようにした
Aさんは大麻のオーバードーズとスマホが使えないなどの不安で、バッドトリップに入ってしまい、過呼吸で息ができなくなった。
Xさんに助けを呼ぶも、Xさんはドラゴンボールのようなアニメをみて無視していた。ホテルの部屋から出ることができず監禁のような状況だったらしい。
Aさんは臨死体験をし、死ぬという寸前で覚醒し、ベラージオのホテルを抜け出し、ヘルプミーと叫びながら他の部屋の扉を叩いて、その後緊急搬送されたらしい。
Xさんはその後どうなったかわからず、連絡ができない。Xさんの部屋に靴や帽子、服などを忘れてきた。電話した段階では靴がない状態。
救急車を呼んで病院に行ったことで高額な費用が請求されるらしい。
というらしい。Aさんの話だけを聞くとXさんは酷い奴にみえるが、Aさんは嘘を付く事があるのでこのときは断定しないようにした。状況説明を受けているとUberが来たので車に乗り込んだ。
Uberの運転手に友達がマリファナで運び込まれたことを伝えた。彼女は大丈夫なのか、意識はあるのかなど心配してくれた。私はXさんと実際に話してみたいと思った。Xさん側の状況も知りたいし、Xさんも連絡が取れなくなっており心配だった。AさんがXさんにLINEをブロックされて連絡できない可能性も合ったため、Xさんの連絡先を知っていそうな日本のポーカー友達に連絡を取ることにした。
まずXさんと関わりがあったMさんに連絡した。Mさんはポーカーでよく一緒になるし、心強い味方になってくれる人だ。電話したところXさんとは今は関わりが無いとのことらしい。
電話が終わると病院についた。海外旅行はいろいろなところへ行ったが、病院に行くのは初めてだ。病院に入ると日本のように椅子が並んでおり、そこにAさんがいた。
Aさんは両腕に点滴の痕があり、靴をXさんの部屋に置きっぱなしだったので靴下だけを履いていた。
Uberを再び呼び、Xさんがいるベラージオへ向かうことにした。この車内でも運転手とオーバードーズについて話した。Aさんは酒を飲んで、大麻チョコを食べて、大麻シーシャを吸って運ばれたということを、運転手に伝えると、それはクレイジーだ絶対にオーバードーズするという反応だった。Aさんが食べたのはDreamland ChocolateというTHC入のチョコレートだったようだ。チョコレートは消化されてから体内に取り込まれるので効くまでに時間がかかり、効いていないと思って一気に6個も食べたそうだ。
ベラージオに到着したが、Xさんは音信不通のままだった。幸い、Xさんの部屋番号は効いていたのでホテルのフロントにそこへ行きたいと言ったがセキュリティの関係上できない、と拒否された。もう一度「今日の昼に救急車騒ぎがあった。Xさんは音信不通だ、死んでいるかもしれない」と伝えると、何かわかったら連絡するとの返答をいただけた。
ここで日本のポーカー友達のNさんに電話をした。NさんからXさんと関わりの深いLさんという方を紹介してもらった。Lさんと電話をすると
「Xさんはどうせ部屋で寝てるだけだよ」
とアドバイスを貰った。過去にもこういったことがあり、その時も寝ていただけらしい。
この日はAさんはひたすら泣いていた。私に助けてくれてありがとうとひたすら言っていた。
また大麻の体験について教えてもらった。大麻を使用すると、IQが高い、低い状態を交互に繰り返すという話を聞いた。赤ちゃんの知能になった後に、限界を超えてIQが高くなる、その後赤ちゃんの知能に戻る、その体験で人間の認識能力や文字や数学などの仕組み、人類の歴史を知ることができるらしい。Aさんは
「物が存在しているのは、二次元座標に・・・」
とかよく分からないことを言い始めていた。ラリっている人の相手の話を聞くのは面白いが、何を言っているのか根本的にはわからなかった。
状況見聞
次の日の朝、XさんからAさん宛に電話がかかってきた。案の定Xさんは寝ていただけらしい。ベラージオで会うことになり、Aさんから一緒に来てほしいと言われたので渋々ついていくことにした。
ベラージオのエレベーターで待っているとXさんが現れた。Xさんは私の方をちらっと見たが、全く目を合わせようとしなかった。
Xさんの部屋に行き、Aさん、Xさん、私で状況を確認することにした。
Xさんの目線だと以下のとおりだった。
Aさんはいきなり苦しい苦しいと騒ぎ始めた
Xさんは大事にしたくなかったのでベットで休ませることにした。
Aさんから救急車を呼んでほしいとお願いされたが、呼吸が止まってから呼ぼうと思っていたらしい。
休ませていたところ、Aさんはいきなり立ち上がり、他の客室に助けを求め始めた。
ベラージオのセキュリティが来て、その後警察も来たらしい。
Xさんは捕まるんじゃないかと思っていたが、大麻はアメリカでは禁止薬物ではなかったので大事にならなったらしい。
Aさんが医療費を半分負担してほしいと行ったが、Xさんは拒否した
この話を聞いて、Xさんが一方的に悪いというわけではなかった可能性が出てきた。私はこのやり取りを黙って聞いていたが、両者ともゴミだなと心のなかで思っていた。Aさんは調子に乗って大麻を摂取しまくってパニックになり、Xさんは自己保身のためにAさんを部屋から追い出して、朝までぐっすり就寝。両者ともまともな人間性を持ち合わせていない。
