「Tracers TOPIXゴールドプラス」🪙➕維持コスト考察
「Tracers TOPIXゴールドプラス」は、先行運用されている投資信託「Tracers S&P500ゴールドプラス」のTOPIX版です。
本記事では、目論見書で確認できるコスト(「表面コスト」と呼びます)に加えて、ファンドの基準価格に影響するコスト(「維持コスト」と呼びます)を確認します。
基本情報
投資信託名:Tracers TOPIXゴールドプラス (愛称:トピゴル)
委託会社:アモーヴァ・アセットマネジメント株式会社(旧 日興アセットマネジメント)
設定日:2026年7月30日
ファンドから支払われる費用(目論見書で確認できる表面コスト):年率 0.4187% 以内
運用管理費用(信託報酬):年率 0.2519%(税込)
この他に、実質的に投資対象とする上場投資信託証券において、運用などに係る費用として、年率 0.0668% 以内が発生します。
その他の費用・手数料(目論見書などの作成・交付および計理等の業務に係る費用、監査費用、運用において利用する指数の標章使用料など)として、年率 0.1% 以内が発生します。
想定比率
資産別構成⽐
投資信託(ETF):60%
現金(証拠金・待機資金):40%
資産別構成⽐(内訳)
日本株式(100%):TOPIX現物ETF 10% + TOPIX先物 90%
ゴールド(100%):金現物ETF 50% + 金先物 50%
ゴルプラとは資産配分が異なる
「Tracers TOPIXゴールドプラス」(トピゴル)は、投資家から集めた純資産(100%)を原資として、先物取引を活用することにより 株100%+金100% の合計200%運用を実現する点は「Tracers S&P500ゴールドプラス」(ゴルプラ)と同じです。
一方で、株やゴールドに対する現物や先物への資産配分アプローチは異なります。
「Tracers S&P500ゴールドプラス」(ゴルプラ)
(米国)株の現物運用は6割以上。
ゴールドは現物運用しない。
「Tracers TOPIXゴールドプラス」(トピゴル)
(日本)株の現物運用は1割(※先物運用は9割)。
ゴールドを5割現物で運用する。
※日本株100%先物で運用すると実務上の問題が発生するため、現物枠の1割分を日本株で確保して、現物枠の残りをゴールドに割り振っていると考えられます。(※補足1参照)
トピゴルの維持コストは年間約 3.0%(2026年6月時点)
トピゴルの年間維持コストの推計値(2026年6月時点)は、約 3.0% (≒ ① 0.42% + ② 2.74% + ③ 0.22% - ⑨ 0.37%)です。
① 目論見書で確認できる表面上のコスト(信託報酬等):約 0.42%
運用管理費用(信託報酬):年率 0.2519%(税込)
投資対象ETFの費用(実質負担):約 0.0668%
株現物10%分:年0.0068%以内
金現物50%分:年0.045%〜0.06%程度
その他の費用・手数料(上限):年率 0.10%(税込)
② 先物金利コスト:約 2.74%
先物を維持する金利コストは、対象資産が決済される通貨の短期金利です。
現在(2026年6月26日時点)の実勢金利(日米3ヶ月物国債利回り)は次の通りです。
米国短期金利:3.83%
日本短期金利:0.92%
TOPIX先物(90%枠)の金利コスト:年率 0.828 % (= 90% × 0.92%)
ゴールド先物(ドル建てゴールド先物 50%枠)の金利コスト:年率 1.915% (= 50% × 3.83%)
③ 先物ロールオーバーコスト:約 0.22%
TOPIX先物(90%枠)のロールオーバーコスト:年率 約 0.04%
TOPIX先物のロールオーバー時に発生する 期近売り・期先買い の同時注文(スプレッド取引)において、価格のズレは1回あたり通常 0.01%程度 に抑えられます。年4回の乗り換えを考慮し、投資比率90%を掛け合わせると、年間のコスト影響は 約 0.04% (≒ 90% × 0.01% × 4回) です。ドル建てゴールド先物(50%枠):年率 約 0.18%
