AI秘書つくったとか言うけど今まで秘書いたことあるんか
過去に秘書がいたことは一度もない。
政治家でも大企業の社長でもないので……
だからAI秘書が何をしてくれるのか、想像もつかなかった。
しかし、会社の雑務をAIで自動化していくうちに、なんとなく見えてきた。
まずそれを先に3つ挙げておきます。
予定が常に変動するなかで、自分の代わりに整理してくれる
自分の判断を待たずに、済ませておくべきことを済ませておいてくれる
後回しにしたことを忘れずに、しかるべきタイミングで戻してくれる
今回はこのうち1つ目を、いちばん簡単なところから形にしてみます。
やることはシンプルです。その日のタスクと予定を、秘書(AI)がObsidianのデイリーノートに書く。自分はそれを上から埋めていく。それだけ。
「今日何をやるか」を毎朝AIに決めさせる
秘書がいようといまいと、どういう立場だろうが必ずやらざるを得ないことがある。今日一体何をやるのか、それを決めることだ。何も決めずに一日を過ごしたいものだが、そうもいかない。
ここを自動化したい。予定が組み上がったObsidianのデイリーノートを、AIが毎朝代わりに作ってくれる。それはもう秘書と呼んでいいのではないでしょうか。
簡易的に実現する方法を書いておきます。良ければやってみてほしい。
Obsidianとは
Obsidianは、Markdownでメモを書くアプリだ。
特徴は、ノートが自分のパソコンにファイルとして残ること。クラウドサービスのように「中身が見えないどこか」に預けるのではない。手元にテキストファイルがそのまま並ぶ。
だからAIから読み書きしやすい。クラウドの中に隠れていないぶん、つなぎ込みが素直になる。具体的なつなぎ方は、このあとの「AIとの接続方法」で書く。
デイリーノートとは
デイリーノートは、日付ごとに1枚作られるノートだ。Obsidianの標準機能で、その日を開くと自動で1ファイル生まれる。
今日の記録、予定、タスク。その日のことはぜんぶここに集まる。日記をつける人もいれば、ログだけ残す人もいる。使い方は人それぞれだ。
今回は、その日の予定とタスクの起点として使う。たとえばこんなテンプレートが考えられる。一種の日報である。
# 2026-05-19
## 必ずやる予定
- [ ]
## 繰り越し(昨日やり残した分)
- [ ]
## できれば今日
- [ ]
## メモ
テンプレートは先に作っておく
このテンプレートは、Obsidian側でデイリーノートの雛形として登録しておくのがおすすめだ。AIに書かせる前に、人間がブロックの形を決めておく。
Obsidianには標準で「Daily notes」と「Templates」というプラグインがある。両方ONにして、テンプレート用のフォルダ(たとえば Templates/)に上のMarkdownを保存し、Daily notesの設定からそのパスを指定する。これで、その日のノートを開いた瞬間に同じ雛形が自動で展開される。
設定の細かい手順はUIが変わりやすいので、「Obsidian デイリーノート テンプレート 設定」あたりで検索して、画面付きの解説記事を参考にしてほしい。
なぜ先に作っておくのか。AIにノートを書かせるとき、構造が固まっていると話が早い。「この雛形に沿って埋めて」と言うだけで済む。毎回ゼロから考えさせると、日によってブロック構成がブレるし、人間が後から手書きで足すときも基準がない。テンプレを1枚置けば、人間が開いてもAIが開いても、同じ形のノートになる。
使うもの
Obsidianのデイリーノート
Google Workspaceに接続できるAIツール(ClaudeやChatGPTなど)
AIとの接続方法
やることは2つだけだ。
1つ目。
AIにデイリーノートを読み書きさせる。
ChatGPTやClaude(チャットのアプリ)からObsidianを操作するには、MCP(AIに外部ツールをつなぐ仕組み)が要る。ObsidianのMCPサーバーをつなぐと、AIがノートを開いて書き込めるようになる。
Claude CodeやCodexのようなAIエージェントなら、話が早い。手元のファイルをそのまま触れる。この場合はMCPより、CLI(コマンドで操作するツール)でVault(Obsidianのノートが入ったフォルダ)を操作するほうが速いし、動きも安定する。
2つ目。
