「唯一の大学が破産」少子化に不正…韓国の地方私大で閉校相次ぐ 放置される跡地、活用も課題
少子化が続く韓国で私立大学の閉校が続いている。2000年以降22校に及び、そのうち20校は南部や南東部など地方の大学だ。受験生の減少による定員割れに加え、学校法人側の不正がきっかけになって経営が悪化するケースも少なくない。閉校となった広大なキャンパスが未活用のまま放置されるなど、地方衰退の要因として問題化している。 (ソウル竹次稔) ■2023年に閉校となった韓国国際大の正門。雑草が生い茂っている【写真】 韓国南部の全羅南道光陽(クァンヤン)市で光陽保健大を運営する学校法人が6月、裁判所から破産宣告を受けて閉校手続きに入った。韓国全土には大学など約300の私立の高等教育機関があり、00年以降では23校目の閉校となる見通し。
同大の開校は1994年。大学設立者の資金横領が発覚し、不正の余波で政府からの補助金を減らされた。学生が集まらなくなり、人気だった看護学科は20年に廃止。大学関係者によると、約110人の在校生は他の大学に特別編入される見込みだ。 「市内の大学がすべてなくなった。有名だった看護学科を卒業できれば、どこにでも就職できると言われたんだが」。大学そばで農作業をしていた男性(82)はさみしがった。学生への奨学金支給などで協力してきた光陽市は「唯一の大学が破産に至り、非常に残念。大学だけではなく地域の教育、経済の重要な課題だ」としている。
韓国私学振興財団によると、閉校した22校のうちソウル首都圏は2校。就職を見据えて首都圏の大学に人気が集中しており、地方大学の危機感は強い。 韓国では少子化が著しく、00年に約82万人だった18歳人口は、25年には約45万人まで減少。25年の大学入試の受験者数は、最多規模だった00年から半減した。
閉校した私大の跡地の活用も課題となっている。23年に閉校となった南東部、慶尚南道晋州(チンジュ)市の韓国国際大もその一つ。かつて多くの留学生も通った正門前には雑草が生い茂り、周辺を行き来する人は少ない。無断で立ち入り、廃れた様子を撮影して動画投稿サイトで流す事例もみられる。 韓国の東亜日報によると、同大の不動産の公売は20回以上、入札が不成立となっている。高齢者向けの住宅街を造る構想もあったとされるが、中心市街地から離れた立地がネックとなった。バス運転手の男性は「広すぎて坂が多い。高齢者には向かない」。不動産の売却が滞ると、債権者への支払いなど学校法人の清算手続きも進まない。
韓国では、今後の本格的な大学淘汰(とうた)時代に備え、私立大学構造改善法が8月に施行される。学校法人の経営者が経営難に陥ったまま運営を続けるのを防ぎ、自治体も財政支援できるよう規定を設けた。これにより、廃校と統廃合がさらに進むとみられる。