「青森から私大なくなる」財務省削減案に学長ら危機感/連携、地域性ある教育を
財務省が4月、2040年までに私立大学を少なくとも250校削減する案を示したことを受け、青森県内の多くの私大関係者は「青森から私大がなくなってしまう」などと危機感を募らせている。一方で人口減少などを踏まえ「削減は避けられない」と冷静に受け止める声も。生き残りに向け、大学間連携や地元自治体と協力して地域に根ざした教育活動を推進する必要性を訴える意見が聞かれている。 「地方の小規模大学のほとんどが削減対象に入るのではないか。青森から私大がなくなってしまう」。財務省の案に対し、弘前学院大の髙松彰学長は苦渋の表情を浮かべた。 今年140周年を迎える同大には看護学部や社会福祉学部があり、地元を支える人材を輩出してきた。髙松学長は「高等教育が受けられる場所がなくなると地元を下支えする人材がいなくなる。青森県にとって経済的なマイナス要素が相当に多い」とし、「地方に目を向けて私大の貢献度を認識してほしい」と求める。 弘前市の柴田学園大を運営する学校法人柴田学園の髙橋誠記理事長は「私学だけが(削減の)ターゲットになっている印象を受け、少し乱暴なやり方に感じる。(存続に向けて)丁寧な分析・検討を主体的にやらなければならない」と危機感をにじませる。 八戸工業大の船﨑健一学長は、大学としてふさわしい教育をしているか、設備が整っているかなどの認証評価を受け自己点検も行っている-と強調。「どんな基準で大学を残すのか、誰が基準を決めるのかが見えてこない」と不安視する。 財務省の資料によると、18歳人口は1989年の198万人をピークに、24年は6割弱まで減っている。一方で国公立大を含む大学数は1989年の499校から増え続け、2024年には813校に。学生10万人当たりの高等教育機関の数は他国と比べても特に多く、同省は大学規模の適正化を訴える。 青森中央学院大の若林孝一学長は、県内の私大が減ることで「卒業後に県内で働く人が減り、若者の県外流出がますます加速する」と懸念。一方、人口減少を理由に「私大に限らず大学を減らす方向性は避けられない。削減する私大の数は非現実的な数ではない」と冷静に受け止める。青森大の澁谷泰秀(ひろひで)学長は「乱暴なやり方ではあるけれど、子どもの数を考えると仕方ない面もある」とした。 県内の私大は存続のためにどう取り組むのか。八戸学院大の小林眞学長は地方大学の存在意義について「大学に集まる若者は地域を元気にする力になっている。単なる学位授与機関ではない」と指摘。地元の自治体などと連携して地域に根ざした学びを実践し、必要とされる大学を目指すことの重要性を説く。 弘前医療福祉大の下田肇学長は「大学間で連絡を密にし、各大学が生き残れるような対応策をつくっていかなければならない」と連携の大切さを訴えた。 ◇ 財務省の私立大学の規模縮減案 4月に開かれた財政制度等審議会の分科会で公表。18歳人口が1989年の198万人をピークに2024年には109万人まで減少していることや、多くの私大が定員割れしている現状を踏まえ、40年までに私大を250~400校、入学定員を14万人程度減らす案を示した。資料によると高等教育機関の数は米国などの主要国と比べて特に多く、大学の運営費などに国費が継続的に投入されている事態が懸念されている。定員割れの私大では中学校レベルの英語の講義が行われていることを指摘し、レベル維持のために規模の適正化を進めるべき-としている。