<産経抄>的外れな高市首相の「媚び外交」批判

 桜の苗木を挟み記念撮影するトランプ米大統領(右)と高市首相=19日、ワシントンのホワイトハウス(内閣広報室提供)

狭い見識で、一部を見て全体を判断する愚かさを戒める言葉に「一斑全豹(いっぱんぜんぴょう)」がある。ヒョウのまだら模様の一つを見て、全体の姿を推量するのは無理である。会談したトランプ米大統領に対し、米国への協力を提案する一方、できないことはできないと伝えた高市早苗首相への批判もそれだろう。

「最悪の首脳会談。どこまでトランプ大統領に媚(こ)びへつらうのか」。共産党の田村智子委員長は20日、X(旧ツイッター)にこんな投稿をした。首相が会談でこう述べたことへの批判である。「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」。

確かにリップサービスの部分もあろうが、おおむねその通りではないか。それに、首脳会談で外交辞令が飛び交うのはむしろ当たり前である。安倍晋三元首相も平成27年3月、ドイツのメルケル首相の来日時に語っていた。「彼女に『EU(欧州連合)の女王だ』と言ったらうれしそうにしていた」。

会談や夕食会で、トランプ氏は繰り返し首相の衆院選の大勝利をほめたたえた。これも安倍氏が29年11月、衆院選の勝利後にアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、各国首脳に取り囲まれた逸話を想起させる。「首脳らから一目も二目も置かれたよ。全然対応が違う」(安倍氏)。

今回、首相はトランプ氏に拉致問題に関して「北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記と直接会うという気持ちが非常に強い」と伝えてそのプロセスを協議し、全面支持を取り付けた。トランプ氏は安倍氏にはこう語っていた。「あなたにとって重要なことは私にとっても重要だ」。

日米会談の行方は中国も北朝鮮も注視していたに違いない。首相には米国と連携し、全体を俯瞰(ふかん)して物事を進めてもらいたい。

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