息子からのDVが始まったきっかけ
阿部慎之助・元巨人軍監督が娘への暴力が原因で辞任に追い込まれたのは記憶に新しいが、家庭内暴力(以下・DV)は閉鎖された環境で行われるため表面化しにくいという性質がある。
群馬県在住の針谷元子さん(仮名・81歳)の場合は、実の息子のDVに20年以上耐えていた。
大学を卒業後、小学校の教員として働いていた元子さんは、26歳の時に5歳年上の実さん(仮名)と結婚するも、長年、子宝に恵まれず、今でいう「妊活」のために退職。41歳の時に待望の我が子を抱くことができた。
「最初で最後の子どもだとわかっていたので、育てるのにものすごく神経を使いました」(元子さん、以下「」内は同)
それがひとり息子の誠さん(仮名・40歳)だ。誠さんが15歳の時に実さんがガンで他界。元子さんは生活のために児童養護施設で働くことになるのだが、この頃から誠さんの性格に変化が現れる。
「それまではおとなしくて聞き分けの良い子だったのですが、急にわがままになりました。気に入らないことがあるとモノにあたったりするようにもなりました」
そんな息子の変化を「母親が不在がちの寂しさからだろう」と捉えた元子さんは、たしなめたりはするものの、強く叱るようなことはなかったという。
「それが良くなかったんでしょうね。高校に入学してからは悪い仲間とつるむようになって、言動もどんどん乱暴になって行きました」
どうにか高校を卒業した誠さんだったが、仕事を転々とし、元子さんに悪態をつくようになる。
「あまりに腹が立ったので、つい『こんなろくでなしになるんだったら産まなきゃ良かった』と言ってしまったんです。すると、『ふざけるな!』と殴られて、そこからDVが始まりました」