サムネ用の扉絵
2026年6月28日、環境省と農林水産省が、「イエネコを『防除推進外来種』に追加する」方向に最終調整していることが判明しました。
news.livedoor.comこの件は大きく話題となり、この指定に反対する署名運動が起こっています。例えばこちらの署名運動は記事執筆時点で23000近い賛同がされています。
その後公益財団法人どうぶつ基金が署名運動を始め、こちらには56000を超える賛同がされています。
僕は現在Blueskyで活動をしているんですが、猫のことを思う人たちがこうした署名に賛同しているのを多く見るようになりました。確かにとても気持ちは分かりますし、一見猫に対して酷いことをしているように見えるのは仕方ないと思います。Xを見るとこの件はさらに大きな騒ぎとなっているようで、反対を表明する政治家まで現れ始めているようです。
しかし、この件に関して非常に大きな誤解があるように見受けられます。特にこの件に反対する団体は意図的に問題を誇張しているように感じられるのです。そしてこうした誤解をそのままにしておくと、猫の為にもなりません。そのため、この誤解を何とか正す必要があると思ってこの記事を書くことにしました。
今回の記事の要点を示すと以下の通りです。
・ネコは生態系に大きな影響を与える侵略的外来種である
・野外にネコがいることにはネコ自体にも大きなリスクがある
・防除推進外来種の指定には法的拘束力はない
・防除・対策=駆除とは限らない
・飼い猫が駆除される心配はしなくていい
・その上でこの指定の妥当性は議論されるべき
記事の内容もできるだけ簡潔にまとめようとは思いますが、何しろ文章を書くのは素人なもので(もちろんAIは使っておりません)、読みにくいところがあれば指摘してくれればありがたいです。決して僕はこの分野の専門家という訳でもないので、間違った部分があればコメントしてください。
野外のネコが引き起こす問題
まず、外来種とは?
殆どの専門家は、ネコが生態系に大きな影響を与える侵略的外来種であるということを認めています。これを説明するには、まず前提として「外来種」とは何かということを説明する必要があります。
外来種(alien species)とは、「ヒトの手によって本来の生息域外に移動させられた生物」の総称です。有名どころで言えばオオクチバスとかアライグマ辺りが思い浮かぶだろうけれど、定義上家畜、ペット、農作物はすべて外来種であると言えます。ウシはヨーロッパに生息していたオーロックスを家畜化したものだし、イネは東南アジア周辺に生息しているオリザ・ルフィポゴンが長江流域で栽培されたものが起源です。特に品種改良された生物には「生息域」は存在しないため、どこにいても扱い上は外来種と言うことになります。また、生物にとっては国境も何もないため、移入場所は国内外を問いません。例えば本州のカブトムシが北海道に移入された場合、それは国内外来種と呼ばれるものになるわけです。
なお、重要な点だけれどもヒトは外来種ではありません。元々「ヒトが移入した生物」という定義にヒトを含めることはできないし、ヒトはそもそも自力で分布域を広げるからです。この辺は過去の記事で詳しく説明しているのでよければこちらも見て欲しいけれども、外来種問題と外国人を混同して排外主義を煽るのは絶対にあってはならないことです。まさかこの記事を見に来る人にそんな人はいないだろうと信じているけれども、残念ながら上記の署名にはそういったコメントも散見されました。
ta-tea-two-te-to.hatenablog.com
そして、外来種かどうかという定義には「いつ移入されたか」は関係ありません。ややこしいのは、環境省が指定する特定外来生物は、「およそ明治以降に移入された国外外来種」に限定しているということです。これは特定外来生物以外の指定には適用されないし、移入時期はその外来種の侵略性とは特に関係ありません。
「外来種」という単語自体にネガティブな意味合いを感じる人も多いとは思いますが、先述した通り「外来種」は「ヒトの手によって本来の生息域外に移動させられた生物」を表す言葉でしかありません。イネやオカダンゴムシのように、特に問題を引き起こすこともない外来種は、世の中に沢山存在します。しかし、問題になるのは「侵略的外来種」です。侵略的外来種は、外来種の中でも生態系や人間社会に大きな影響を及ぼすものを指します。例えばオオクチバスは在来生物を捕食するし、アメリカザリガニは水草を切ったり穴を掘ったりすることで生態系を大きく改変する。アライグマは在来種への被害だけでなく、農作物への被害や感染症の媒介といった問題も大きいですね。しかし重要なのは、外来種自体が悪いという訳ではないということです。外来種はただそこで生きているだけであって、悪いことをしようとしてやっている訳ではありません。しかし、「害」はある。外来種問題はヒトが引き起こした問題であり、その「害」に対処するため、防除活動を行っていく必要があるのです。
環境省は日本で特に大きな問題を引き起こしている国外外来種を「特定外来生物」に指定しており、原則生きたままの移動や飼育を禁止しています。しかし、侵略的外来種だからと言って全て特定外来生物になっている訳ではありません。例えばニジマスは在来魚類との競合や捕食が大きな問題になっているが、産業上の価値が高いため特定外来生物には指定されていません。また、飼育している人が多いアメリカザリガニやミシシッピアカミミガメは特例として飼育が可能な条件付き特定外来生物に指定されています。
ネコは侵略的外来種か?
