「民族団結法」は外国人まで標的に!? 訪問者の行動を丸裸にする中国監視社会のヤバさ
重電メーカー大手の中国現地法人の日本人社員が5月以来、遼寧省大連で中国当局に拘束されていることが分かった。中国が輸出規制を敷くレアアース関連の物品を、国外へ持ち出そうとしたことが法令違反と見なされた可能性があるとされている。 また2023年、中国・北京で日本の製薬会社の日本人男性幹部(60代)が反スパイ法違反容疑で拘束され、翌24年に起訴された事件では、現在も中国で裁判・拘束が続いている。中国では2014年以降、日本人17人がスパイ容疑で拘束され、今なお5人が拘束中だ。 【外国人も標的の「民族団結法」】 さらに今後は、一般の観光客までもが中国で拘束されるリスクが浮上している。発端は、7月1日に中国で施行された「中華人民共和国民族団結進歩促進法(民族団結法)』である。中国事情に詳しいジャーナリストが解説する。 「少数民族を含めた『中華民族共同体意識』の強化を目的とする同法は、民族団結の促進や民族分裂の防止を掲げ、教育、インターネット、文化活動など幅広い分野を対象としています。なかでも注目されているのが第63条で、中国国外にいる個人や団体が『民族団結と進歩を損なう行為』や『民族分裂を扇動する行為』を行った場合でも、中国の法律に基づいて法的責任を追及できると規定しています。 さらに、国外で行われた言動についても法的責任を追及できるとする『域外適用条項』も盛り込まれており、中国以外の国で行った発言やSNSの書き込みなどが中国渡航時に問題視され、処罰される可能性も否定できません。中国国籍ではない外国人も罰則の対象から排除されていないため、日本人が過去に日本で行った投稿内容が、中国当局によって『民族分裂を扇動した』と判断されれば、中国出入国時に事情聴取や捜査対象となる可能性は理論上否定できないのです」(ジャーナリスト) 6月24日、中国司法省の胡衛列次官は記者会見で、「海外適用は国際的にも一般的な考え方であり、国外から行われる違法行為を防ぐために必要な措置だ」と説明。一方で、「通常の人的交流、学術的議論、経済・貿易活動には影響しない」とも強調し、西側メディアによる「誤った解釈」だと批判している。 しかし実際、中国や香港では近年、域外での言動が後に処罰対象となった事例が存在する。香港国家安全維持法では、日本留学中にSNSへ投稿した内容が問題視され、帰港後に有罪となった事例も報告されており、域外適用の実例がある。民族団結法についても同様の運用が行われるのではないかという危惧は、荒唐無稽とは言い難い。 【言論以外にも高まる訪中リスク】 そんななか、中国との関係が深い民間企業でも警戒が高まっていると言う。都内の専門商社の社員が話す。