【VRChat】クリエイターがビジネス界隈でやってはいけない、たった一つのこと
クリエイターとして仕事を増やしたい。
企業とつながりたい。
有名な人とコラボしたい。
その意欲自体は問題ない。
しかし、ビジネスの世界には、一度やるだけで信用を失い、その後ほとんど仕事を紹介されなくなる行為がある。
実際に、私の周囲では次のようなことが起きた。
事例①
紹介したインフルエンサーへ勝手に営業した
VRChatの有名クリエイターを有名インフルエンサーにつないだことがある。
正確にはイベントに有名インフルエンサーを呼んでいたと話したらキャスティング会社諸々飛ばして勝手にXでDMを入れていた。※1
Xで自分のVRChatでの活動をプレゼンして、そのままイベントでのコラボ商品まで話をして、後追いでイベント運営側が承認する形になった。
「この商品はむちゃくちゃ売れる」
と強く説明していたらしい。。。。
しかし、実際にはまったく売れなかった
その結果、有名インフルエンサーが赤字を被ったそうです。
クリエイター本人は、そのことを空気のように触れずにいました。
そのクリエーターが信用を失うだけならいいのですが
実際に失われたのは本人の信用だけではないんです。
その人を紹介した私の信用も同時に失われるんです。
相手から見れば、
「〇〇さんが紹介した人だから、一定の事業判断ができる人なのだろう」
という前提がある。
紹介された人間の行動は、紹介者の選定能力まで含めて評価されるのです。
事例②
PR TIMESを見て、既存クライアントへ営業した
僕が関わっているクライアント案件を、PR TIMESで発表した。記事には、ぼくが企画や制作を担当していることも明記されていた。
それにもかかわらず、そのクライアントに対して営業してきたメタバース制作会社が2社あった。どことは言わないが、そういう会社があった。
記事を読めば、すでに企画会社や制作会社が入っていることは分かる。
それでも、
「次はうちに依頼してください」
「うちなら別の提案ができます」
と入り込もうとする。
公開情報をもとに営業先を探すこと自体は珍しくない。
しかし、すでに取引関係が存在することを理解したうえで、既存の元請や制作会社を飛ばして顧客へ入り込む行為は、普通の新規営業とは違う。
ましてや僕と面識もある会社だった。
業界大手だっただけにちょっとショックだった。
他社が時間と費用をかけて構築した顧客接点へ、後からフリーライドしようとしてる。
事例③
イベントスタッフとして連れていったクリエイターが、勝手に名刺交換した
クリエイターを、当社が関係するリアルイベントへスタッフとして連れていったことがある。
そのクリエイターには、イベント運営の一部を担ってもらう目的で参加してもらっていた。
ところが、その場で当社のクライアントやイベント参加者と、事前確認なく名刺交換を始めた。
でうちのクライアントに言った一言は
「ぼくも行政の案件やっています!」
ええっと
ええtっと
「君は誰の仕事でこの場にいるのかな?」
本人としては、
「せっかく会ったから名刺を渡した」
「相手から名刺を出されたから交換した」
「人脈づくりの一環だった」
その程度の認識だったのかもしれない。
しかし、イベントスタッフとして参加している以上、完全な個人参加者ではない。
クライアントや参加者から見れば、
「元請企業が連れてきたスタッフ」
「運営側の一員」
「元請公認の関係者」
に見える。
その立場で勝手に名刺交換をすれば、相手は元請から営業活動を認められている人物だと受け取る可能性がある。
さらに、その後SNSでつながり、個別に営業や仕事の提案を始めれば、元請の信用と現場を利用した営業になる。
下請けで来てる時は名刺交換ぜったい勝手にしてはいけない。
重要なのは、誰の立場でその場に参加しているのかである。
イベントスタッフ、外注、協力会社として参加している場合、名刺交換をしてよいかどうかは、自分で判断することではない。
名刺交換をする場合は、元請に事前確認する。
これが鉄則である。
「相手から名刺を出されたから」
「断るのが失礼だと思ったから」
という理由でも、勝手に交換してよいことにはならない。
そういう場合は
「あいにく名刺を切らしていて」
と答えるのがビジネスマナーである。
また事前に元請へ、
名刺交換は可能か?