その上で、イエネコを見てみましょう。イエネコの原種はアフリカや中東に生息するリビアヤマネコです。そしてイエネコは品種改良によって作り出された動物であるため、生息地は存在せずどこにいても外来種、ということになります。よく勘違いされがちなのだけれども、イエネコは日本に生息するイリオモテヤマネコやツシマヤマネコとは全くの別種であり、あくまで同じネコ科と言うだけで関係ありません。イエネコが日本に入ってきたのは少なくとも弥生時代ごろ。前述のとおり外来種かどうかには移入時期は関係ないので、別に日本に長い期間いるからといって在来種になる訳ではありません。すなわち、イエネコは日本では(日本でも)外来種であると言えます。ところで上記の署名運動には以前まで「イエネコは外来種じゃない。地域猫も外来種になってしまう。」という文面が書かれていました。これは明確に間違いであるし流石に修正されたようだけれど、イエネコを在来種であると勘違いしている人は未だに多いと言わざるを得ないですね。
それで問題なのがイエネコが侵略的であるかどうかという点だが、これは間違いなく侵略的であると言えます。イエネコは捕食能力が非常に高く、しかも様々な環境に適応することができ、おまけに繁殖力も高いです。そして、イエネコの捕食によって絶滅した動物の例は非常に多いのです。特に有名な例として、スチーフンイワサザイが上げられます。
ja.wikipedia.orgこの鳥はニュージーランドのスティーヴンズ島に個体群が残っていたのですが、そこに持ち込まれたネコによる捕食により、1900年には絶滅してしまいました。
オーストラリアには約600万頭のイエネコが野生化しており、1年に約11億頭の哺乳類、4億羽の鳥類、6億匹の爬虫類、9000万匹のカエルが捕食されていると推測されています。ネコ1頭1日辺り4~20頭の固有種を殺害していることになる訳です。オーストラリアにヨーロッパ人が到来して以来、28種の哺乳類がネコによって絶滅に追い込まれたと考えられています。一頭のネコの胃の中から40匹ものトカゲが見つかった、という記録(リンク先にそのモロな写真があるので注意)まで確認されています。
invasives.org.auこうした事態になっているのは、ネコ自体の生態も一因になっています。というのも、ネコは例え満腹であっても「遊び」で狩りを行ってしまうのです。こうしたこともあって、国際自然保護連合はイエネコを世界の侵略的外来種ワースト100に含めています。
ネコによる問題は捕食だけではありません。在来のネコ科動物との競合・交雑であったり、病気や感染症の媒介も大きな問題です。特にトキソプラズマ症は有名なもののひとつで、感染した動物は神経組織が損傷し警戒心が弱まってしまいます。それによって獲物となる動物は捕食されやすくなってしまうのです。ヒトにも感染し、精神上の影響があると指摘されていますが、よく分かっていないところも多いです。
ここまで書くと「これはあくまで野生化したイエネコ(ノネコ)の問題であって、飼育されている飼い猫は関係ないのでは?」という意見もあるかもしれません。ところが、実際はそうではありません。
www.youtube.comこの動画(英語)では、飼い猫にカメラを装着し、野外でどのように行動しているのか観察するという実験が行われています(5:55~)。映像では、夜に出歩いた飼い猫が鳥の巣に入り込み、雛鳥を捕食する様子が写っています。この猫は元々室内飼いで、この実験の為に外に出されたばかりであったにも関わらず、です。飼育されているからといって、狩りをする本能が無くなる訳ではありません。例え家の中でペットフードで満腹にしても、それでも狩りをする動物、それがイエネコなのです。
野外のネコが受ける被害
ここまで書いて、ネコが一方的な加害者であるような印象を受けた人もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。ネコが外にいることで、ネコ自身が受ける被害もとても多いのです。
代表的なのがロードキル。2024年に調査されたデータでは、1年に223,366頭のネコが路上で死亡したことが明らかになっています。これは、記録されている殺処分の件数の24倍にもあたります。
野外の過酷な環境にもネコは直面することになります。乾燥帯が原産とは言え、今の酷暑の下にネコを放っておいて無事でいられる確証はありません。冬にも凍死するリスクがあり、特に仔猫はこうした気温変化によって死んでしまうことが多いでしょう。
感染症はネコ自身にとっても、在来種やヒトにとっても非常に問題となります。特に注目されているのがSFTS(重症熱性血小板減少症候群)です。これはマダニを介して感染を広げるウイルス性の感染症であり、感染したネコに噛まれることによりヒトが死亡した例もあります。2025年には室内飼いのネコが屋外に逃げてしまい、帰ってきたときにはすでにSFTSに感染していて2週間後に死亡してしまった、という事例がありました。マダニ以外にも、クマやアライグマに襲われる、毒のある生物を誤食するなどのリスクが野外に多く存在します。
