サイゼリヤ、スシロー、ゼンショーが支える「安い日本」。海外で稼ぎ、国内で安く売る外食の新常識 #エキスパートトピ
サイゼリヤのミラノ風ドリアやスシローの寿司。日本の「安くて美味い外食」は生活の支えだが、その舞台裏が激変している。かつて外食チェーンの海外進出は、国内で得た利益をもとに挑む成長投資という意味合いが強かった。しかし今、サイゼリヤはアジア事業が利益の8割を稼ぎ出し、スシローや、すき家などを展開するゼンショーも海外を主戦場へシフトしている。
「海外の高単価エリアで利益を上げ、日本市場で手頃な価格を維持する」。いま外食企業に起きているこの逆転現象は、「安い日本」の新しい防衛策なのかもしれない。
ココがポイント
サイゼリヤ 決算/9~2月増収増益、コスト上昇などで通期予想を修正
出典:流通ニュース 2026/4/8(水)
スシロー3年連続最高益へ 26年9月期、海外事業好調
出典:共同通信 2026/5/8(金)
海外の寿司テイクアウトなど「グローバル中食」は、売上高2,218億95百万円(5.7%増)、営業利益273億76百万円
出典:フードリンクニュース 2026/5/13(水)
CoCo壱番屋、海外店舗を一気拡大する期待と不安 日本のカレーハウスのシステムを海外にも移植
出典:東洋経済オンライン 2024/2/1(木)
エキスパートの補足・見解
象徴的なのがサイゼリヤだ。2026年8月期中間決算を見ると、日本事業の営業利益は33億円、中国を中心とするアジア事業は51億円。アジア事業が国内を上回る利益を稼ぎ、成長を牽引している。
この構図は他社にも広がる。FOOD & LIFE COMPANIES(スシロー)は海外売上比率35%をターゲットに急拡大を続け、ゼンショーHDにいたっては、海外テイクアウト寿司を含むグローバル中食事業が2026年3月期に売上高2,219億円、営業利益273億円に達し、巨大な海外収益基盤を築いている。
外食チェーンにとって、海外展開は単なる市場拡大ではない。海外でしっかりと利益の厚みをつくり、その経営体力をもって、国内市場の安さを維持するための戦略になりつつある。
ここに続く存在がCoCo壱番屋だ。国内では「高くなった」と言われる一方、海外事業は好調に推移しており、今後の成長余地は大きい。
これはたくましい企業努力である一方、私たち市民の暮らしから見れば、安くないと客が来ないほど日本の所得が伸び悩んでいる現実でもある。外食のグローバル化は食卓を守る希望か、それとも賃金が上がらない日本の課題を映す鏡か。安い外食は社会の縮図でもある。