ネトウヨさんたちがよく「パヨク」という言葉を侮辱的なニュアンスで使う。どのタイプの左派なのかに関係なく、無差別的に用いてるように見える。
これはかなり雑だ。
「左翼」と呼ばれる領域には、資本主義を維持しながら人権や福祉を拡大しようとする進歩派リベラルから、資本主義そのものの廃絶を求める社会主義者、共産主義者、アナキストまで存在する。
社会民主主義は、議会、労働組合、課税、福祉国家によって資本主義を統制しようとする。
民主的社会主義は、民主的手段を通して、生産と富の支配を資本家から社会へ移そうとする。
マルクス主義内部にも、レーニン主義、トロツキズム、毛沢東主義、左翼共産主義、評議会共産主義、ユーロコミュニズム、オートノミズムなどがある。
革命政党による国家権力の掌握を重視する立場もあれば、党国家を批判し、労働者評議会による直接統治を求める立場もある。
アナキズムは、資本だけでなく国家や固定的権威そのものを問題にし、自治、相互扶助、連邦制を構想する。
サパティスタは、新自由主義と植民地主義を強く批判する反資本主義運動だが、中央国家権力の奪取ではなく、先住民自治と共同体的統治を積み上げる。
反植民地主義左派や民族解放左派は、階級支配と帝国主義支配を同時に問題にする。ただし、国家を抵抗の要塞として重視する立場と、国家主義化を警戒する立場では大きく異なる。
宗教的左翼も存在する。
解放の神学、キリスト教社会主義、イスラム社会主義、イスラム解放思想は、信仰を被抑圧者の解放と社会正義に結びつける。
イスラム社会主義だけを見ても、福祉と再分配を重視する改良主義から、反帝国主義的・革命的な解放思想まで幅がある。
さらに、フェミニズム、反人種主義、先住民運動、障害者解放、環境運動にも、資本主義を前提とする立場と、資本・国家・植民地主義を一体として批判する立場がある。
左翼は、単一の思想ではない。
資本主義をどう見るか。
改革か革命か。
国家を利用するのか、警戒するのか、廃絶するのか。
党が指導するのか、評議会や共同体が直接統治するのか。
階級、差別、植民地主義、宗教、環境をどう結びつけるのか。
これらへの異なる回答から成る、巨大な思想的・運動的領域である。