「強迫症」当事者が打ち明けた苦しみ その原因と治療法は? 専門の精神科教授にインタビュー
回復のきっかけは
家族に勧められていったん名古屋の実家に戻りましたが、苦しみは続きました。 「書けるようになる練習から始めました。書き直しができないようにボールペンを使ったのですが、修正テープを使って書き直してしまって。修正テープを塗り重ねてガタガタになったノートを残すのが嫌で、破って捨てました。『何も変わってないじゃん』と、自分に嫌気が差しました」 ちょうどこの時期にコロナ禍に見舞われ、大学の授業はすべてリモートに。 授業でノートを取る必要がなくなり、なんとか卒業することができましたが、就職活動どころではなかったといいます。 回復に向かうきっかけは、意外なことでした。 母校の高校で水泳を続けていたところ、ラグビー部や陸上部から、選手のトレーニングの指導を頼まれました。 専門外の競技だったこともあり、ちゃんと教えられるようにパーソナルトレーナーの資格を取ろうと決意しました。 「ノートが乱雑でもいい、合格という目標をクリアすればいいんだと考えるようになりました」 2025年7月に無事合格できました。
うまく折り合いをつける毎日に
発症から7年がたった今も、完治したわけではありません。 心療内科に月1回通って薬を処方してもらっているほか、2~3カ月おきに公認心理師のカウンセリングを受け、病気とうまく折り合いをつけながら生活しているといいます。 「家族からは『リモコンやコップの向きとか、テーブルの上にあるものの配置をいつも気にしているね』と言われます。でも自覚はなくて、ストレスを感じてやっているわけではありません。強迫症の“名残り”みたいなものですかね」 いま、スポーツ指導のほか、スポーツ用品の販売の仕事もしています。 「接客業はお客さんのペースに合わせなければならないし、レジやバックヤードの業務はスピードも求められる。あえてそういう仕事を選びました。職場にも強迫症のことを伝え、調子が悪い時には休ませてもらっています。周囲の理解もあって、いまは自分のペースで過ごせています」