トレーニー女に本気の勝負で屈辱のフォール負けをした話【イラスト43枚】
きっかけはインスタのDMで来た1本のDMだった。
初めまして。
私、トレーニング系のインフルエンサーやってます。真奈美っていいます。
突然なんですけど、格闘技に興味があって。
もしよろしければ練習見学させていただいてもいいですか?
まさに渡りに船だった。
俺は大学卒業後、今は会社員として働きながら競技を続けている。
練習は仕事が終わってから。
所属は一応、今の会社ということになっている。
チームと言っても選手は俺一人だ。
SNSへの投稿もいろいろ試した。
何かきっかけをつかめればと思って。
それでもフォロワーは150人。芽が出る気配はまだない。
調べてみると、彼女は6万人のフォロワーを持っていた。
それからyoutubeチャンネル、あとはいくつかの会社からのスポンサー。
そんな彼女とコラボできるチャンスはまたとない機会だった。
俺は勇み足で返信した。
ぜひお願いします!
僕は終業後いつでも空いているので、体育館にいらっしゃってください!
送信した後で、もっと気の利いたことを書けばよかったなと思った。
こんな雑な返しにも彼女はしっかり反応してくれて、とんとん拍子に話が進んだ。
~~
「こんにちは~」
彼女が体育館にやってきたのは、俺がちょうど練習を終えたころだった。
クールな表情が印象的だった。
「あっ、今日はよろしくお願いします!」
声をかけると、彼女は一瞬だけ目を見開いた。
それから俺を見つけると、こわばっていた顔は少し笑顔を取り戻した。
~~
「えーっと、道具は、あ、シングレットとか。」
俺は彼女のために準備してきたシングレットを取り出そうとした。
「あっ、私、シングレットは持ってるので大丈夫です。」
「えっ、あっ、、そうなんですね、、笑」
手を止めると、彼女は悪びれた様子もなく、自分のバッグを軽く叩いた。
「あ、言ってませんでしたっけ、、、。ごめんなさい、忘れてました笑 スポンサーとかいろいろあって。」
わざわざサイズを聞いて、知り合いから借りてきたとは言えなかった。
取りかけたシングレットをバッグの奥へ押し戻した。
なんとなくかみ合わなかった。
~~
彼女は俺に背を向けると、おもむろにカメラを取り出した。
「じゃあ早速スパーリングの様子から撮っていきたくて。」
「えっ」
俺は思わず聞き返した。
「えっ、でもきちんと基本の練習から。受け身とか、構えとか。」
「基本、、、ですか、、?」
彼女の手が止まった。
「いきなりスパーリングは危ないので、、。」
「でも私、時間無いんで。」
彼女は悪気の無い笑顔を向けた。
「そう言われても、、怪我させるわけにはいかないですから、、」
「じゃあ、そんなに本気でやらないでください笑」
「軽くでも基本が分からないままだとダメなんです。」
俺はきっぱりと言い放った。真面目が取りえだった。
彼女は小さく息を吐いた。
ため息だった。
「えーでも私、youtubeで動画見てたくさん勉強しました!笑」
「それと試合とは全然笑」
「そんなことないですよぉ~笑 動きは大体わかりますし。」
語尾は柔らかいのに譲らない感じ。気が強いのがすぐに分かった。
「俺とのコラボなんですから、ちゃんとこっちの言い分も聞いてもらわないと。」
「だーかーらー。」
彼女は呆れたような声を出した。
「基本練習を延々撮っても、動画にならないじゃないですか!!」
俺は馬鹿にされていることを心のどこかで感じ取っていた。
抑えようとした心の声は気づいたら漏れ出ていた。
「動画動画動画ってさっきから、、、、、で、、、できるわけないだろっ、、、!!」
「、、、、、何なんですか、その言いかた。」
「いや、だから、危ないから説明してるだけで、、、」
「私のこと、何も知らない素人だって馬鹿にしてます?」
「筋トレと競技は、、、」
いつの間にか俺は語尾が途切れ途切れになっていた。
「そうやって基本基本ってずっとどーでもいいことばっかやってるからいつまでも微妙なままなんじゃないんですか?
だからいつまでもバズらないでフォロワー150人なんですよ笑」
何も言い返せない俺に、彼女は畳みかけた。
「分かってます?私他にもいろいろ案件あるし、ここに何回も来れるほど暇じゃないんです。早くスパーリングさせてください。」
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?


購入者のコメント