誰と交換してよいか?
自社名義でよいか?
個人名義でよいか?
交換後に個別連絡してよいか?
を確認しておく必要がある。
この三つに共通する答えは「ジャンプ」
ビジネスの世界では、こうした行為を、
元請飛ばし
直接取引
商流飛ばし
顧客の横取り
などと呼ぶ。
私はまとめて「ジャンプ」と呼んでいる。
構造は単純だ。
クライアント
↓
元請・紹介者
↓
外注・協力クリエイター
本来、この順番で成立していた商流を、外注や紹介された側が飛び越える。
クライアント
↕
外注・協力クリエイター
これがジャンプである。
ちなみにジャンプを平気でする人をジャンパーとよぶ
あえていおう
ジャンプしていいのは少年だけだ
例えば、次のような行為が該当する。
元請を通さず、クライアントへ直接営業する
紹介された企業へ、別案件を直接提案する
イベントスタッフとして参加し、勝手に名刺交換する
イベントで得た連絡先へ営業DMを送る
紹介された著名人と、勝手にコラボを始める
「次からは直接依頼してください」と伝える
元請より安い見積もりを直接出す
制作実績を見て、既存クライアントへ割り込む
相手から相談されたことを理由に、紹介者を外して進める
クリエイター側は、
「仕事を奪ったつもりはない」
「相手から相談された」
「元請とは別の仕事だから問題ない」
「仲良くなった後の個人的な関係だ」
「名刺を交換しただけだ」
と考えることがある。
しかし、ジャンプかどうかを決めるのは、本人の気持ちではない。
その接点が、どの経路で生まれたかで決まる。
元請の案件で出会った。
紹介者につないでもらった。
元請がスタッフとして参加させたイベントで知り合った。
クライアント案件の情報を見て営業した。
その接点が他人の商流や信用によって生まれたのであれば、自由に使える自分の人脈ではない。
紹介とは、信用を貸すことである
誰かを紹介することは、単に連絡先を交換させることではない。
紹介者は、自分の信用を相手に貸している。
自力で企業へ営業しても、メールに返信すら来ないことがある。
有名人へ連絡しても、会ってもらえないことがある。
自治体へ提案しても、担当者まで届かないことがある。
しかし、信用されている人から紹介されると、最初から話を聞いてもらえる。
なぜなら、相手は無意識にこう判断するからだ。
信頼している人からの紹介
↓
一定の確認を受けている
↓
危険な人物ではない
↓
話を聞いてもよい
クリエイター本人が0から獲得した信用ではない。
紹介者が何年もかけて積み上げた信用を、一時的に借りている。
その借りた信用を使って、紹介者に無断で営業する。
直接契約する。
商品を作る。
名刺を交換する。
成果を誇張する。
これは「人脈を生かした」のではない。
紹介者の信用を、自分の営業資産として無断利用したのである。
ジャンプすると何が起きるのか
ジャンプによって失われるものは、一件分の売上だけではない。
1.紹介者や元請が損失を負う
一件の顧客を獲得するまでには、多くのコストがかかっている。
初回接点の獲得
信頼関係の構築
ヒアリング
現地訪問
企画書作成
見積書作成
社内調整
契約交渉
継続的な連絡
実績の積み上げ
これらには、時間、人件費、交通費、判断力が使われている。
ジャンプによって案件を失えば、それまでに使った費用や時間の一部は回収不能になる。
つまり、埋没コストになる。
さらに失うものがある。
本来得られた利益
次年度の継続案件
他部署への展開
別企業への紹介
実績としての価値
顧客との長期的な関係
これらは機会損失である。
クリエイター側にとっては、名刺を一枚渡しただけかもしれない。
しかし元請側では、数十時間、場合によっては数百時間かけて構築した営業活動や信頼関係が毀損する可能性がある。
2.クライアントが混乱する
クライアント側から見れば、誰が責任者なのか分からなくなる。
元請から提案を受けている一方で、外注クリエイターからも別の提案が届く。
価格も説明も違う。
場合によっては、元請と外注で言っていることが食い違う。
するとクライアントは、
誰と契約すればよいのか
誰が最終責任を負うのか