AIにカレンダーとメールを見せる。今日の予定はGoogleカレンダーにある。メールで降ってくる用事もある。やり残しはタスクツールにある。AIがそこを読めれば、あとは並べ替えるだけだ。
つなぎ方はツールごとに違うが、難しくはない。ChatGPTなら、設定の「アプリ(コネクター)」からGmailやGoogleカレンダーを追加できる。Claudeなら「コネクタ」から追加する。どちらも数クリックで終わる。Claude CodeやCodexなどAIエージェントから使うなら、MCPやCLIのほうがいいかもしれない。
ここで深入りはしない。「AIがファイルとカレンダーとメールとタスクを読める状態」さえ作れればいい。
今日の予定はどう決まるか
朝、デイリーノートにはその日やる予定が書いてある。たとえばこうだ。
# 2026-05-19
## 必ずやる予定
- [ ] 10:00 取引先A と打ち合わせ
- [ ] 請求書を3件発行
## 繰り越し(昨日やり残した分)
- [ ] 提案書のドラフトを書く
## できれば今日
- [ ] ブログのネタ出し
しかし昼には様子が変わる。いくつかは片づいている。一方で、やるつもりのなかったタスクが増えている。人から頼まれたもの、自分で思いついたもの。仕事は勝手に増える。
# 2026-05-19
## 必ずやる予定
- [x] 10:00 取引先A と打ち合わせ
- [ ] 請求書を3件発行
## 繰り越し(昨日やり残した分)
- [ ] 提案書のドラフトを書く
## できれば今日
- [ ] ブログのネタ出し
## メモ
- 取引先A から見積もりの修正依頼
- 経費精算を忘れていた
夕方になっても、終わっていないものが残る。
# 2026-05-19
## 必ずやる予定
- [x] 10:00 取引先A と打ち合わせ
- [x] 請求書を3件発行
## 繰り越し(昨日やり残した分)
- [ ] 提案書のドラフトを書く
## できれば今日
- [ ] ブログのネタ出し
## メモ
- [ ] 取引先A から見積もりの修正依頼
- [ ] 経費精算
全部終わらせてから帰れればいい。しかし現実はそうならない。
何故かいつもこなせる仕事よりすべき仕事のほうが多い。
一部は翌日に回す。他は「そのうち」になる。そして翌朝、また同じことを考える。今日は何をやるのか。
これを毎日繰り返す。ここに難しさが3つある。
仕事は増え続ける
いつまでにやるかが必ずしも決まっていない
自分が1日にできる量を、見積もるのが難しい
この手の話を扱うビジネス書は山ほどある。それだけ多くの人が手こずっている。
タスク管理ツールも世の中にたくさんあるが、どれも自分にしっくりこない。Excelの台帳で管理する人もいれば、手書きのノートでやる人もいる。正解はないと思う。
今回やりたいのは、あくまでデイリーノートを作るところだ。タスク管理ツールそのものには踏み込まない。ただし「今日やらないもの」を置いておく場所は要る。完璧なタスク管理ツールがあると仮定しても、最低限必要な条件は1つだけだ。AIからタスクを追加できること。
今回は、ObsidianにTasks.mdを1枚置き、それを更新する前提で進める。
Notionに自作したボードや、Google Workspaceのスプレッドシートに置き換えれば、もっと柔軟に運用できるかもしれない。
Tasks.mdの中身の例。サンプルなので適当です。
# Tasks
## 終了したタスク
- [x] 取引先B訪問
## 近々やる(仕込み中)
- [ ] 提案書のドラフトを書く
- [ ] 取引先A から見積もりの修正依頼
## いつかやる
- [ ] ブログのネタ出し
- [ ] 経費精算ルールの見直し
セクションを増やしてもいいし、優先度タグを付けてもいい。ここを凝りはじめると本題から逸れるので、この程度にしておきます。
AIに渡すフロー
さっきのデイリーノートは、ただのチェックリストだ。日中は上から潰していくだけ。終わったら [ ] にチェックを入れる。それがそのまま、やったことの記録になる。
問題は、夕方に残った [ ] だ。放っておくと、翌朝またゼロから思い出すことになる。ここをAIに拾わせる。
チェックの入っていないタスクを、AIがタスク管理ツールに追加する(この場合はTasks.mdを更新)。このとき粒度をそろえる。「資料作成」のような大きすぎる塊は分ける。細かく溜まった用事はまとめる。タスク管理ツールで扱える単位に整えてから入れる。手作業だと面倒なところを、AIにまとめてやらせる。
