吉野家は好調、すき家は値上げ、松屋は併設店で勝つ。牛丼で稼げぬ時代の中の、牛丼3社の現在地 #エキスパートトピ
外食産業で約5,000億円規模とされる牛丼市場。その大半を、すき家、吉野家、松屋の大手3社が占めている。ハンバーガー、回転寿司に次ぐ規模とも言われる巨大市場だが、足元の収益環境は厳しい。象徴的なのがすき家で、2026年3月期の「グローバルすき家」は売上高3144億円と伸びた一方、営業利益は93億円にとどまり、62.0%減となった。売上は伸びても、コメや牛肉、人件費の上昇で利益が削られる。すき家の値上げ、吉野家の油そば、松屋の店舗複合化は、全て牛丼だけでは稼ぎにくくなった時代への対応である。
ココがポイント
吉野家HD 決算/3~5月は2桁増収、全セグメント好調で2倍以上の増益に
出典:流通ニュース 2026/7/8(水)
すき家、牛丼の値上げを発表 並盛は450円→480円 8日から、牛カルビ焼肉丼も
出典:オリコン 2026/7/3(金)
「松屋」「松のや」が並んでいることでの「違和感」が、ブランド認知向上に役立っている。
出典:東洋経済オンライン 2024/7/10(水)
エキスパートの補足・見解
その動きを象徴するのが吉野家だ。7月8日に発表した第1四半期決算では、営業利益が前年同期比140.8%増となった。好調を支えた要因が、発売約1カ月で150万食を突破した「牛丼・油そばセット」である。牛丼の軸は崩さず、そこに「麺」という別需要を重ねることで、客単価と満足度を高めている。
対照的なのが松屋フーズだ。同社は「松のや」や「マイカリー食堂」との併設により、牛めし、とんかつ、カレーを一つの店舗で提供する複合化を進めている。とんかつやカレーは牛めしより高い客単価が見込め、定食や夕食需要も取り込める。6月の既存店売上高は牛めし事業店のみを対象としており4.8%減だったが、直営店全業態を対象とする全店売上高は2.8%増だった。
すき家はゼンショーグループの調達力や商品開発力を生かし、低価格と幅広いメニュー提案を両立してきた。足元では値上げに踏み切った一方、ドリンクやデザートなどのサイドメニューも強化している。
今の牛丼業界は、単純な安さや味だけの戦いではない。牛丼という強力な商品を活かし、その周辺でどう収益機会を広げるか。吉野家は油そば、松屋は併設店、すき家はスイーツやドリンク。三者三様の収益戦略が進んでいる。