他にもネコが迷子になる、悪質な人間による虐待を受ける、など無視できないリスクは非常に多くあります。そもそもネコは悪くありません。このようなことが起こってしまうのは、ヒトがネコを外に出しているから、つまり人間の責任なのです。
現在行われている対策
TNR・地域猫
外にいるネコの個体数を減らすために最も日本でメジャーな方法は、TNR活動でしょう。TNRはすなわち捕獲(Trap)・去勢(Neuter)・返還(Return)の略であり、ネコを捕獲し、去勢して元に戻すことで繁殖を抑え、個体数を緩やかに減らしていく、という活動です。こうした猫たちを地域猫と呼び、特に印として耳に切れ込みを入れたものをさくら猫と呼びます。
このような対処法は一般的に行われている一方で、上に記したような外猫に関わる問題はそのまま残っています。在来種は捕食するし、事故に遭うリスクもあります。本来であれば、こうして去勢したネコを屋内飼育に持っていくのが理想ではあるものの、引き取り手や施設の不足によりそうはいかない現状があります。TNRはあくまで現状最善の方法として行われているだけであり、まだまだ課題は多く、その解決には行政と市民が共に努力する必要があるでしょう。
オーストラリアの事例
一方で、ネコによる問題が非常に深刻なオーストラリアでは、ネコの駆除活動が進められています。特に遠隔地においてはTNRは物流面で難しく、却ってネコの個体数を安定させてしまうのではという指摘もされています。駆除に用いられるのは主に毒餌や銃ですが、いずれも動物福祉上の問題だけではなくコスト上の問題にも直面しています。さらにこうした駆除活動を行ったり対策を練っている人達が駆除に反対する人々からの脅迫の被害に遭うケースも多いです。猫対策の現場は他の外来種対策とは一線を画した状況にあるのです。
小笠原と奄美の事例
日本においても、主に島嶼部においてネコによる生態系の被害が問題視されていなす。伊豆諸島の御蔵島では、ネコ1頭当たり年間330羽ものオオミズナギドリが捕食されているというデータが出されています。(こうした島嶼部では、条例によってネコの外飼いが禁止されていることも多いです。)こうした島嶼部での猫対策において特に有名なのは小笠原諸島と奄美大島でしょう。
小笠原諸島においても海鳥の繁殖地やアカガシラカラスバトといった固有種が存在しており、ネコによる脅威に晒されていました。そこで東京都獣医師会は小笠原で捕獲されたネコの保護を行う、「小笠原ネコプロジェクト」をスタートしました。このプロジェクトによって保護されたネコは現在1000頭を超えています。この件は、在来種を保全した上でネコの命も守ることができた対策例の一つであると言えるでしょう。
一方で話題になったのは2018年度から始まった「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」です。奄美大島にはアマミノクロウサギやアマミヤマシギ、ケナガネズミなどの貴重な固有種が生息しています。その最大の脅威となっていた外来種のマングースは近年根絶が発表されましたが、依然として大きな脅威となっているのが、ネコでした。写真や映像、フンの分析等からネコがこうした固有種を捕食していることは明らかであり、さらにこうしたネコの中には普段キャットフードを食べている、すなわち普段は人間の生息圏に暮らしているネコがいることも明らかになりました。
もちろんこうした固有種の脅威としてロードキルはかなり深刻であり、アマミノクロウサギの場合、回収された死体に基づくと交通事故の割合は非常に高くなっています。(データ)しかし、イヌやネコによる捕食はそもそも死体が残らないというのもあり、この死亡率は正確なデータを示してはおらず実際には捕食の影響はかなり大きいものと考えらます。特に徳之島では死体が残っているだけでもイヌネコによる捕食が交通事故に匹敵する割合を占めており、より深刻な問題となっていることが見受けられます。
こうした背景もあり始まったノネコ管理計画でしたが、計画の中の「捕獲されたネコの収容期間は原則1週間で、その間に譲渡希望者が見つからなかった場合安楽死させる」という部分が波紋を呼びました。週刊文春はこの計画を曲解し、「世界遺産欲しさのネコ3000匹殺処分計画」として歪曲して報道しました。(そもそも奄美のノネコの生息数は600~1200頭と推測されている。「3000匹」というのは計画中の捕獲数の目安×日数の単純計算でしかない)この記事を真に受けて反対に向けた本格的な署名を始めたのが、公益財団法人どうぶつ基金です。この名前は記事の初めの方で見ましたね。今回の件で「イエネコを『防除推進外来種』にしないよう、環境大臣に求めます」という署名を立ち上げた、あのどうぶつ基金です。この署名は10万もの賛同が集い、生態系の保全のためであったはずの管理計画は世間から批判の目に晒されることになりました。
