「奇跡の美少年」のあまりに過酷な転落。『ターミネーター』天才子役の搾取と依存にまみれた闇
映画『ターミネーター2』でジョン・コナー役を演じ、「奇跡の美少年」と呼ばれたエドワード・ファーロング。 【写真】激変した容姿、それでも「自分を愛せるようになった」エドワード・ファーロングの現在 世界中を虜にした彼は、その裏で肉親のネグレクトや大人による性的・金銭的搾取の闇に呑まれていました。薬物依存で容姿の変貌を遂げ、愛息との仲も裂かれるという凄絶な過去を生き抜いた彼の復活までのクロニクルを見ていきます。
機能不全家族で育ち、世界のジョン・コナーへ
1977年8月2日、カリフォルニア州グレンデールに生まれたエドワード・ファーロング。幼い頃から父親を知らず、母親のエレノアからも十分な愛情を注がれなかった彼は、叔母夫婦に預けられるという、ネグレクトに近い環境で育ちました。 転換期となったのが、エドワードが13歳の時。地元の少年少女クラブの入り口に立つ彼を、キャスティング・ディレクターが発見。演技経験ゼロながら、その圧倒的な透明感と反抗的な眼差しがジェームズ・キャメロン監督をも魅了し、映画『ターミネーター2』のジョン・コナー役に大抜擢されたのです。 映画が公開されるやいなや、世界は彼に熱狂。少し長めの前髪から覗く繊細な顔立ちは「奇跡の美少年」そのもので、日本でも映画の大ヒットとともに、社会現象を巻き起こしました。まさに彗星のごとく現れたシンデレラボーイ。しかし、その輝きが強すぎたゆえに、影もまた深く暗く伸びていったのです。
金の亡者と化した大人たちへの絶望
一歩スクリーンから出ると、エドワードの現実はあまりに残酷なものでした。家族から見放されていた彼が、『ターミネーター2』の記録的な大ヒットにより巨額のギャランティを手にしたことで、疎遠だった家族の欲望に火をつけてしまいます。 実母のエレノアは、息子が有名になった途端に親権を取り戻そうと訴訟を提起。一方で、育ての親である叔母夫婦とも金銭的な分配を巡る対立が深まりました。 まだ14歳の少年だったエドワードは、自分を愛してくれるはずの大人たちが「自分が生み出すお金」を奪い合うという、醜い紛争の渦中に放り込まれたのです。この時期の絶望感が、後の彼を蝕む種となったことは、想像に難くありません。
Kyoko Uehara