全東信はなぜ突然破綻したのか…20年続いた粉飾、加盟店2万店と63金融機関に広がる余波
配信
クレジットカード決済代行の(株)全東信(大阪市中央区)の破産が波紋を広げている。破産申請時の負債は1151億6491万円。ことし発生した倒産では最大の倒産だ。決済代行サービスを利用していた加盟店は全東信の破産以降、カード決済ができなくなり混乱が広がっている。約2万店の加盟店が被った焦げ付きの行方、業界を席巻した独自の手数料ビジネスの興亡、20年前からの粉飾決算の謎。そして、全東信に貸し込んでいた63行(社)におよぶ金融債権者への影響は?全東信の経営破綻で浮き彫りになったリスクと、今後のポイントを東京商工リサーチが解説する。(東京商工リサーチ情報部) 【この記事の画像を見る】 ● 決済後早期入金の独自サービスでビジネスモデルを確立 全東信の起源は1987年にさかのぼる。関西屈指の繁華街、ミナミの飲食店が集まって発足した協同組合「大阪南飲食事業協同組合」としてスタートした。その後、カード会社や信販会社と業務提携を進め、営業エリアを全国に広げた。 2006年に協同組合から一部事業を承継し、全東信が設立された。この頃の加盟店数は全国5万店にまで増えた。大阪本社のほか、都内一等地に複数の自社ビルを取得し、営業所として活用していた。驚くことに、所有不動産は、確認できる限り、現在も無担保のままだ。 全東信のビジネスモデルは、飲食店などの顧客へのクレジットカードの早期立替払いだ。店とカード会社の間に入って決済を代行し、店側はクレジット売掛金を早期に現金化できる。その際、徴収する手数料が全東信の収入源となる。スキームは手形の割引業者や、ファクタリング業者に通じるものがある。
このビジネスの売りは何といっても入金までのスピードの速さだ。一般的なクレジットカード決済の売上金は、締め後15日や30日、45日後に入金となるケースが多い。店側はこの間、支払いが先行し運転資金の調達が必要になる。全東信が展開する決済サービスは、週2回や月6回などいくつかの短期の入金日を設定していたため、店舗にとっては手数料が高くてもつなぎの運転資金を抑えられる手段として魅力だった。 また、他の決済業者では契約が難しい先でも、全東信なら取引が可能とも言われていた。いわゆる夜の店との取引が多いと言われるゆえんだが、小規模企業や個人事業主など、信用力が低い層まで顧客に抱えて業容を拡大した。 ● カード払いの決済分は回収難のおそれ 関係者によると、破産申請時の顧客数は飲食店などを中心に全国2万50店舗に及んでいた。 全東信のサービスを利用していた飲食店オーナーは、「店のオープン以来、15年以上利用してきたが、入金遅れやトラブルはなかった。現在、カードが利用できない状態でお客様には迷惑をかけている。これまで、あって当然の認識だったので、代替サービスを探す手間が面倒だ」と困惑を隠せない。 同じく、サービスを利用していた小売店は、「約半月分の売り上げと、この冬からのボーナス払いの繰り越し部分が未回収だ。月2回の入金で、手数料はカード会社で異なるが3%から4%前後だった」と答えた。 店に置いたクレジット端末機はすべて使用できない。立替支払いを受け取れない店の売上金は法律上、破産債権として取り扱われる。
- 186
- 286
- 93