確かに最終手段として安楽死しなければならないというのは残酷なように思えます。しかし、奄美という島の環境において、長期間多くのネコを保護しておくのは難しいという事情もあるのです。幸いこの件が話題になったからなのか、捕獲されたネコ達には引き取り手が見つかっており、2025年末までに772頭が捕獲されましたが、安楽死に至ったネコは一頭もいません(収容中に死んでしまった個体は少数いる)。在来種の個体数も回復傾向にあるようで、批判にも負けず何とかうまくいっているようです。以前奄美大島で問題を引き起こしていたマングースは、殆どが殺処分されています(特定外来生物なので当然ではありますが)。同じく問題を引き起こしていたネコは殺処分されることはありませんでした。これはとても特別なことであるということを忘れないで欲しいです。
どうぶつ基金の抱える問題
上記で名前を出した公益財団法人どうぶつ基金ですが、この団体は集めた寄付金を使って避妊去勢手術を無償で行える取り組みを行っています。この制度は全国の動物愛護団体や行政によって用いられている現状にあります。これ自体は確かに良い取り組みであると思います。しかし2025年、どうぶつ基金はとある内容の動画の投稿をXやFacebookで行い、批判されることとなりました。その内容とはすなわち、「『不妊手術は餌やりの義務』って、重すぎませんか?」というメッセージです。これは明らかに団体の行っている活動と矛盾しています。避妊手術もせず無責任な餌やりを続けていては、野外で不幸な目に遭うネコは増える一方です。これではまるで、「自分たちが猫を『保護』し続けるために、野外の猫を増やしてほしい」と言っているようなものです。手段と目的が逆転しているではありませんか。この件に関してはやまがた不妊去勢クリニックの記事が詳しいのでこちらを参照してみてください。とにかく、どうぶつ基金はこうしたニュースに便乗して注目を集め、ネコ好きの不安を煽り金を稼ごうとしているのではないか、という懸念を感じます。もちろんその上でこの団体を信用するかどうかはあなた自身の判断に任せますが、こうした署名を立ち上げている団体がどのようなことをしているか、客観的に見ることは重要だと思います。
防除推進外来種指定に関する誤解
やっと本題です。
まず、何が起こってんの?
環境省は、外来生物法で規制している特定外来生物とは別に、広範的な外来種対策のための「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)」というものを公開しています。
まず最初に書いておくのだけれども、このリストに法的拘束力はありません。「国、地方自治体、事業者、NGO・NPO、国民等の様々な主体に対し、外来種についての関心と理解を高め、適切な行動を呼びかけることで、外来種対策の進展を図ることを目的とする」ためのリストです。このリストには前述したニジマスのような、法律で規制することが困難な外来種も含んでおり、こうした外来種の対策に役立てられています。
このリストができたのは2015年で、2023年よりその内容の見直しのために「生態系被害防止外来種リストの見直しに係る検討会」が設置されました。
www.env.go.jpそして、このリストの見直しに伴ってイエネコを「防除推進外来種」というカテゴリに指定する方向に進んでいる、というのが明らかになったのが2026年6月28日のことです。
現行のリストにおけるネコの扱い
では、現行のリストにイエネコはいなかったのか?と言われればそうではありません。現行のリストには「ノネコ(イエネコの野生化したもの)」が「緊急対策外来種」として位置づけられています。この「緊急対策外来種」というカテゴリには、哺乳類で言えばアライグマやフイリマングース、キョンやヌートリアなどといった現在駆除が積極的に行われている特定外来生物も多く含まれています。現行のリスト上では、確かに対策を行うネコを「野生化したもの」に限定しています。しかし、リストの掲載種の付加情報を見てみると、このようなことが書いてあります。「逸出には十分な注意を払い、放逐を厳に慎むべき。」この文面は他の緊急対策外来種と同じではあるが、重要なのは「逸出・放逐」が前提になっているということです。「逸出」とは「飼育している動物が逃げ出すこと」であり、「放逐」は「故意に飼育している動物を解き放つ」ことです。特にこの環境省の資料では、「飼養動物の放逐」を非常に問題視していることが見受けられます。すなわち、現行のリストにおいても、おおよそ「新たな『ノネコ』を産み出さないために飼育下のイエネコにも注意を払うべき」という姿勢はすでに存在すると言っていいでしょう。
「イエネコ」になることで変わること
そして、これから行われる予定のリストの改訂においては、ネコを野生化した「ノネコ」だけではなく種としての「イエネコ」を「防除推進外来種」としてリストアップすることが進められています。
