2021年10月18日

【薙刀式】同時押しは親指が最適なのか?

そういえば親指シフトの設計時に、
「他の指との同時押しは、親指が最適である」
という調査をしたらしい。

どういう調査をしてそのような結論になったかは、
富士通の内部資料だからオープンになっていない。

ほんまかいな、と思ってしまう。


ふたつ疑問がある。


第一に、
下駄配列、新下駄配列、薙刀式のように、
「逆手同時押し」は比較的簡単だからだ。


下駄系列は、中指と薬指での同時押し、
薙刀式はより制御の効く人差し指での同時押しだ。
二つの手の同期が必要なので、
トップタイパー速度(秒10打とか)では足枷になりえるが、
実戦速度(秒5打程度)では、
とても快適に使える。

僕個人としては薬指同時押しが苦手だが、
中指同時押しは比較的できる。
親指同時押し系の配列を、
中指同時押しに改造することはよくあるので、
逆手中指同時押しは、新配列のスタンダードなアイデアになりつつある。

さらに簡単なのは、
「同手の同時押し」だろう。
ゲームでも、
たとえばスト5ではパンチボタン同時押しなどでEX技が出たりと、
人差し指中指同時押しなどは、
1/30秒の精度でかなり簡単にできる。

だが、同手のアルペジオ運指が死ぬのがもったいない。
最速で2文字3文字入力できるアルペジオ運指を、
同時押し1文字に当てるのは効率が悪い。
同手同時押しの打ちやすい組み合わせは、
すべてアルペジオで打ちやすい組み合わせなので、
美味しいところが被ってしまう。

こうしたことが理由で、同手の文字領域シフトは、
アルペジオ運指に席を譲っている感がある。

ちなみに、
同手同時押しを採用しているのは、
新下駄と薙刀式くらいか。

奇しくも「人差し指担当キーと、人差し指伸ばし担当キーの、
普段ならアルペジオしないキーの組み合わせを、
人差し指中指で同時押しする」
という同じアイデアを採用している。
(薙刀式では独自に思いついたんだけど、
先行する新下駄にも同じのがあって、
やられたーと思った記憶)

新下駄では記号系、
薙刀式ではIMEのオンオフ、
という、カナとは違う役割を与えていて、
「普段使いではないが近くに欲しい」
ものを採用している。


これらの例から、
「同時押しは親指が最適である」
という親指シフトの結論は、
早急すぎやしないかと思うわけだ。



疑問の第二点は、
「親指は他の指と掴むように打てるから、
よいのだ」という点。

そのアイデアには賛同するものの、
その具体的な親指キーが、
まったく掴むように打てないことである。

ふつうにキーボード(パンタグラフやメンブレン)の最下段キーを打つと、
親指の側面で叩くことになる。
これは親指の本来の力の方向ではないし、
親指の強い部分がキーに当たってなくて、
合理的な打ち方とはいえない。

そもそも親指は他の指に対して横についているのだから、
親指の掴むような同時押しをしたいのなら、
Dactyl Manuformのような、
3D配置のキーボードになるべきである。

しかるに、
親指シフトの専用親指キーは、
下段より背が高くて、奥に対して傾いている、
平面の中ではせいぜい同時押しがしやすい程度の、
物理キーでしかなかった。

ものをがしっと掴むような打ち方ではなく、
「指先でつまむような感じ」
で打つのならわかる、というのが、
実物を触ってわかったことだ。

僕はここにずっと疑問をもっていて、
「つかんでへんやんけ」と思っているわけだ。


だから親指シフターの、
純正キーボードでの、横や斜め前あたりから見た、
実際の打鍵動画をものすごく見たいのだ。

結局親指の指先を立てて、
擦る程度でしか打てないのでは?
とずっと疑問に思っている。
これをして「つかむ」というには、
あまりにも言葉との乖離が大きい。


何が言いたいかというと、
「親指で同時押しするためには、
ベストの物理キーと打鍵法がまだないのでは?」
ということ。

僕は何年もかけて、「打ちやすい親指キー」を、
3Dプリントで試行錯誤している。

現在のベストはこんな感じ。
DA309EC0-01A2-4515-8823-97B9A2B14FE9.jpeg

親指が動き回る方向に対して長くして、
なおかつ凸型でなく、指の丸みを受け止める凹型になっていることが特徴だ。
ホームポジションに構えた時、
4指より下にポジショニングできる低い位置
(4指を逆に高く上げている)で、
他の指に対して斜めに構えられるようになっている。

