SNSで批判集中、コスプレイヤー主催クラファン中止→“支援金”巡り運営とトラブルに… 身に覚えのない入金、どう対処すべき?
弁護士「誤って振り込まれたお金は受取人のものにはならない」
刑事事件・民事事件に幅広く対応する荒川香遥弁護士(弁護士法人ダーウィン法律事務所代表)は、「まず前提として、誤って振り込まれたお金は受取人のものにはならない」と説明する。 「給与や報酬などと違い、受け取る法的な根拠がないお金なので、『不当利得(ふとうりとく)』として相手に返す義務があります(民法703条)。法律上は『〇日以内に返さなければならない』といった決まりはありませんが、事実確認ができ次第できるだけ早く返金するのが望ましいです」 荒川弁護士は「事実確認をする際は、会社の公式サイトなどに掲載されている代表番号に電話するのが基本です」と話す。 「返金を求めるメールに電話番号が記載されていたとしても、自分で必ず公式の情報を確認しましょう。なりすましや詐欺の被害を防げます。そのうえで、もっとも安全な返金方法は振込人に対し『組戻し』を利用するよう求めることです」 組戻しとは、振込人が銀行に依頼し、誤って振り込んだお金の返金を求める手続きだ。誤送金が発覚した際に利用される、代表的な解決方法のひとつである。ただし、組戻しを依頼したからといって、銀行が受取人の口座から自動的に引き落とすわけではない。 仮にA銀行からB銀行の口座へ振り込み、組戻しを希望する場合、手順としてはこうだ。まず振込人が、A銀行へ組戻しを申し込む。依頼を受けたA銀行は、B銀行を介して受取人に返金の意思確認を行う。相手方が同意した場合は返金されるが、同意が得られなければ手続きは完了しない。また、組戻しには所定の手数料(※数百円~1000円前後)がかかり、振込人の負担となる。 「組戻しなら銀行間で処理されるため、偽の口座に振り込んでしまうリスクを避けられます。言われるがまま相手方の指定した口座に振り込むよりも、まずは組戻しを利用するように交渉したほうが安全です」
誤送金と知りながら使用すれば「詐欺」に当たる可能性も
しかし、もし受取人が返金を拒んだり、誤送金と知りながら使ってしまった場合は、どのような法的責任が生じるのか。 「誤送金と知りながら返金が遅れた場合、民事では遅延損害金が発生します(民法704条)。さらに銀行から引き出したり使ったりする行為は、刑事では詐欺罪などに問われる可能性があります。誤って振り込まれたことを知りながら、それを告げずに銀行で払い戻しを受ける行為は、最高裁判例でも詐欺にあたるとされています」 ただし荒川弁護士によれば、「給与や売上金などの正当な入金だと勘違いして使っていた場合は、犯罪の故意がないとみなされ、刑事責任は問われにくい」という。 「同じ『使ってしまった』でも、勘違いか故意かで法的評価は大きく変わります。もしお金を使ってしまい返金できない場合には、分割払いの交渉はできます。ただし、誤送金した側には分割払いに応じる義務はありません。誤って渡したお金を取り戻す権利(不当利得返還請求権)があるからです。よって分割での返済を希望する場合は、話し合いでの合意が必要となります」 一方で、返金を求める側にも注意すべき点があるという。 「度を超えた取り立てや脅すような言動をとったり、相手の個人情報を一方的に公開したりすれば、脅迫や名誉毀損、プライバシー侵害などの責任を問われる可能性があります。誤送金した側であっても、その後の対応を誤れば、新たなトラブルの加害者になり得るのです」