深夜なんで吉田健一読解法についてこっそり貼っておくか。精読協力:樫原辰郎氏。
☆吉田健一のズル過ぎるハック術
『英国の文学』→「僕は古典を愛する文士です」みたいな顔をして抜け抜けと19世紀文学をほぼスルー。既に近代への殺意がチラリと見える。
『英国の近代文学』→「英国の近代は、ワイルドから始る」と特級の珍説をぶち上げ。吉田先生、ワイルドは近代でもモダニズムでもなく、後で言うポストモダニズムの祖だとわかってて言ってる。そして最後に薦めてくるのがまだ当時翻訳されていないイーヴリン・ウォー。先生、そいつジョイスとエリオットのハマった袋小路からさっさと右へ回れで旋回してオーソドックスな小説に戻ったモダニズム以降の作家です!
『文学の楽しみ』→タイトルに反して1960年代に流行った「政治の季節」に超好戦的で延々叩いとる。「文学の攻撃」とか「文学の逆襲」に改題すべき。
『ヨオロッパの世紀末』→「いいえ、ヨーロッパの世紀末は健康でしたよ。19世紀の近代よりはなあ!」という特級の嫌味&ちゃぶ台返し。おまけに吉田健一にしては迂回を駆使した珍しい論理を構築しまくったド正論なので反論不能。
『時間』→近代の進歩主義を解体する「時間は今しかない」=「歴史の終わり」の最大拡大版。近代及びモダニズムとの相討ちを狙った自爆としての進歩主義ハメ殺し。
どんだけ~というやつで、「近代も嫌! 前近代に戻るのも御免被る!」で近代のインフラだけ使って遊び続けた極道のディレッタント、それが吉田健一だッ!
吉田健一はこれだけ凶悪な文芸評論家だったので、各々方決して油断めさらぬよう。字面だけ読んでもわからない。吉田健一が何を言っていないか・何を評価していないかに焦点を合わせて読むンだッ!