これでも「ボールを掴む」ような動きにはならない。
「親指の一番強い、指紋のある部分で擦りながら下に押し下げる」
までは可能になった。
「棒やボールを掴む」ようにするには、
やはり3Dキーボードのように、
物理スイッチの向きを変えないとだめだと思っている。


で。

仮に「ボールを掴むような動き」を親指がしたからといって、
同時押しは有効か?
という疑問点も実は残っている。

残念ながらコロナ禍で、
自作キーボードイベントが行われていない。
Dactylの普及は最近なので、僕は触ったことがないので感覚はわからない。
(Colosseum、Lime40の親指キーは親指側面で叩く角度だった)

だが3Dで親指を掴むような動きで打った場合、
速度は大して出ないのでは?
と僕は思っている。

なぜなら、
掴む方向の握力を使う動きは、
「屈筋を使う動き」であり、
4指の運動で言うと手前に引っ掻く方向の動きになり、
腱鞘炎の原因になる悪い打ち方だからである。

これは力を使わず素早い動きのできる、
伸筋を使った打ち方、
「縮めた指を伸ばして打つ」
ことの真逆になっている。


ちなみに親指だけ屈筋を使って掴み、
4指は伸筋を使って伸ばして打つ、
という打鍵法も試してみたが、
感覚がちぐはぐなので、
全然だめだった。

ということは、
4指で伸筋を使うならば、
親指も伸筋を使うべきだと考えている。
つまり、
親指を擦るような動きだ。

で、今の僕の3Dプリントキーキャップが、
まさにそのような動きに対応しやすい角度になってるんだよね。


親指シフトはほんとうに「掴む」のか?
「つまむように指先を突き刺す」のではないか?
(同時押しの指の形を先につくり、手首を落として同時押しするのは、
親指シフトの本来の打ち方ではないらしい)

そして合理的な親指の使い方とは、
「伸筋を使った擦るような打ち方で、他の指と面が違う」
のがベストなのではないか?

このような疑問に答えられる、
親指シフターを探している。



で、親指シフトって、
同手シフトに関しては「掴む連動」なのは分かるんだけど、
逆手シフトだともはや関係ないよね。

だから、
「同手同時押しは親指がベスト
(打ちやすい組み合わせは限られているし、
かつベストの物理キーと打鍵法は不明)、
逆手同時押しは、人差し指、中指、薬指、親指、すべて使える
(小指も使えないことはないが頻度は下げたい)」
と僕は考えている。


親指シフターは、
こうした新配列や自作キーボードで得られた知見を、
アップデートしないまま、
40年前の調査を盲信してやしないか。
その調査が読めれば、それも議論できるのだがなあ。
(紹介した新聞記事まではたどり着けるが、
調査論文の原点までたどれない。
あるいは、論文としてまとまっていない可能性すらある)


実は多くのシフターは、
正しいフォームでも、爆速でもないのではないか、
と僕は疑っていて、
だったら新配列のことをもっと知って、
自分に合う配列に乗り換えれば?
なんてことを僕は思っている。

色々な新配列を触ってみたうえで、
やはり親指シフトがベストならそれもいいんだけど。


その根拠であるところの、
「親指は掴む動き」が、
僕は甚だ疑問なので、
このように論点を整理してみた。



ちなみに薙刀式の場合。

親指は通常連続シフト(QMK版のみ同時連続に対応)で、
打ちやすい組み合わせは同手、そうでないのは逆手を使っている。

逆手人差し指中段(FJ)と同時で濁音化、
逆手人差し指下段(VM)と同時で半濁音化。

左手のイ段カナと、右手のやゆよ(HPI)との同時押しで拗音化、
その拗音と右人差し指の3キー同時で、濁拗音、半濁拗音を、
打てる仕様になっている。

一見複雑だけど、
「カナの種類によって指の振り分けを変える」
という風になっているため、
むしろ整理されていると僕は考えている。
posted by おおおかとしひこ at 12:18| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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