「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」。世の無常をつづった鎌倉時代の随筆、鴨長明(かものちょうめい)の『方丈記(ほうじょうき)』。最古のルポルタージュともいわれ、1185年の文治地震では「山は崩れて河を埋め、(中略)土裂けて水が湧き出し」と液状化現象も詳述した。マグニチュード7・4と推定され、阪神大震災の7・3を上回る規模だった。
▶方丈記を日本語と英語で音読する会が、奈良県宇陀市大宇陀で行われていると聞いた。「英訳した文章を声に出して読むと、日本語にはない語感から新たな発見があるんです」と、進行役でライターの伊田彰成(あきしげ)さん(74)。阪神大震災も取材した経験がある。
▶「朝(あした)に死に夕(ゆうべ)に生(うま)るるならい」。この方丈記の一節に心を引かれた。「地震で壊れても必ず再生する。長明からのメッセージです」。阪神大震災から30年の人々の歩みと重なった。