そもそも「防除推進外来種」というカテゴリは改訂にあたって新設されたものです。
とはいっても、このカテゴリ自体は名前が変わっただけでこれまでノネコがいた「緊急対策外来種」とあまり変わりはありません。「生態系等被害が大きく、積極的に防除する必要があるもの。総合対策外来種と位置付けられた種類のうち、被害の深刻度に関する基準のいずれか又は複数に該当する外来種。」という位置づけであり、以前の「緊急対策外来種」と同じくアライグマやオオクチバスなどの種が含まれています。
そのため、今回の改訂で主に大きく変わる点は、対策を行うべきネコを野生化したものだけではなく、人に頼って生きるものも含むようにする、という点のみです。そしてそこが大きな論点となっているのです。
前述した通り、ネコとしての侵略性は野生化したノネコでも、人に頼って生きる野良猫でも、外に出ることができる飼い猫でも変わりません。ペットフードを食べていたネコが希少種を狩っていた奄美の例や、外飼いの猫が野生動物を狩っている事実からも明らかです。そのため、野外にいるネコ全般を生態系に対する脅威として扱うこと自体は正当なものです。問題として挙げられているのは、「防除推進外来種」が「積極的に防除する必要がある」外来種であるということです。
「防除=駆除」ではない
では、そもそも「防除」とは何か、このことについては環境省のホームぺージで詳しく説明されています。
www.env.go.jpこのページに基づくと、「防除」とは「捕獲、採取、殺処分、被害防止措置の実施等」を指す言葉です。また、資料には防除に対してこのような原則があると記されています。
防除を行う者は、本法、鳥獣保護管理法その他の法令の規定を遵守するとともに、住民の安全及び生物の多様性の確保のため、以下に掲げる適切な方法により防除を行わなければならない。
ア 防除の実施に当たっては、設置した捕獲器具等を適切に管理できる体制の確保など錯誤捕獲や事故の発生防止に万全の対策を講ずるものとし、また、事前に関係地域住民等への周知を図るとともに、本法に基づく防除を実施していることを証する書類の携帯をする。
(中略)
ウ 捕獲個体等は防除実施主体の責任のもと、適切に処分することとし、個人的な持ち帰り及び野外への放置のないようにする。
エ 捕獲個体をやむを得ず殺処分しなければならない場合には、従事者の心理的負担軽減や効率的な防除の観点にも留意しつつ、できる限り苦痛を与えない適切な方法で行う。
「特定外来生物被害防止基本方針」14ページより引用
そしてあくまでもこれは「特定外来生物」に対する処置です。特定外来生物は生きたままの運搬・飼育が原則不可能であり殆どの場合殺処分が前提となっています。しかしそんな特定外来生物の防除でさえこのような厳しいルールがあるのです。ましてや特定外来生物ではない上愛玩動物であるネコの場合、仮に防除を行うとしてもそもそも殺処分は前提とならないケースが殆どでしょう。
すなわち、「防除」は確かにその手段の一つとして「駆除」を含みはしますが、「防除」=「駆除」と言い換えることはできません。
生態系被害防止外来種リストの見直しにおいて、イエネコを含むか否かに関する議論は2025年10月23日に行われています。
・令和7年度 第5回 生態系被害防止外来種リストの見直しに係る検討会 議事概要
この会議において亘悠哉検討委員は以下のように発言しています。
・検討開始当初から「ノネコ」と「ノイヌ」を種名である「イエネコ」と「イヌ」に変更すべきだと主張してきたが、今回の案でも受け入れられていないので、再度意見を述べる。ノネコという名称は鳥獣保護法に書かれているもので、許可を得ないと捕獲等が出来ないものであり外来種対策となじまないものである。また、人に依存しないノネコは非常に限定された場所にしかいない。ネコ問題の主役はノラネコだが、これが含まれないことになるのが一番の問題だ。人間活動によって増えたネコが在来種を捕食したり人獣共通感染症のリスクを高めたりすることが問題となっているが、ノネコと掲載することでノラネコを除外してしまっては実効性が失われてしまう。以前、ノラネコは愛護動物の観点もあるので、これを一概に駆除するとなるのは問題という話もあったが、そもそも対策=駆除、対策と愛護の対立構造というのは古い考え方だ。ネコ問題の原因は放し飼いや人の餌やりなど人の行動であり、人の管理が本質的な対策となる。外来種リストに掲載し、適正飼養を訴えかけていく必要がある。一方で愛護セクターが十分かといえば、日本では屋外のネコの多くが交通事故や冬を越せずに死んだり、感染症などにより死んでいるというひどい現状があり、これを適正飼養の徹底で改善していく必要がある。イエネコは生態系リスクが哺乳類の中でも最上位に位置する動物であり、今回の更新はこれをしっかりリストの中で位置づけるチャンスである。また、少なくとも哺乳類では、他の種も含めて法律で使われる呼称ではなく種名で掲載するべきだ。(亘委員)