情報は共有されているのか
このチームは管理されているのか
と不安になる。
結果として、外注クリエイターではなく、元請企業全体の信用が下がる。
3.紹介者の人を見る目が疑われる
紹介者や元請は、
「この人なら現場に出しても大丈夫だ」
と判断している。
その人が勝手に営業したり、無断で名刺交換したり、誇大な説明をしたりすると、相手は紹介者に対してこう考える。
人を見る目がない
外注管理ができていない
商流の管理が甘い
情報管理に問題がある
今後は人を紹介してもらわない方がよい
クリエイター本人は一度の営業で終わるかもしれない。
しかし、紹介者はそれ以降の人脈全体を失う可能性がある。
4.クリエイター本人が静かに外される
ジャンプをした人間に対して、必ずしも明確な抗議や注意が来るとは限らない。
むしろ多くの場合、何も言われない。
・次から呼ばれなくなる。
・クライアントの前に出してもらえなくなる。
・企業や有名人を紹介されなくなる。
・機密性の高い案件から外される。
・イベントスタッフとして呼ばれなくなる。
本人は、
「最近仕事が来ない」
「案件を紹介してくれなくなった」
「急に距離を置かれた」
と感じる。
しかし、紹介する側から見れば当然である。
一度ジャンプした人間に、新しい顧客を見せる理由がない。
技術力が高いかどうかは関係ない。
有名かどうかも関係ない。
フォロワー数も関係ない。
顧客接点を渡したら直接営業する人間は、ビジネス上危険だから外される。
「相手から相談された」は免罪符にならない
ジャンプを指摘された際、よく出る説明がある。
「相手から声をかけられた」
「向こうから相談された」
「こちらから営業したわけではない」
「別の案件だから問題ないと思った」
「名刺を出されたので交換しただけ」
しかし、仕事を通じて知り合った相手であれば、相手から相談された場合でも元請や紹介者へ共有すべきである。
適切な返答は難しくない。
ありがとうございます。今回、○○さん経由で知り合った関係ですので、まず○○さんにも共有したうえで進めさせてください。
名刺交換についても同じである。
ありがとうございます。今日はスタッフとして参加していますので、名刺交換について元請に確認させてください。
これだけでよい。
この一言によって、
紹介者の信用を守れる
商流を確認できる
利益相反を避けられる
クライアントを混乱させずに済む
正式な役割分担を決められる
逆に、この共有を避けて直接進めようとするのであれば、それは偶然ではない。
紹介者を外した方が、自分の取り分が増えると考えている可能性がある。
名刺交換は元請への事前確認が鉄則
ビジネスイベントでは、名刺交換は一般的な行為に見える。
しかし、どの立場で参加しているかによって意味が変わる。
個人として参加しているのであれば、自分の判断で交換できる。
一方、次のような立場で参加している場合は別である。
イベントスタッフ
外注スタッフ
協力クリエイター
制作チームの一員
元請企業の同行者
クライアント対応の補助者
招待枠で参加した関係者
この場合、自分は完全な個人参加者ではない。
元請や主催者の信用、契約、費用、招待枠によって、その場にいる。
したがって、名刺交換をしてよいかどうかは、元請に事前確認する必要がある。
最低限、次の点を確認する。
名刺交換は可能か
交換可能な相手は誰か
自社名義か個人名義か
元請との関係をどう説明するか
交換後に直接連絡してよいか
営業提案をしてよいか
問い合わせが来た場合、誰へ共有するか
これを確認せず、その場の判断で名刺交換するのは危険である。
名刺交換は、単なる自己紹介ではない。
今後の営業、契約、連絡経路を生む行為だからだ。
ジャンプを避けるためのルール
紹介された相手や、業務を通じて知り合った相手から仕事の話が出たら、次の順番で対応する。
1.その場で契約や金額の話を進めない
「できます」
「安くやれます」
「直接なら対応できます」
と即答しない。
2.紹介者または元請へ共有する
誰から、どのような相談を受けたのかを伝える。
3.商流を確認する
既存案件の延長なのか?
