「野鳥どこへ行った」自然環境に変化? 毎年来るメジロやヒヨドリ「庭に来なくなった」
記録的な少雨と高温、短過ぎる秋と春…。異常気象の常態化を感じる中、西日本新聞「あなたの特命取材班」に、福岡都市圏などの複数の読者から気になる情報が寄せられた。「春先にかけていつも庭に来る野鳥が、今年はあまり来なかった」、「庭に植えている実のなる木やウメなどに毎年1~3月ごろ来るメジロやヒヨドリが、今年は姿を見せなかった」。身近な自然に何が起きているのだろうか。(北嶋葵) ■人家や店先に巣を作ることでなじみ深いツバメ【写真】 野鳥を研究する長崎大環境科学部の山口典之教授は「直近の2年は、九州で冬を過ごす小鳥の飛来数が少なかった」と指摘する。ヒヨドリも含まれており「今年の冬ごろ、鳥の気配が少なかったと感じるのは自然なこと」と話す。渡りの時期や越冬場所の変化が関係しているとみられるものの「何が原因かは明確には回答できない」という。
「日本野鳥の会」自然保護室員の奴賀俊光さんにも同じ疑問をぶつけた。(1)(他に餌場を見つけるなど)たまたま来なかった(2)毎年来ていた個体が寿命で死んでしまった(3)庭にネコなどの天敵がいたり、近くの木に猛禽(もうきん)類が営巣していた-といった可能性が考えられるといい、「今年野鳥が来なかった原因を断定することは難しい」と話した。 一方で、身近な自然環境に変化が起きている可能性は小さくないという。メジロやヒヨドリ、ウグイスなどは森林の下草ややぶに生息する鳥で、「周囲に緑が減っていることはないでしょうか」と奴賀さん。環境省が主導した全国調査でも、こうした環境を好む鳥は減少傾向にあることが分かっている。
森林の下草ややぶが減った要因として、野生のシカの増加が関係しているという指摘もある。 森林総合研究所の飯島勇人主任研究員によると、少なくとも1978年以降、ニホンジカの生息数が増加しており、現在は過去10万年間で最大に近い水準に達しているという。シカは口の届く範囲の低木や下草を食べるため「これらをすみかとしている鳥類の個体数や種の数に悪影響を与えることが知られている」。野生のシカの増加は、人間による捕獲数の減少などが原因として考えられているという。
自然環境は複雑で絶妙なバランスの上に成り立っている。今年はどんな夏になるのか。身近な野鳥たちの姿を探しながら、人間が自然環境に与えている影響をあらためて考えてみたい。
西日本新聞社