母に憧れ、医学部をめざす142キロ左腕 でも最後の夏は野球一本
(9日、第108回全国高校野球選手権千葉大会1回戦 県千葉9―0我孫子二階堂=7回コールド) 【写真】「監督退任を」「情熱なき者は去れ」 匿名の手紙がチームを変えた 医師をめざし、机に向かう毎日を送る。ただ、「最後の夏」だけは違う。 県千葉の加賀谷一(はじめ)(3年)。 千葉県内屈指の進学校にあって、最速142キロを誇る注目の左腕だ。昨年12月に台湾に遠征した千葉県選抜の一員にも選ばれた。 174センチと上背はないが、「生まれつき柔らかい」という肩回りを生かして腕をしなやかに振る。「(球の)スピン量が多いことが自分の特長」と語り、低めの速球は垂れずにミットに吸い込まれる。 1回戦のこの日は「応援が聞こえて、力が入った」。一回から自己最速に並ぶ142キロを計測し、3者連続三振の立ち上がり。 序盤に点差が開いたため、次戦以降を見据えて3回6奪三振で一度は内野守備に回った。が、9点リードの七回1死から再び登板し、2連続三振で試合を締めた。 打者14人に対し、8奪三振、被安打0。 コールド勝ちに貢献し、「チームとして良い試合ができた」と笑顔を見せた。 憧れは、外科医の母だ。 「家事や自分の世話もやってくれた上で当直に入ることもある。大変なのに弱音を吐かずにこなしていて、『すごいな』『強いな』と思う」 母の背中を追いたくて、国立大や慶大の医学部をめざして勉強にも励んでいる。 ただ、高校最後の夏となると話は別だ。 いったん勉強はおいて、2週間ほど前から野球一本で調整を重ねてきた。 加賀谷は1年生の夏から救援登板してきた。ただ過去2年のチームの夏の最高成績は3回戦。人一倍悔しさを募らせてきた。 「今までは自分勝手なピッチングで負けることが多かった。チーム一丸の野球をしていきたい」 押しも押されもせぬエースとなった今年こそ、もっと長い夏にしてみせる。(安藤仙一朗)
朝日新聞社