長引くせき、痰…“気管支拡張症”かも 認知度2割「怠けていると思われつらかった」退職した40代男性の訴え
今年発表された論文では、2008年から24年の患者約10万人の平均年齢は72・1歳、約65%が女性だった。高齢社会の進展で、患者数も増加傾向にあるという。 福岡大学病院呼吸器内科の柳原豊史医師によると、年のせいで風邪が長引いていると考えて受診が遅れたり、ぜんそくと診断されて効果のない薬を飲み続けたり、正しい診断までに10年以上かかるケースもある。柳原さんは「病気が進行すると大量喀血(かっけつ)や呼吸困難を引き起こし、肺機能が低下して命にかかわる」と、早期診断・治療の重要性を強調する。
拡張した気管支を元に戻す薬は今のところなく、治療は進行を抑制するのが主目的となっている。 薬物療法は、痰の粘り気を落として出しやすくする去痰薬と、気道の炎症を抑える抗菌薬の長期投与が中心だ。理学療法士の指導の下で行う「呼吸リハビリテーション」も大切な治療の一つ。痰を楽に効率よく出す排痰法や、息切れが起きたときの呼吸法などを身につける。痰を出しやすくするための器具もある。
生活習慣の改善も重要で、散歩など適度な運動により体力が付くだけでなく、痰も出やすくなる。呼吸だけで大量のエネルギーを消費して痩せてしまう人も多いため、高エネルギー、高タンパクの食事も大事だ。 また、米国では昨年、気道の炎症に関わる酵素の働きを阻害する新薬が初めて発売され、重症化を防ぐ効果が期待されている。日本でも承認申請中だ。 柳原さんは「適切な治療を続けることで症状を安定させて、生活の質を維持することは可能だ。月単位で咳が続いている時は、一度呼吸器専門医を受診してほしい」と呼びかけている。
西日本新聞社