「強迫症」当事者が打ち明けた苦しみ その原因と治療法は? 専門の精神科教授にインタビュー
50人に1人が経験…発症の要因は
―――患者はどれぐらいいるのでしょう。 一生のうちに一度はかかる人の割合(生涯有病率)は2%台といわれています。 およそ50人に1人です。 統合失調症が100人に1人といわれているので、決して少なくありません。 ――日本人は「几帳面」というイメージがありますが、日本人に多いのでしょうか。 日本人だから多いということはありません。 かつて、強迫症は性格や几帳面さが引き起こすと思われていましたが、必ずしもそうではないということがわかってきました。 潔癖さなどとは違うメカニズムなのです。 ――「不安症」とか「パニック障害」という病気も聞きますが、関係はあるのでしょうか。 精神科が扱う病気を大きく分類すると、代表的なものに統合失調症などの「精神病」があります。 それとは別に「気分障害」があります。うつ病や双極性障害(躁うつ病)などで、比較的長い時間に気分のアップダウンがあるものです。 もう一つの大きな分類が「不安症(不安障害)」です。 「情動」といって、ある出来事によって急に激しい不安や恐怖を感じることが特徴です。 息苦しくなるような「パニック障害」や、人と対面する時にひどく緊張する「社会不安症(対人恐怖症)」などです。 強迫症もかつては「不安症」の一つとされていました。 しかし、2013年に米国の精神医学会が改訂した精神疾患の診断基準で、「強迫関連症」という新たな分類になりました。 この20~30年で研究が進み、強迫観念や強迫行為は、単純に不安が原因なのではないということがわかってきたのです。 ――では、何が原因なのでしょう。 強迫症は、環境やストレスなど様々な要因が重なって発症します。 遺伝は一つの要因で、家族に強迫症の患者がいると発症リスクが上がるといわれています。もちろん、必ず発症するわけではありません。 「神経発達症(発達障害)」もリスク要因とされています。特に自閉スペクトラム症は、こだわりが強く、コミュニケーションが苦手という特徴があり、社会で強いストレスを感じやすいことから、強迫症を併発することが少なくありません。 また、養育環境も要因の一つに指摘されています。 これに加え、進学や就職、妊娠・出産といったライフイベントに伴う心理的ストレスが引き金になるといわれています。