アフリカ諸国では、道路や橋などのインフラ建設を中国企業が担うケースが目立つ。中国の対アフリカ直接投資残高は2016年末で400億ドルに上っている。「日経ビジネス」3月4日号特集「日本を超える革新力 逆説のアフリカ」ではケニア・モンバサの事例などを取り上げた。
アフリカで存在感を高める中国に日本企業はどう対処するべきか。ゼネコンやコンサルティング企業、金融機関などで構成するアフリカ・インフラ協議会の宮本洋一会長(清水建設会長)に話を聞いた。
アフリカには中国企業が建設した道路や橋などのインフラがあらゆる場所にある。
宮本洋一氏(以下、宮本):アフリカ54カ国は基本的に、国の生計を資源で立てている。一方、人口は若者が多く、子供がどんどん増え、将来的には世界の人口の25%を占めると言われている。それだけ若い国なので発展性があるが、資源に頼っているからカネがない。そこで中国が登場する。中国の支援は金利は高いけど条件は緩やか。一方、日本のODA(政府開発援助)は、金利は安いが、条件が厳しい。
中国に頼って今まで開発してきた結果、中国人がいっぱい住み着いた。中国企業は中国から労働者を連れてきて、プロジェクトが終わっても彼らは残る。中国企業が建設しても雇用につながらないということは、中国という先進国からの技術移転も拒否しているということ。アフリカの人たちも、「なんだ、お金を貸してもらって返済は自分たちでやらないといけないのに、結局中国人だけがうまくやって雇用にもつながってないじゃないか」ということに気付き始めている。
中国への債務の担保に、造ったインフラの使用権を押さえられるのではという疑念も出ている。
宮本:実際にスリランカで、中国の資金で建設したハンバントタ港の使用権を、99年間、中国企業に譲渡したという話が出ている。お金を返せないなら99年ただで貸してくださいと。それは一つの戦略だと思う。でも、中国としては戦略かもしれないが、スリランカにしてみれば、その時はお金が必要で、港を中国に整備してもらったけど結局取られたということ。
空港の整備も中国資本でやっていて、また同じことが起こるのではないかという懸念も出始めた。こういう話が世界中に広がっていて、みなさん危機感を持っている。
アフリカの援助にPPP活用を
日本政府や日本企業にとってはチャンスなのでは。
宮本:なぜアフリカが中国に頼ることになったかというと、お金がないから。日本の借款は、金利は安いけれど、返す条件や、債務がどのくらい膨らんでいるかをチェックして、それによって貸せる、貸せないが決まる。無償援助については、国民総生産がある程度になると無理という線を引いている。そういう事情で、インフラ整備の需要があっても日本からの借款が難しい場合がある。一方で中国はお金と企業をセットで持ってきて、インフラを整備する。
橋、トンネル、道路、港湾とアフリカにはたくさんニーズがあるし、日本にやってほしいという声もあるが、お金がないと進まない。現在の仕組みの中で無償援助を拡大することや、中国のようにカネと企業をセットで持っていく方法が難しいならば、PPP(官民パートナーシップ)でファイナンスを合わせて持っていくということが考えられる。そのため、アフリカ・インフラ協議会(JAIDA)にはゼネコンだけでなく金融機関も加盟している。
民間の資金でインフラを整備するということか。
宮本:PPPで、作ったインフラの使用を有料にして、そこからお金を回収する形が考えられる。だが、どれだけ需要があるか分からないし、民間がファイナンスをつけた際に現地の政府が本当に返済できるのかも分からない。そのあたりは国際協力機構(JICA)や国際協力銀行が一緒にやってくれないと民間だけでは難しい。そういうことを含めてやっていくのが日本の(アフリカ援助の)これからの課題だと思う。
政情不安の国で、もし戦争が起きたときに率先して日本人の保護に動いてもらうとか、後始末について政府間で折衝してもらうとか、リスクを取っていくというのであれば、民間だけでできないところもあるので、国による支援が必要だ。
政情不安や感染症など、様々な課題がありますが、それでもアフリカに進出するべきか。
宮本:そう思う。出ていける国は既にあるし、そういう国が増えるように、安定するように援助していく。インフラができてくれば自然にできてくると思う。電気なども不十分だが、街灯などで明るくすれば犯罪も少なくなるだろう。
インフラ輸出をすることが日本の国際社会でのプレゼンスを上げることになり、それはまたアフリカにとっていいことでもあるだろう。
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