「令和7年度 第5回 生態系被害防止外来種リストの見直しに係る検討会 議事概要」2-3ページより引用、強調は筆者による
そう、そもそも「イエネコ」の指定を提案した委員自身が「対策=駆除ではない」「適正飼育によって状況を改善する必要がある」と明確に発言しているのです。これを、あたかも「国が外にいる猫をなんでもかんでも駆除しようとしている」とするのは明確な誤解です。
ところで上に示したどうぶつ基金による署名には、「さくらねこやノラ猫、外に出ることもある飼い猫は、人と共生しています。それでも『そのうち森に入って希少種を絶滅させるかもしれない』。だから、念のため駆除しておく。それを、国が“推進”する。これが防除推進外来種です。」という文面がありますが、これは意図的に誤解を呼ぶような書き方をした、と言わざるを得ません。
ネコの扱いのややこしさ
そもそもネコという動物は元々複数の法律で守られています。すなわち「動物愛護管理法」と「鳥獣保護法」です。
動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)ではネコを「愛護動物」に位置付けている上、「人が占有している哺乳類・鳥類・爬虫類」も含まれます。こうした愛護動物の虐待・殺傷は法律に違反します。すなわち、外飼いのネコが「防除」の一環として「駆除」されることはまずありえないと言っていいでしょう。
一方で鳥獣保護法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)では、「狩猟鳥獣」としてノネコ(野生化したイエネコ)が指定されています。しかし、狩猟鳥獣の狩猟に関しても厳しい条件が課せられており、狩猟免許を持っていてかつ狩猟期間に当たる期間にのみ狩猟を行うことができ、その条件から外れてしまった場合は罰せられることとなります。
狩猟鳥獣としてのノネコの指定は動物愛護管理法と矛盾しているという指摘もあります。しかしそれはそもそも「ノネコ」「野良猫」「地域猫」「飼い猫」の境目があやふやだからこそ起こった問題なのではないでしょうか。野生化したノネコと人間社会に頼って暮らす野良猫は特に判別が非常に難しいです。鳥獣保護法において誤認捕獲は違法であり、ノネコと誤って野良猫を捕獲し違法になるリスクを背負ってまでノネコを狩猟しようとする人は正直あまりいないでしょう。
このようなネコの扱いのややこしさがある上で、「イエネコ」という種として生態系被害防止外来種リストに記載することにどういった意味があるのか、考えてみてください。
環境省側に非はあったのか?
では、この指定に関して環境省側に非が無かったかと言えば、正直一概にそうとも言いきれない事情があります。
前述したとおり「防除=駆除」ではないとは言え、この指定を乱暴に拡大解釈すれば確かに「外にいる猫をなんでもかんでも駆除しても構わん」というように解釈できてしまう、というのは事実です。
と言ってもこれはあくまで独自でこの指定について報道した側の問題が大きいのではないかと思います。愛媛新聞社らが経営するNoteによると、Web版の記事には元々の新聞記事にあった、「不妊・去勢手術を施して住民らが見守る地域猫などは、各地で事情が異なるため状況次第の対応になりそうだ。」という一文が抜けているのだそうです。ここを抜かしてしまっては、上記のような誤解を抱いてしまうのも無理はないでしょう。
ただ、一般的に「外来種を防除する」と聞いてまず思い浮かぶのは池の水を抜いて外来種を駆除する番組でしょう。あれと同じような目に猫が遭ってしまうかもしれない、そのような誤解をしてしまう人が続出してしまうことはまず予想が付くでしょう。このような誤解を呼ばないために、環境省ができることはもっとあったのではないか、とは思います。
もっと悪かったのが、この指定を進めていることが明らかになったのが、「国旗損壊罪」「個人情報保護法改正」「議員定数削減法案」「皇室典範改正」「国家情報局設置法案」等といったマジのド悪法が通ろうとしているタイミングであったということです。これも報道のタイミングが悪かったと言えるかもしれませんが、そもそも現政権下でメッチャクチャな政治が行われている状況でこのような指定を行うのは、誤解してくださいと言っているようなものではないでしょうか。事実SNSを通してこのような誤解が広がってしまったのを見ると、このような状況になってしまったのは現政権の責任もあるでしょう。
その他諸々Q&A
Q. 人の方が環境を破壊している。ネコを悪者にするな!
A. 外来種問題はそもそも人間が引き起こした環境問題の一つであり、ネコが悪くないのは当然のことです。たしかに他の環境問題も重要です、地球温暖化、自然開発、乱獲など。しかし、環境問題は元々複合的なものであり、そのすべてに対処していかないと解決には至りません。例えばアマミノクロウサギを守るためにはロードキル、ネコ問題、自然開発、全てに対処していかないといけないわけです。
