共産党が「残業代」請求された訴訟で“全面敗訴”…「党職員は労働者」104年の歴史で初認定
「党の内外で主張に食い違い」
神谷氏は会見で、党の説明との矛盾を問題視した。 「党は、職員の労働があたかも“自主的な活動”であり、党が労基法を守るのは“自主的な善意”であるかのように社会に説明しています。 しかし裁判では、党の職員は労働者であるとしっかり認めており、事業主として労基法を守る法律上の義務があるはずです。 わざとわかりづらく説明するのではなく、はっきりと党員の労働者性を認め赤旗で報じるべきです」(神谷氏) 加えて、神谷氏は共産党が「労働者階級の党」を掲げ、「サービス残業をなくすために実労働時間を正しく把握すべき」と主張してきたことなどから「党の主張と党内での運用が食い違っている」と指摘。 県委員会は、請求可能日から3年を過ぎた分について「消滅時効の援用」(一定期間の経過を理由に支払い義務の消滅を主張すること)を行った。 これにより、神谷氏は一部の請求を断念したが、これについても「労働問題で時効3年はおかしいと、共産党の議員は国会で追及してきたはずだ」と語った。 平弁護士も「森友問題をめぐる赤木雅子さんの国家賠償訴訟では、国が請求を認諾したが、赤旗ではこの件について『真相究明が封じられた』と批判的に取り上げてきたはずで、自らが認諾することはこの主張と矛盾するものであり、ありえない」と過去の党の主張との食い違いを主張。 そのうえで、本件について「歴史的な訴訟であり、無署名論文でもいいので赤旗に載せて論じるべきだ」と述べた。 また、松尾弁護士は「党職員が実質的に労働者だとなれば、地区の役員であっても労働者になり得るケースは多いのではないか」と述べ、今後神谷氏以外の党職員にも波及しうるとした。
労働者性の認定「パワハラ訴訟でも武器に」
神谷氏らは今回の請求認諾が、上述の除籍・解雇とパワーハラスメントに関する損害賠償請求の裁判にも影響すると見ている。 「労働者であることが認定された。“政党内部は特殊な世界だ”という党側のロジックが使えなくなり、これまでの労働者に関する判例が使えるようになる。武器を得たのだと思う」(神谷氏) 平弁護士は、党内のパワハラ問題について「神谷さんが受けた『査問』などの行為は、組織的に、集団で本人を自殺に追い込む行為であり、宝塚歌劇団の事件(※)と何が違うのか」と指摘。 ※宝塚歌劇団の劇団員の女性が2023年に死亡した事件。同歌劇団は上級生らによるパワハラを認め謝罪した。 「パワハラ訴訟では、(原告の請求を全面的に認める)認諾はありえないと思う」とも語った。 報告集会には、神谷氏と同じく、除名処分をめぐって党と係争中の松竹伸幸氏も出席。松竹氏は「この裁判での勝利を力にして、党職員の労働条件を良くしていってほしい」と述べ、「党内に労働組合を結成し、中央委員会に団体交渉を申し入れるべき」と提起した。 神谷氏は結びに、専従職員の在り方を党内で議論し、国民にも説明するよう求めた。 「時代に合わせて、共産党をどういう党にしていくべきか話し合っていかなければならない。そのためにも、党中央には赤旗で報じるとともに、党大会でも周知議論するなど、まじめな対応をとってほしいです」
弁護士JPニュース編集部
【関連記事】
- フルタイムで「月20万円程度では、とても暮らしていけない」最低賃金労働者が2割の現実…「年収200万」が恒常化する日本の末路
- “無実の罪”で懲戒解雇→自死 元勤務先に約8300万円賠償命令も遺族憤慨「本当は倒産してほしい」…背景に会社側の“判決直前”控訴取り下げ
- 13歳少年が大人10人に囲まれ、精神科に強制入院…1億円賠償求め提訴も「全敗」 裁判所が“適法”と判断した理由とは
- 「有休は欠勤扱い、診断書出せ」と強要、団交拒否…JR東海“労使10年紛争”が最高裁で決着、組合“完全勝利”宣言
- 「悪魔のような制度」自治医大・修学資金3766万円“一括返還”巡る訴訟で原告側が意見陳述「家族か医師免許かの二択、迫らないで」