安倍元首相銃撃4年、「ローン・オフェンダー」対策で進む官民連携…重要性増すSNS分析・生成AIも活用
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安倍晋三・元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件は、8日で発生から4年となる。単独で過激化する「ローン・オフェンダー」(LO)によるテロに対し、未然防止に向けた官民の連携が進んでいる。平穏に見える日常の陰で、安全の確保に向けた対応が続いている。
出所後「市役所に復讐」
先月23日、名古屋地裁で、傷害罪に問われた無職の男(57)に対し拘禁刑1年6月の実刑判決が言い渡された。男は昨年12月、名古屋市内の駅構内で他人の胸ぐらをつかみ顔を殴るなどしたとして、現行犯逮捕された。
「市役所に車で突っ込み、大事件を起こすつもりだった」。警察の調べにそう供述したという男。実は10年前、税金を巡る一方的な恨みから首都圏にある市役所に灯油をまいて火を付け、実刑判決を受けていた。
捜査関係者によると、男は出所後、関係者に「市役所に
男は徒歩で東に向かい、三重県から愛知県へ。そして名古屋市内で事件を起こした。この間、対策室から情報を得た各県警が連携し、強行事件を担う刑事部門の捜査員も投入して警戒に当たったという。
前兆情報の集約
警察は2022年7月8日の安倍氏の事件後、刑事や地域など部門の枠を超えて事件の前兆の情報を集約する体制を構築した。25年4月には警察庁にLO対策室を新設し、都道府県警の体制も強化してきた。
安倍氏を銃撃した山上徹也被告(45)(無期懲役判決を受け、弁護人が控訴)は自宅で手製銃を作っていたが、近隣住民から前兆に関する通報を得られなかったからだ。
警察はこれまでもホームセンターや薬局などに、薬品の大量購入など不審な情報の提供を求めてきた。事件後は、不動産やSNS事業者、貸倉庫などの業界にも協力関係を広げている。
効果も出始めている。警視庁公安部は昨夏、通販会社からの情報提供をきっかけに、黒色火薬を自宅で製造したとして、都内の20歳代の男を火薬類取締法違反容疑で書類送検した。捜査関係者によると、男はインターネットで黒色火薬の製造方法を調べ、原料を販売サイトで購入していた。
今年2月には関西地方で、外部からの情報を基に複数の警察本部が連携し、病院内で包丁を所持していた男を逮捕した。男は「幸せそうな家族を見つけ、殺そうと思った」と無差別殺人の計画を語ったという。
警察幹部は「断片的な前兆情報を客観的に評価することがテロ防止につながる。民間から提供された情報は極めて慎重に取り扱うことに留意し、企業や地域との協力関係を一層広げていきたい」と話す。
未然に発見「極めて難しい」
対策で重要性を増しているのが、SNSの投稿分析だ。今年2月、関東地方で17歳の少年が失踪した。警察は、少年がSNSで交流していた男のアカウントを特定し、過去の投稿画像などから、四国地方の自宅アパートを突き止めた。
男はある事件で「人を殺したい」と供述しており、警察は少年を保護し、男を未成年者誘拐などの容疑で摘発。模造銃も押収した。
警察庁は現在、生成AI(人工知能)を導入して危険な投稿を洗い出す調査・研究も進めている。
テロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功・研究センター長は、「LOは社会から孤立している傾向があり、未然に発見するのは極めて難しい。警察は自治体などと協力し、プライバシーに配慮しながら対策を進める必要がある」と指摘する。