Q. 島嶼部はともかく、本土での影響は少ないんじゃないの?
A. 確かに国際自然保護連合のイエネコに関するページでは、「特に固有種が捕食者から比較的隔離された環境で進化してきた島嶼部では、在来の鳥類やその他の動物相を脅かしている。 」と記されています。しかし、前述した通りネコの影響はオーストラリアという大陸部でも大きな問題になっていますし、日本はそもそも島国です。例えば普段よく見るカナヘビは、ニホンカナヘビといって日本以外には生息していない固有種です。地域別でみれば、さらに局所的に生息している固有種が沢山生息しており、こうした固有種に被害を与えかねない外来種には対策が必要となる訳です。現状本土でネコの影響で絶滅した種はおらず、本土での影響が島嶼部より少ない、というのは事実として言えるかもしれませんが、むしろ交通事故などネコ自身が受けるリスクに関しては本土の方が重大ともいえるでしょう。対策しなくていいという理由にはなりません。
Q. 外にいるネコは文化的に重要じゃないの?
A. ネコを観光資源にしているところは確かにあります。トルコのイスタンブールには約10万~100万頭の野良猫が生息しており、共同所有のペットとして、殺処分や捕獲を一切行わない姿勢を示しています。日本にも、野外のネコを観光資源とするいわゆる「猫島」が各地に存在します。代表的なのが宮城県の田代島で、人口を超える100頭以上の地域猫が生息しており観光名所として有名です。
僕は現状確立しているネコを用いた観光名所を否定する気はありません。しかし、そのような場所をそれ以上増やす意味もないと思います。田代島のような場所でも、人口減少が続くとネコの管理が行き届かなくなってしまう可能性はあるでしょう。それよりかはもっと他の方法で観光をアプローチする必要があると思っています。
これに限らず「野外にネコがいる風景」というのは日常として親しまれており、小説、漫画、アニメ、ゲーム、映画、様々な題材になってきました。「ネコ歩き」というドキュメンタリー・写真集も有名ですね。こうした状況はもはや「文化」と言っても差し支えないでしょう。しかし、「文化」は時代の流れに合わせて変わっていくべきものです。例えば男尊女卑とか社会格差を前提とした「文化」は、かつては多くありましたが現代では見直されています。ネコの「文化」に対しても、同じように変わっていくべきであると僕は思っています。
Q. 外のネコがいなくなったらネズミが増えてしまうんじゃ?
ハツカネズミ・ドブネズミ・クマネズミの3種のネズミ(ちなみにすべて日本では外来種)は人間社会に大きな被害を与えるため、特例として狩猟免許いらずで駆除することができる哺乳類です。こうしたネズミの個体数管理として、ネコは有用に使われてきたという歴史は確かにあります。
しかし、こうしたネズミは人間によって攪乱された環境で、捕食者であるネコと共進化してきたため、在来種よりもネコに捕食されづらいという現状があります。カリフォルニアで行われた調査では、ネコに殺されたネズミの67%が在来種であったというデータさえあります。
ネズミの対策は重要です。しかし、それをいつまでもネコ頼りにしていてはいけないという現状があります。ネズミ対策にどうしてもネコが必要な場合にも、そのネコを徹底的に管理する必要は依然としてあります。
Q. このリストの改訂が虐待の正当化に繋がってしまうんじゃ?
このような懸念は非常に多く見られ、上に示した署名や、どうぶつ基金も言及しています。主な原因としては、2023年に広島県呉市で発生した、大学院生がネコを刃物で突き刺して殺害し、解体する動画を投稿したという事件があるでしょう。
www.kobe-np.co.jpこの事件で殺されたのは地域猫だったのですが、犯行を行った大学院生は「ノネコだから大丈夫だと思った」と供述していたことが話題となりました。確かにノネコは狩猟鳥獣です。しかし、例え当該の大学院生が狩猟免許を持っていて、狩猟時期に適合していて、そして「仮に」捕獲されたのが実際にノネコだったとしても、この大学院生の行動には疑問が残ります。
動物愛護管理法には以下のような雑則があります。
第四十条 動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならない。
環境省の資料においても、鳥獣の致死における「できる限り苦痛を与えない方法」を示しており、その中に大学院生が行ったような「刃物を用いたもの」はありません。ノネコか地域猫かどうこう以前に、この大学院生が行ったことは明確に不適切であり、本来であれば動物愛護管理法で取り締まられるべきです。なお、広島県農林水産局ははっきりこの地域においては「ノネコは駆除対象ではない」と明言しているようです。
動物虐待はそもそも法律で取り締まられるべき明確な犯罪行為であり、その対応は狩猟鳥獣や外来種の管理と並行して国がしっかりと取り組んでいくべきです。したがって、「ネコ対策を進めるなら、動物虐待に対してより厳しく取り組むべき」ということを訴えるのであればそれはとても正当なものだと思います。
しかし、上に上げた署名を始め、「イエネコが防除推進外来種になると、虐待者の正当化に繋がるので指定を取りやめるべき」という言説が横行しているよう見受けられます。これは不安を煽り誤解を呼ぶだけの非常に問題のある言説であると思います。ノネコがリストアップされている生態系被害防止外来種リストには法的な拘束力はありません。件の大学院生が「ノネコだから殺していいと思った」なんて言い訳していたのはあくまでノネコが狩猟鳥獣だからでしょう。一見関係のありそうなものを結び付け、データも事例もないのにただ不安を煽って誤解を助長するやり方を快くは思えません。これは極端な例を出すなら、「権利を認めたら犯罪が増えるかもしれない」といって移民やトランスジェンダーの排除を正当化するような許されざる差別言説と構造は同じであるように思えます。
我々にできること
まとめとなります。
この記事を通して書いたうえで、僕はイエネコの防除推進外来種指定に対して特に賛成も反対もしません。ネコの引き起こす問題は非常に深刻である一方で、愛玩動物であるということも事実であり、その対応はもっと慎重に行う必要があると思うからです。
この件に対して、我々には何ができるでしょうか?
