第1回拘置所で淡々と語り続けた山上被告 記者に一度だけ明かした「不安」
安倍晋三元首相が奈良市で演説中に銃撃され、死亡した事件から8日で4年となる。殺人や銃刀法違反などの罪で起訴された山上徹也被告(45)は、一審・奈良地裁の無期懲役判決に控訴し、大阪高裁での審理を待つ。これまで3回にわたって朝日新聞記者の面会に応じた。
6月5日、大阪市都島区の大阪拘置所。面会室に現れた山上被告の髪の毛は、肩まで伸びていた。センター分けの前髪を時折かきあげながら、記者とは目を合わせず、伏し目がちに質問に答えた。
「お体変わりないですか?」と問いかけると、「まあ」とだけ答えた。
記者が「こういう記事を書こうとしているが」と説明しても、「はあ」「へえ」と素っ気ない反応だった。
一審判決後、これまで面会した3回とも、質問に対して淡々と答えることがほとんどだった。
2月4日の最初の面会では、1月21日に奈良地裁で宣告されたばかりの無期懲役判決についての受け止めを尋ねた。
すると、判決を導いた裁判官や裁判員の意図を推し量るようにぽつりと答えた。
「安倍さんが亡くなっていますからね……」
それ以上、多くは語らなかったが、判決に対して「問題はある」と異を唱える場面もあった。
一審判決の「飛躍がある」言及に反論
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への母親の高額献金で家庭内が不和に陥ったという生い立ちの不遇さと、殺人行為に及んだことの間には「飛躍がある」と結論づけられたことについて話題が及んだときだ。
「(教団に反発して自殺した)兄が亡くなっていなければ、普通に生活していただろう」
教団について「解散した方が良いことは確実」とも語った。
2025年3月の東京地裁に続いて、26年3月に東京高裁も教団の解散命令を支持する決定を出した。これにより教団の清算手続きが始まった。
その後、5月29日の2回目の面会でのことだ。
唐突に感情を吐露した被告
別の話題のとき、唐突に山上被告から、打ち明けるように語りかけてきた。
「解散命令が出るまでは不安でした」
客観的に自分を語るのではなく、直接的に感情を吐露する姿を記者が見たのは、法廷と面会を通してほぼ初めてと言ってよかった。
自身の量刑よりも、教団の処遇のほうが関心の度合いが大きかったのかもしれない。
山上被告の裁判は現在、大阪高裁での控訴審に向けた準備が続く。
一審の法廷では、自身の境遇をまるで人ごとのように、淡々と語り続けた。
控訴審で社会に訴えたいことはないのか――。そう改めて尋ねたとき、山上被告は表情を変えずに答えた。
「僕からはないですね」
◇
弁護団が交代、控訴審へ準備進める
関係者によると、山上被告の弁護団は、一審で弁護人を務めた4人のうち1人が交代。教団の被害対策に取り組んできた全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)のメンバーでもある弁護士が、新たに加わった。
弁護側は控訴審で、教団が山上被告の家庭に与えてきた影響について改めて強調し、信者に高額献金を重ねさせた教団の姿勢が、被告の犯行の背景にあったことを強く主張していくとみられる。
弁護側は現在、主張書面の準備を進めており、弁護側の主張内容を踏まえて、高裁が審理日程の調整を進める見通しだ。
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