翌朝。AIがGoogleカレンダーとタスク管理ツールを見る。今日の予定、昨日入れた繰り越し、まだ残っているもの。そこから「今日できそうな量」だけを選んで、新しいデイリーノートに並べる。多ければ削る。少なければ足す。
整理すると5ステップだ。
朝、AIがGoogleカレンダーとタスク管理ツールを読む
AIが今日のデイリーノートを生成する。今日できる量に絞る
日中、チェックリストを上から潰す。増えた用事はタスク管理ツールに入れる
夕方、チェックの入っていない項目を、AIが粒度をそろえてタスク管理ツールに戻す
翌朝、1に戻る
自分がやるのは、チェックを入れることと、手を動かすことだけだ。何をやるか決める手前の段取りは、AIに渡してしまう。
では、どうAIに実行させるか
渡す指示は2つ。朝の指示と、夕方の指示だ。
朝はこれを渡す。
Obsidian MCPを使って今日のデイリーノートを作成してください。
1. 今日のGoogleカレンダーの予定を取得する
2. タスク管理ツールから未完了タスクを取得する
3. 上記から、今日できそうな量だけを選ぶ
- 必ずやる予定(カレンダーの確定分)
- 繰り越し(昨日タスク管理ツールに入った分)
- できれば今日やりたいもの
4. 多すぎる場合は、理由を添えて今日やらない分を外す
5. すべてチェックボックス [ ] 付きで、
Obsidian Vault の YYYY-MM-DD.md に書き出す
(事前に作ったデイリーノートのテンプレート構成に沿って埋める)
夕方はこれを渡す。
Obsidian MCPを使って今日のデイリーノートを締めてください。
1. 今日の YYYY-MM-DD.md を開く
2. チェックの入っていない [ ] の項目を抜き出す
3. それぞれをタスク管理ツールで扱える粒度に整える
- 大きすぎるものは分割する
- 細かく溜まったものはまとめる
4. 整えたタスクをタスク管理ツールに追加する
5. デイリーノートに「繰り越し済み」と一言残す
あとは、この2つをChatGPTかClaudeに毎日渡すだけだ。プロンプトはサンプルなので好みにあわせて工夫してください。
前提として、先の「AIとの接続方法」でGmail、Googleカレンダー、タスク管理ツールをつないでおく。これでAIが予定とタスクを直接読み書きできる。
手動でいいなら、朝に1つ目、夕方に2つ目をチャットに貼る。1日2回のコピペだ。慣れるまではこれで足りる。繰り返し作業はClaude Codeのスキル機能を使うと便利だろう。
ここまで来ると、予定を立ててくれていると言っていいのではないか。これはもう秘書だ。
もっと自動化したくなったら、Claude CodeやCodexに移す。Claude Codeにはスケジュールタスク機能があり、Codexやcronでも同じことができる。朝と夕方に勝手に動く。起きたらデイリーノートができていて、寝る前にはやり残しがタスク管理ツールに収まっている。
まとめ
ここで作ったものは、かなり粗い。プロンプトも雑だし、タスクの取捨選択もAI任せだ。
けど新人秘書なので勘弁してやってほしい。毎日チューニングして育てていく。
うまくいけば、毎朝「今日何をやるか」を考える時間が消えていく。
そこまでいかなくても、たたき台を作ってくれるだけで助かるのがわかると思う。
そのうち、もっとやらせたいことが増えてくる。デイリーノートは日報でもあるから、予定やタスク以外に何を書き足してもいい。それに関する自分の判断を待たずに埋められることを秘書に済ませておいてもらうのだ。
冒頭に上げた3つを思い出してほしい。
予定が常に変動するなかで、自分の代わりに整理してくれる
自分の判断を待たずに、済ませておくべきことを済ませておいてくれる
後回しにしたことを忘れずに、しかるべきタイミングで戻してくれる
こういうことをやってくれるのが秘書だろう。
まずは1週間、手動でいいから回してみる。物足りなくなったら、Claude CodeやCodexで読み込ませて拡張していけばいい。
秘書を雇ったことはないままだが、秘書がいる感覚は少しわかった気がする。
(ちゃんと動くか再確認してまた更新します)
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