参加した学生たち(中国大使館ホームページより。中央の人物は呉江浩・中国大使)
外出は一切禁止で中国人ガイド2人が常に張り付く
一方、学生完全無料のツアーにもかかわらず、現地での待遇は極めて良かったという。
Bさんによると、宿泊先は「1泊3万~5万円クラスに見えた」豪華ホテルで、食事も充実。日本語が流暢で“親切”な中国人ガイド2人が常に張り付いた。
中国側による訪問団42人の費用負担は、安く見積もっても1000万円以上と推定される。
「中国の人たちは、これから未来を見て、平和を作っていこうと話していました。押し付けがましい言い方ではなく、好感を持てた。みんな中国が好きになっていた」
取材にそう話す学生もいるが、別の声もある。
「滞在中、街での散策などの自由行動は一切なし。文字通り一銭も使わず日程を終えた。夜は引率の労働党員によるミーティングがある一方、ホテルからの外出は一切禁止されていた」(Bさん)
ツアーをおこなう側に、中国のリアルな社会や庶民と、学生たちを接触させない意図があったと考えるのは邪推だろうか。
奇妙な旅路は帰国後も続いた。参加者のAさんは言う。
「学生の代表者たちが『広範な国民連合』事務局長や日中友好団体のX氏に連れられる形で、満洲事変記念日である9月18日に中国大使館を訪問。応対したのは呉江浩・中国大使でした」
現地での歓待に加え、一般学生の訪中団を大使がわざわざ引見する異例の展開。その理由は、ツアーの背後に、中国側の濃厚な“政治性”が蠢いていたためである。
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【プロフィール】
安田峰俊(やすだ・みねとし)/1982年、滋賀県生まれ。立命館大学人文科学研究所客員協力研究員。『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)で第5回城山三郎賞、第50回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『戦狼中国の対日工作』(文春新書)など著書多数。近著に『民族がわかれば中国がわかる』(中公新書ラクレ)がある。
※週刊ポスト2026年6月26日・7月3日号