「大丈夫かな」別の日に見た高齢女性の行動
便利って、誰のためにあるのだろう。
そんなことを考えていた僕自身も、便利さを十分に使いこなせていたわけではない。
この病院には、診察後に会計を待たず、専用のボックスに診察ファイルを入れて、そのまま帰宅できるアプリ決済が導入されている。その存在自体は知っていた。院内に貼られたポスターも見ていた。しかし、登録はしていなかった。理由は単純である。
「今のままでも困っていない」からだ。
また、登録が面倒なのではないかと考えていた側面もある。ただそれだけだった。不便を感じていなかったから、わざわざ変える理由がなかったのだ。
そして、ちょうど昨日、検査を終えて会計へ向かう途中、杖をついた一人の女性が目にとまった。年齢は、おそらく80代後半くらいだろうか。その女性は迷うことなく、アプリ決済専用のボックスへ診察ファイルを入れた。
「あれ?」
思わず目で追ってしまった。アプリ決済はまだ導入されたばかりなのか、僕はそのボックスにファイルを入れた人を目にしたのは初めてだった。
「大丈夫かな、ボックスを間違えてないかな……」
僕は、勝手ながらそんな心配をしてしまった。女性はそのまま待合室のベンチに座り、肩にかけたバッグからスマートフォンを取り出して何やら操作している。
数分後、病院の前に1台のタクシーが止まった。表示板には「迎車」の文字があり、その女性はタクシーの方に目をやると、ゆっくり立ち上がり、杖をついて乗り込んでいった。
おそらく配車アプリを使ってタクシーを呼んだのだろう。その時僕は失礼な心配をしてしまったことを後悔した。そして、きっと病院のアプリ決済も使いこなしているのだろうと思った。
「かっこいいな」
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会社員
つーたん
教育関係の会社に勤める会社員。2021年4月、芸人のバービーさんと結婚。
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