館山市の旧神余小学校が、学区にとらわれず市内全域から通学できる安房地域初の小規模特認校になって3カ月が過ぎた。少人数ならではの丁寧な指導と地域で学校を見守る従来にない運営で、子どもたちは主体性や協調性を身に付けながら学校生活を送っている。
この春スタートした「まなびの杜(もり)房南小学校神余分校」の全校児童は新入生2人を含め20人。
1874(明治7)年に開校した旧神余小が起源で、豊かな自然に囲まれた山あいにある。児童数は少ないものの、その環境を生かした教育が特色だ。登校時には教員が児童一人一人に声を掛け、表情や体調を確認。授業では児童の理解度に応じた丁寧な指導を行い、子どもたちは自分のペースで学習を進める。
児童の主体性を育てる取り組みにも力を入れる。全校による朝の会でのスピーチでは、児童が順番に前に立ち、自ら調べたことや考えを発表。低学年のうちから人前で話す経験を積むことで、表現力や自信を養うのが目的だ。
給食の時間には、1年生から6年生が一緒にテーブルを囲み、交流する。上級生は下級生を気遣い、下級生は上級生の姿から学校生活や振る舞いを学ぶ。6月23日の給食では、くじ引きで決めた班ごとに昼食を楽しみ、子どもたちには笑顔があふれていた。
6年生の竹内虹翔(ななと)さんは、船橋市から転校してきた。「いろいろな人と給食を食べられて仲良くなれるのが楽しい」と話す。母の竹内真理子さん(41)は「以前は学校になじめず登校を渋ることもあったが、今は自分から役割を引き受けるようになった。誰かのために行動する気持ちが育っている」と息子の成長を喜ぶ。
小澤崇史校長は「児童たちは毎日生き生きと学校生活を送っている。一人一人が自分の考えをしっかり伝えられる子が多い」と小規模校ならではの特色を話す。
一方で、小規模校なりの課題もある。市の学校再編計画では、2027年5月までに児童数を36人以上確保することや複式学級の解消ができなければ、本校への統合が見込まれている。地域の人たちは分校の存続に向け、移住促進や学校の魅力発信に取り組む。実際、スタートに当たっては、新入学や竹内さんのように他の地区からの転入につながった例もあった。
地元の加藤和美さん(56)は「学校は地域の大切な財産。できることは何でもやり切りたい。移住や児童増加につながった実績もあるので、市とも連携しながら教育移住の可能性を発信していきたい」と話している。
(押本裕也)
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