小説──恥ずかしがり屋のラブレター
僕は、恥ずかしがり屋だ。しかも、ただ単純に恥ずかしいのではない。自分の外見にも、服装というものがあるが、あらゆる現象に恥ずかしがってしまう、特殊な性(さが)なんだと思う。誰かが僕を見るたびに、その視線に気付くなんて、僕にとっては当たり前の現象であった。僕には好きな女の子がいた。水穂という子で、僕が恥ずかしいのを揶揄(からか)ったりするのではなく、むしろ、個性があったいいじゃない、と優しく支えてくれる、とても性格がいい子だ。その子にラブレターを書く、と僕は毎日考えたりしたが、好きな人にラブレターを送ることの重さがまだ実感できず、「愛してる」という言葉だけが宙を舞った。僕は、臆病だ、という一言で片づけられるのが怖かった。君は臆病だ、と言われて不機嫌にならない人がいるだろうか。涼介が、「ラブレターを書きたいの、考えてあったけど、いま書けよ」と言ってくれた。涼介の視線に恥ずかしくなった僕は、「あぁ、そうするよ」と応えた。水穂のことを本当に愛している、これをいま、言葉にすればいいと気付いた。
「拝啓 親愛なる水穂へ
僕は、恥ずかしがり屋で悩んでいたことがたくさんありました。でも水穂が優しく声をかけてくれて、大分助かったのを覚えています。本当にありがとう。恥ずかしいことは決して悪いことではないと、言ってくれたこと。恥ずかしいというのは、心や感性が敏感であると言ってくれたこと。感謝してもし切れないほど、感謝の念が募ります。本当に感謝しています。僕が恥ずかしいときに、恥ずかしかったっていいじゃない、と言ってくれて嬉しかったよ。そして、水穂のことを愛しています。恋は盲目というけれど、愛は真心だと聞いています。僕は真心から、君を愛している。恥ずかしいことは欠点ではない、と言ってくれたのをいまも覚えているよ。稚拙で申し訳ないけど、僕と付き合いませんか」


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