猫の室内飼いの徹底・保護猫の引き取り
まず、真っ先に出来ることは、猫の室内飼いの徹底です。飼い猫を外に出すということは、猫自身にとっても大きなリスクがあり、とても好ましい行為とは言えません。環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」では、猫の屋内飼養に努めるべきということを明確に示しています。動物愛護管理法の改正により、ペットショップで購入した飼い猫にはマイクロチップの装着が義務付けされており、そうでなくても装着は努力義務となっています。猫を飼育するうえでも、適切な猫の管理が必要になってくるわけです。環境省の作ったこちらのパンフレットにも目を通しておくべきでしょう。
もちろん、適正飼育をするべきなのは犬や鳥など他のペットでも変わりありません。犬にしても、生態系に大きな影響を与えかねないことが指摘されており、問題を防ぐためには適正な飼育や散歩のやり方が欠かせません。こうした適正飼育を自分たちが取り組み、周りの人たちに伝える、それが猫をはじめとしたペットを守るための第一歩です。
もし自分が新しく猫や犬を飼いたいと思っていたり、そう考えている人が身近にいるならば、ペットショップではなくまずは保護猫・保護犬の引き取りを検討してみてください。近年は悪質な犬猫ブリーダーも社会問題化しています。ペット産業に関する問題は主題から反れてしまうのでここでは語りませんが、興味があれば調べてみることをお勧めします。今外にいる猫や犬の命を少しでも多く救うためには、保護されている個体を引き取る方々の存在が欠かせません。こうした方々が少しでも増えることを願っています。
社会問題についてもっと詳しく調べてみる
今回の騒動は、そもそも「外来種とは何か」「ネコはどのような問題を引き起こしているのか」という前提が多くの人に欠けていたことにより発生したものです。このような騒動に振り回されることになるのを防ぐには、環境問題をはじめとしたさまざまな社会問題について詳しく調べて、前提的な知識をある程度知っておくということが重要です。もちろん中立的な情報を仕入れるのが難しい問題もあります。こうした問題に関してはなおさら、感情的に反応せず冷静に内容を確認するということが必要になってくるわけです。
これは僕自身もまだまだ学ぶべきことが多いと感じています。共に頑張っていきましょう!
平和を訴える
そして、環境を守るにしても、猫などのペットを守るにしても、前提条件として欠かせないのは「平和」です。しかし、その平和は脅かされつつあるのが現状です。アメリカはイランをはじめとした国々の平和を脅かし、日本でも軍国主義的な政策が進みつつあります。
第二次世界大戦中には、「犬の献納運動」というものがありました。戦火の中全国的に毛皮が不足し、国や地方自治体は飼い犬を献納するよう呼びかけたのです。こうした犬は殺処分され、その多くは利用されることもなく廃棄されてしまいました。このような悲劇を決して繰り返してはいけません。
www.jacar.go.jpイエネコの防除推進外来種指定が正しかろうがそうでなかろうが、今の国に文句を言うべきところはそれ以外にも数えきれないほどあるはずです。各省や政党に意見を送る、デモに参加する、問題を発信する、我々にできることはたくさんあります。人もペットも豊かな環境も守るため、一番必要なことは平和を訴えることなのです。
さいごに
外来種対策は、「環境保護と動物愛護の対立」であると思われているような節があります。在来種を守るために、外来種を取り除く必要があることを残酷と思う人も多いかもしれません。一方で外来種を放置しておくと在来種は被害を受け続け、いずれ絶滅してしまうかもしれません。「外来種と在来種、どちらの命を大切にするか」というような問題だと考えている人も多いかもしれません。
しかし、実際はそうではありません。外来種対策をはじめとした生態系保全をしている人は、生き物が好きだからこそその活動をやっていられるわけです。そして、将来的に不幸な目に遭う在来種と外来種を極力減らすために、今の外来種対策を行っているのです。防除をその生き物が憎いからやってる保全家はいません。むしろ的確な対策はその生き物を良く知っていてこそ、つまりその生き物が好きでないとできないものなのです。
これでこの記事はようやく終わりです。簡潔な記事にするはずだったのに17000文字を超えてしまいました。この問題について少しでも多くの方々に知ってもらえて、役に立つことができたのであれば幸いです。猫の為にも、自然の為にも、皆さんで頑張っていきましょう!