全東信はなぜ突然破綻したのか…20年続いた粉飾、加盟店2万店と63金融機関に広がる余波
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この問いに対する答えとしては、主に4点が考えられる。 1点目は、立替え払い後、確実に回収できるクレジットカード会社への売掛金を評価していたためだ。2026年3月期の貸借対照表では、減少したとはいえ売掛金は415億8670万円に達する。破産申立書によると、三十三銀行と山口銀行、イオン銀行、関西みらい銀行はクレジットカード会社に対する立替金や売掛金債権に集合債権譲渡担保を設定し、同担保を背景とした融資を行っていた。 2点目は、豊富な現預金を保有していたことだ。2026年3月期の現預金額は597億7022万円。勘定科目内訳書では、普通預金が286億円、定期預金が310億円に及ぶ。融資する金融機関は、倒産時に預金で相殺する契約もあり、これだけ潤沢に見える現預金が金融機関の審査にプラスとなったようだ。 3点目は、信用組合への出資金26億778万円の存在だ。出資金も期限利益を喪失すれば相殺対象となる。 4点目は、無担保の不動産を保有していることだ。本社や東京の京橋、赤坂などの一等地に土地建物など12物件を所有していた。破産申立書の不動産目録では、すべて無担保とされる。実際、不動産登記を確認すると、いずれも担保は設定されていない。 破産申立書では、無担保物件のただし書きとして、「A信用組合による登記留保あり」との記載がある。ただ、一般的に破産開始決定前に登記未了の場合、対抗要件が否認される可能性がある。 2024年1月、審査が通らない加盟店を、他人名義で契約したとして元社員らが逮捕される事態が発生し、全東信の信用は低下した。 この事件で取引を縮小した金融機関もあったようだが、これまでの「定量的な信用」が背景になって、大半は様子見で取引を継続したようだ。それだけ取引にはうまみがあり、資金繰りへの影響を過小評価した金融機関が多かったともいえる。
● 20年以上におよぶ粉飾が発覚、その手口とは 破産の第一報を受けた金融機関では、驚きの声が相次いだ。東京商工リサーチが粉飾決算の疑いについて報じると、「まったくわからなかった」と半信半疑の様子だった。倒産は、あまりにも突然だったようだ。ある銀行員は、粉飾決算の期間や金額から「東の堀正工業、西の全東信と呼ばれるのではないか」と冷笑し、2023年に破産した20年に及ぶ粉飾決算を続けたベアリング商社の堀正工業を例にあげた。 全東信は、金融機関に良好な財務状況を誇示するため、粉飾決算を行っていたことを明らかにした。粉飾の主な内容は、約170億円の架空預金と約154億円の架空債権、88億2000万円の無価値な営業権の過大評価、加盟店に対する未払い立替精算金約217億円の未計上で、粉飾額の合計は約630億円にものぼる。 こうした行為は、少なくとも20年前から継続していたようで、2026年3月期の純資産額は24億8000万円のプラスから一転、実態は605億円の債務超過に陥っていた。 2026年3月期の勘定科目内訳書をみると、預貯金額でメガバンクの普通口座に約170億円の期末残高が記載されている。だが、破産時の目録は約8億円の計上のみ。架空の現預金を積み増し、支払能力などの信用力強化を狙った可能性が高い。 約154億円の架空債権は、クレジットカード会社向けの売掛金に混在していた可能性がある。2026年3月期末の売掛金合計は約415億円。このうち、約4割が架空債権とみられ、信用力の柱だった売掛金は水増しされ、財務力の評価を偽装した。 88億2000万円の無価値な営業権の過大評価は、グループ会社などの承継に伴って計上したとみられる。ただ、一部の金融機関は、この営業権の計上に不信感を抱き、取引を解消したという。
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