金先物(米COMEX市場など)は、株先物に比べてロールオーバー時の負担が重くなる傾向があります。乗り換え時のスプレッド損が1回あたり 0.06% に膨らむことがあります。金先物は年5〜6回(2,4,6,8,10,12月)の乗り換えが発生するため、投資比率50%を掛け合わせると、年間のコスト影響は約 0.18% (≒ 50% × 0.06% × 6回)とTOPIX先物よりもコストが大きくなります。
⑨ 現金(40%枠)が生み出す円金利:約 0.37%
ファンド内の現金(証拠金・手元現金計40%)が生み出す円金利は 年率 0.368% (= 40% × 0.92%)です。
設計思想考察
ゴールドを現物50%で運用して、維持コストを抑える
ゴールド先物には日米金利差(2.91%)がかかるため、もしゴールドを100%先物で運用すると、2.91%の金利コストが発生します。一方で、日本株先物は円建てであり、金利差がないため、金利コストなしで運用できます。
そのため、維持コストを抑えるためには、現物購入枠をゴールド現物に優先的に割り振り、金利コストを回避することが必要です。資金の半分をゴールド現物ETFに割り当てることにより、ゴールドを100%先物で運用する場合と比較して、調達コストを約1.46%削減することができます。
ゴールド100%先物で運用するときの維持コスト:約 4.0% (ゴールド先物の金利コストとロールオーバーコストの合計)
ゴールド現物/先物半々で運用するときの維持コスト:約 2.0%
ゴールドを100%現物で運用するときの維持コスト:0.12%以内
ロスカット回避のために、現金比率40%を維持する
現金が40%確保されて資金効率が犠牲になっているように見えますが、40%の現金で140%の先物(株先物90%+ゴールド先物50%)を維持するため、建玉の15~20%程度(約28%分)は口座内で担保としてロックされています。実質的な余剰現金12%程度は、相場急変時の安全マージンを確保するために仕方がない側面があります。
まとめ
「Tracers TOPIXゴールドプラス」(トピゴル)の維持コストは年間約 3.0% (2026年6月時点)です。ドル建て先物の金利コストを、現物で運用することによって半分に抑え込んでいるため、「Tracers S&P500ゴールドプラス」(ゴルプラ)と比べて年間約 2.4%pt (※補足2参照)も低い維持コストでゴールドをプラスすることができます。そのため、レバレッジを掛けてゴールドを含めるポートフォリオ構築は、トピゴル+S&P500投信 の方が、TOPIX投信+ゴルプラ より低コストで実現できます。
補足
補足1:トピゴルが日本株を現物10%で運用する理由
日本株は、90%先物運用ではなく、100%先物運用にしたほうが、維持コストをさらに削ることができます。
しかし、毎日発生する小口の買い付けや解約に対して、TOPIX先物だけでは端数を調整することが難しく、日々の資金をスムーズに運用するための調整弁としてTOPIX現物ETFが実務上必要である可能性があります。
※貸株金利を得るために、TOPIX現物ETFを保有しているわけではありません。販売資料には「有価証券の貸付(貸株)は行わない」と明記されています。
補足2:ゴルプラの維持コストは年間約 5.4%(2026年6月時点)
ゴルプラの年間維持コストの推計値(2026年6月時点)は、次の ①+②+③+④-⑤ で約 5.41% (≒ ① 0.30% + ② 5.17% + ③ 0.36% + ④ 0.1% - ⑧ 0.2%- ⑨ 0.32%)です。
① 目論見書で確認できる表面上のコスト(信託報酬等):約 0.30%
運用管理費用(信託報酬):年率 0.1991%(税込)
その他の費用・手数料(上限):年率 0.10%(税込)
② 先物(135%枠)金利コスト:約 5.17% (≒ 135% × 3.83%)
③ 先物ロールオーバーコスト:約 0.36%
S&P先物(35%枠):年率 約 0.01%
ドル建てゴールド先物(100%枠):年率 約 0.35%
④ 配当にかかる現地税損:約 0.1%
⑧ 貸株収入:約 0.2%
⑨ 現金(35%枠)が生み出す円金利:約 0.322% (= 35% × 0.92%)



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