話し合いは平行線のまま、Aさんの荷物を受け取った。XさんはWSOP会場へ行くとのことだったので、ホースシューまで3人で歩いた。ホースシューで解散した。
Aさんはこの一連の騒動でかなり心が疲弊していたようだった。もう大麻はやらない、危険なことはしないと私に謝っていたように見えた。
ドパガキにつける薬は無い
朝8時頃にXさんと分かれた後、Aさんはアメリカで知り合ったポーカープレイヤーと二人で食事をすると行って別れた。この日の17時から二人でスフィアを観に行こうと約束していたので、その時間に再開しようと約束した。彼女も傷心だったし、なによりスフィアは私も彼女も楽しみにしていた。
13時頃、Aさんから連絡が入る。アメリカ人の男性の人と二人でバレーオブファイヤー州立公園に行くと連絡が入った。
13時にバレーオブファイヤー州立公園に行って帰ってきて、17時に間に合わないと私は思った。
何よりも、大麻事件起こした次の日に、また男性と二人っきりで、どこかに行く。なにより私の約束を大切に思っても居ない姿勢に怒りを通り越して呆れてしまった。結局この人はドーパミン中毒で自分の命もどうでもよくて、他人に迷惑をかけてもなんとも思わない人なんだと。スフィア楽しみじゃなかったのかよ、Aさんは一体何を考えて、どういう意思決定をしているのだろうか。
結局、彼女はバレーオブファイヤー州立公園からUターンして戻ってきた。スフィアには行くことができたが、状況判断や他人の気持ちを考えることができない彼女への不信感は大きくなっていった。
スフィア自体は楽しかった。オズの魔法使いの体験は素晴らしかった。かかしは知能が欲しく、ブリキは心が欲しく、ライオンは勇気が欲しい。ちょうど私たちと同じだった。Aさんはかかし、正しい自己判断ができるような脳みそを持ってほしい。私はライオン、勇気を持ってAさんに言いたいことを言えるようになりたい。
保護者にさせられる
Bさんというアメリカ人の人をAさんから紹介してもらった。バレーオブファイヤー州立公園を一緒に行こうとしていたアメリカ人だ。かなり良い人なんだが、ぶっちゃけAさん目当てなんだろうなと男の勘が働いていた。Aさんは人当たりが良いと言う一方で、隙だらけな女性という印象がある。なのでよくナンパされたり、変なトラブルに頻繁に巻き込まれる。今回もBさんから声をかけられて仲良くなったらしい。
Aさんからバレーオブファイヤー州立公園に一緒についてきてほしいとお願いされた。そもそもじゃあ行くなよと思うのだが、自分も州立公園にはわずかに興味があったので渋々OKした。
バレーオブファイヤー州立公園は絶景だった。川や池、木々がまったくなく、草と砂と岩が広がっている。日本では見ることのできない光景に興奮した。
Bさんはかなり良い人だった、ポーカーの話題や大麻事件の相談もさせてくれた。
別の日、AさんはBさんからダウンタウンの観光に誘われた。Aさんについてきてほしいと言われたのでついて行った。
観光自体は楽しかったが、俺は何を来ているんだろうという虚無感に陥った。トラブルばかりを起こすAさんの保護者になってしまっている自分に嫌悪していた。
旅の終わり
長かったラスベガスも終わり、最後にAさんとハイローラーという観覧車に乗ることにした。カジノやスフィアに埋もれてしまっているがこのハイローラーは世界2位の高さを誇る観覧車だ。ここから見るラスベガスの景色は絶景だった。
しかし、私はラスベガスを見る中で何もトーナメントで勝てなかったこと、Aさんのトラブルに振り回されたこと。このハイローラーが終わったら、お金、時間、経験など貴重なものを失ったまま日本に帰るという事実の前に憂鬱だった。
ハイローラーを降りて空港に向かう。夢の時間は終わったのだ。
空港につき、飛行機に乗り込んだ。Aさんは楽しかったね、たくさん思い出作れたね、と私に声を変えてくれた。私はAさんに向かって、今回の旅はポーカーで負けたし、つまらなかったと素直な感想を述べた。Aさんは
「君がポーカーで負けてたから最後は観光して思いで作ろうと思ったのに」
とよく分からない反論をしてきた。私はポーカーをしにきたのに。だったら大麻とかトラブル起こすのやめろよ、と彼女に言おうとしたが、言わなかった。この状況を作ったのは私だ。
ポーカーとはメンタルゲームの要素が大きいと思っている。なのに私はトラブルばかりを起こすAさんを連れてきて、自分のメンタルをさらに削るというありえないミスをした。もうしょうもない女を連れてポーカーなんてしないということを心に誓った。本当のポーカープロならこんなレクみたいなことしないだろう。
飛行機が動き出す、私は窓を見た。彼女も窓を見て名残惜しいように景色を見ている。
窓に彼女が映る。窓に写っていたのは白鳥ではなく「みにくいアヒル」だったのだ。
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