一番隠したかった情報より、一番バレやすい情報がそのまま残ってるのは本末転倒すぎる😂
第10話
「今日だけは、エレベーターに乗らないで。」
朝、家を出ようとしたときだった。
玄関のドアの下に、一枚の紙が挟まっていることに気づく。
何気なく拾って開いてみると、書かれていたのはたった一文だけ。
「今日だけは、エレベーターに乗らないで。」
差出人の名前はない。
理由も書かれていない。
「誰かの悪ふざけか…」
そう思って苦笑いしながら、その紙をポケットにしまった。
会社は15階。
いつものようにエレベーターの前へ向かう。
扉が静かに開く。
中には誰もいない。
乗り込もうと一歩踏み出した、そのとき――
ポケットから紙がひらりと落ちた。
拾い上げると、またあの言葉が目に入る。
「今日だけは、エレベーターに乗らないで。」
なぜか胸騒ぎがした。
「念のため…」
そう自分に言い聞かせ、今日は階段で行くことにした。
15階へ着くころには息が切れ、足も重かった。
その瞬間――
ドォォン!!
激しい衝撃音とともに、建物全体が大きく揺れた。
慌てて窓の外を見る。
エレベーターは途中で止まり、煙が立ち上っていた。
全身から血の気が引く。
「本当に…助かった。」
震える手で、ポケットからあの紙を取り出す。
何気なく裏返した瞬間、さっきまで何もなかった裏面に、新しい文字が浮かび上がっていた。
「次は、階段に気をつけろ。」
その一文を見た彼は、
ゆっくりと後ろを振り返った――。
もし、あなたなら…。
その紙を信じ続けますか?
それとも、すぐに捨ててしまいますか?