別案件なのか?
元請を通すのか?
直接契約が認められるのか?
役割分担はどうするのか?
事前に決める?
4.名刺交換のルールを確認する
スタッフや外注としてイベントへ参加する場合は、名刺交換の可否を事前に確認する。
5.許可を記録に残す
口頭ではなく、メールやチャットで確認する。
後から認識が食い違うことを避けるためである。
6.実績や成果を誇張しない
「売れる」
「集客できる」
「成功する」
と断言しない。
根拠、条件、リスクを明確にする。
クリエイターとして優秀でも、仕事相手として失格になる
制作技術が高いことと、ビジネス上信用できることは別である。
どれだけ優れた3Dモデルを作れても、ジャンプする人は紹介できない。
どれだけ有名でも、顧客へ勝手に営業する人は同行させられない。
どれだけコミュニケーション能力が高くても、元請に確認せず名刺交換する人はスタッフとして使えない。
どれだけ話がうまくても、成果を誇張する人はクライアントの前に出せない。
企業案件や自治体案件では、制作能力だけでなく次の能力が見られている。
商流を守れる
顧客情報を守れる
権限の範囲を守れる
紹介者の信用を守れる
勝手に契約を進めない
勝手に名刺交換しない
不明点を確認できる
自分の売上より案件全体を優先できる
クリエイター本人には悪気がない場合も多い。
しかし、悪気がないことは免責にならない。
むしろ、自分が何を壊しているか理解しないまま行動する人の方が、再発可能性は高い。
最後に
クリエイターがビジネス界隈でやってはいけない、たった一つのこと。
それは、ジャンプすることである。
紹介された相手へ勝手に営業する。
元請のクライアントへ直接提案する。
イベントスタッフとして参加し、事前確認なく名刺交換する。
イベントで得た接点を自分の営業に転用する。
紹介者を外して契約やコラボを進める。
これらは積極性ではない。
営業努力でもない。
人脈形成でもない。
他人が時間、費用、実績、失敗を積み重ねて築いた信用と商流へのただ乗りである。
一度ジャンプした人間は、表面上は注意されなくても、次から紹介されなくなる。
企業案件から外される。
重要な場所へ呼ばれなくなる。
イベントスタッフとしても起用されなくなる。
そして本人だけが、なぜ仕事が減ったのか理解できない。
仕事を増やしたいのであれば、営業方法を覚える前に、まず一つだけ覚えてほしい。
他人から借りた信用を、自分の営業に勝手に使わない。
そして、スタッフや外注として現場へ入るなら、名刺交換を含む営業行為は、必ず元請へ事前確認する。
それが、クリエイターがビジネス界隈で生き残るための最低条件である。
※1
知人から聞いた話なので事実とは異なる場合もございます
一つのケーススタディとしてお聞きください


記事の内容抜きにしてまずコレを解決しないことにはどんな記事書いてても「何いってんだコイツ」になると思いますけど、どうお考えで? https://x.com/chihaya_369/status/2077584026337210653?s=20
まず、元請け下請け契約形態の話と、紹介の(本当に単なる紹介とやらかし者が理解していた)話を混ぜて書くのはよくないかな……。 事例1は選定が甘かったですね。 事例2はどこの業界でも常時発生しており、後から乗り込まれても奪われない事業することを全経営者が目指している内容ですね。奪われ…
②の事例だけはこの話と違うような… 公開情報を見て営業するのは、相対的にかなりクリーンで市場に必要な競争行為だと思います。 実際大手に普通に行われているなら個別業界のマナーにもなってないのでしょう。(その後すぐに潰れたのでなければ) 品がないという感想なら分かりますが、大半の…
少し本件とは逸れますが ビジネスにおける良識と品位という意味で入れさせていただきました その会社さん 僕に一緒に業界を盛り上げていきましょうって言ってて これかよ、、、、 っていう残念な気持ちが実はあります たとえば②の会社と今後一緒に仕事をしたらジャンプされることは 想像で…
凄くわかりやすい内容で参考になります!
ありがとうございます 気持ちよく仕事を進める参考になればと思います!